2017年3月24日、共和党は下院通過を目指していた健康保険制度(Affordable Care Act、いわゆるオバマケア)の改廃(Repeal and Replace)案を撤回しました。 オバマケア改革が一旦止まったことで、議会における税制改革論議が再び注目を集めています。
本連載は、実現すれば30余年ぶりとなる米国の抜本的税制改革の可能性について、その背景、現段階で想定される内容および日系企業へのインパクトについてお伝えします。
2014年の下院歳入委員会議長であるデイブ・キャンプ氏(共和党)が中心となった提案(「キャンプ案」)、 トランプ氏が大統領選挙時に提唱していた税制改革案(「トランプ氏選挙時案」)、共和党が2016年6月にブループリントと称して発表した素案(「共和党BP」)の3案を比較すると、いくつかの傾向を見ることができます。
複数のシナリオ・プランニングの必要性
共和党BPとトランプ氏選挙時案との間にも一定の相違があり、また、具体的な税制改正案が発表されていないため、現段階で税制改革の想定インパクトを測定する場合には、 複数のシナリオを考える必要があります。
一例としては、下記整理の仕方が考えられます。
次回からは6回にわたり、本稿で俯瞰した重要の個別項目につき、その詳細と日系企業にとっての潜在的な影響について解説いたします。
2017年4月6日更新
本連載における税制改革議論の進捗については、更新日現在の情報を基に記載しています。
PwCは、米国企業のCFOやCOOを対象にパルスサーベイを実施しました。ビジネスリーダーが大統領選挙後の世界をどのように見ているのかを明らかにし、今後の事業展開を検討する上でのヒントを提供します。
トランプ政権税制改革が日系企業に与える税務のインパクトをお伝えします。
私たちは、PwC米国での駐在経験者とPwC米国からの出向者から構成される米国タックスデスクを設置しています。米国タックスデスクは、日本および米国双方の観点から税務アドバイスをワンストップで提供しています。
トランプ新政権による減税や規制緩和の取り組みは、長期的な影響をもたらします。PwCではインパクトの大きい政策領域について継続的な調査を行っています。