資産運用業界における変革への対応 2022:飛躍的に高まるESGへの期待

概要

2020年に公表したレポート「資産運用業界における変革への対応:未来を築く力」では、127兆米ドルの市場規模を持つ本業界が、不平等に取り組み、環境に配慮した社会への移行(グリーン移行)を促す上で、いかに理想的な立場にあるかについて調査を行いました。

それ以降、環境、社会およびガバナンス(ESG)への投資が前例のないスピードで加速しています。投資家のポートフォリオにおいてESGファンドが占める割合が増すにつれ、資産運用業界は急成長するESG革命の最前線で活躍するチャンスを手にしようとしています。

ESGの必要性

本レポートは、最近PwCが資産運用会社と機関投資家を対象に行ったグローバル調査の結果を中心としています。この調査結果は、資産運用業界が今まさに移行期にあることを明らかにしています。

調査では、市場の方向性を決定する10のトレンドを分析しました。これらのトレンドは、いわゆるESG投資から転換し、ESG原則を会社の目的、戦略、および投資管理プロセスの中核として統合することが、資産運用会社にとって喫緊の課題であることを強調しています。

本レポートでは、業界の優先事項における変化や、新たなステークホルダーからの期待を分析するとともに、資産運用市場のESGアジェンダを形成することにより、同市場の方向性を決定する、10のトレンドを列挙しました。同調査結果、資産運用各社との広範囲にわたる協働作業、PwCの課題解決コミュニティから得た知見によれば、これらのトレンドは、ESGに対する投資家の期待が、いかに価値を定義し、提供すべきか、その方法を抜本的に見直すべき局面へと、資産運用業界を導きつつあることを示しています。

ESGが未来を形成する10のシナリオ

  1. ESGが資産価格の上昇に代わる成長の原動力となる
  2. ESGの推進が大前提となる
  3. ESGファンドの投資ユニバースが拡大する
  4. ESGによって目標やフィデューシャリー・デューティーの幅が広がる
  5. 投資家は新たなESG商品を求めているが、供給が追いつかない
  6. 新規投資をひきつけるため、資産運用会社は自社の商品を差別化し、ESGパフォーマンスを実証する必要に迫られる
  7. 投資家から規制強化を望む声が上がる。
  8. 有意義なESG戦略のために投資が必要となる
  9. 公正なトランジションとして、E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)のバランスを取ることが必須となる
  10. 資産運用会社は、ESGファンドであると投資家に誤認されるような表示に対する積極的なリスク軽減戦略を必要とするようになる

ESGに準拠したビジネスを実現する

グリーン移行への積極的な支援に注力することにより、新しくて創造的な戦略の機会を創出することができます。以下の4つのステップに従うことにより、最新かつ十分な情報と知識を獲得することができます。

  • 戦略的統合を推進する
  • オペレーティングモデルを再設定する
  • 説得力のあるストーリーを展開し、伝達する
  • 「E」と「S」だけでなく、「G」にも注力する

ESG態勢は整っているか?洞察力を高め、ガバナンスを強化し、明白な価値を提供して投資家の期待に応えようとするならば、デジタル改革や人材改革にESGを組み込むことも同じく重要です。貴社が投資や人材をひきつけ、目的や可能性を実現できるか否かは、いかに迅速かつ効果的にESGを組織に浸透させ、運用できるかにかかっているのです。

※本コンテンツは、Asset and wealth management revolution 2022: Exponential expectations for ESG を翻訳したものです。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。

主要メンバー

辻田 大

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

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久保 直毅

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

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