これまで本連載では、なぜ企業が農業に関わるのかについてさまざまな観点から論じてきました。本稿では、農業と並び、日本の一次産業を支える重要な柱である水産業に焦点を当てます。水産業は単なる一次産業ではなく、食料安全保障、沿岸地域、海洋環境、産業政策に関わる重要な分野です。
国内では、漁業・養殖業の生産量は1984 年の1,282万トンをピークに減少を続け、2024年には363万4,800トンとなりました【1】【2】。漁業就業者は2024年に11.5万人(概数値)まで減少し、食用魚介類の1人1年当たりの消費量(純食料ベース)も2001年度の40.2kgをピークに低下し、2023年度には21.4kgとなりました【3】。漁業も農業と同様の課題を抱えるなか、農業と比べて生産現場への企業参入の裾野がまだ狭いことも、その特徴の1つです。農業では、第1回の論考で述べたように、一般法人による参入は4,500法人あまり(2024年1月1日時点)に達しています【4】。一方、水産業では、農業と同じ定義の全国統計は整備されていないものの、沿岸漁協への調査では企業参入が確認されたのは590組合中26組合で、参入企業数も概算で40社強にとどまっています【5】。こうした状況を踏まえ、本稿では、なぜ今水産を重視すべきなのか、国際動向、日本国内の課題、そして企業はどのように関与しうるのかを解説します。
なお、文中の意見は筆者の私見であり、PwCJapan有限責任監査法人および所属部門の正式見解ではないことをお断りします。
【1】 令和6年漁業・養殖業生産統計[該当ページ:PDF p.1]
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/kaimen_gyosei/
【2】 海の中の状況、水産資源について[令和4年度ᅠ水産白書]
https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/R4/LP/2.html
【3】 水産をめぐる事情について[該当ページ:PDF p.5, 7, 23, 49]
https://www.jfa.maff.go.jp/j/policy/kihon_keikaku/attach/pdf/index-33.pdf
【4】 一般法人の農業参入の動向[該当ページ:PDF p.1–2]
https://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/attach/pdf/hozin_nouchi-25.pdf
【5】 2020年度漁協アンケート調査結果[該当ページ:PDF p.60]
https://www.nochuri.co.jp/skrepo/pdf/sr211118.pdf
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