
このサイトでは、クッキーを使用して、より関連性の高いコンテンツや販促資料をお客様に提供し、お客様の興味を理解してサイトを向上させるために、お客様の閲覧活動に関する情報を収集しています。 このサイトを閲覧し続けることによって、あなたはクッキーの使用に同意します。 詳細については、 クッキーポリシーをご覧ください。
2024-11-26
2024年8月6日、財務省とIRS(内国歳入庁)は、二重欠損金(DCL: dual consolidated loss)規定の下で生じる特定の論点(関連会社間取引や株式保有から生じる項目の影響など)に対処する規則案を公表した。本規則案ではまた、第2の柱の特定外国ミニマム税制等との関連で、DCL規定の適用(その特例も含め)についても言及している(GloBEモデルルールとDCL(Notice 2023-80)について、本誌2024年2月号参照)(注1)。さらに、本規則案には、外国税法上損金算入可能で、特定事象により米国所得が発生するとみなされる特定支払い(disregarded payments)に係る新規定が含まれている。DCL規定は、Section 1503(d)および関連規則に規定されており、単一の経済損失が、米国税が課される(外国税は課されない)所得と、外国税が課される(米国税は課されない)所得とで(二重に)相殺/減額されることを防止することを目的としている。本規則案では、DCL規定と関連会社間取引規則との関連、別個のユニット(外国支店やハイブリッド事業体の持分)/二重居住法人に帰属する所得/DCLの計算に関するガイダンスを示しており、外国の適格国内ミニマムトップアップ税(QDMTT)や所得合算ルール(IIR)との関連で、さまざまな定義や運用規定を改訂している(注2)。また、本規則案では、(外国で使用される)特定支払い損失(DPL)に関する新規定を導入している。内国法人の特定事業体(disregarded payment entity)に係るDPLルール適用のみなし同意(consent)規定がある他、DPLの計算や報告に関する規定、複数の特定事業体(例えば、同一国の税務上の居住事業体)を一体として適用する特定規定、DPLに係る所得算入のトリガー事象を規定している。また、二重居住法人に対するDPL規定の適用や、DCL規定との関連についても触れている。なお、本規則案では、DCL規定やDPL新規定の目的を回避する目的で締結された取引や取決めに対処するため、新たな租税回避防止ルールを規定している。本規則案について、2024年10月7日(連邦官報への掲載から60日後)まで、コメントを募集している。
(注1) 本規則案では、軽課税所得ルール(UTPR)の取扱いには触れていない。
(注2) 本規則案では、QDMTTやIIR同様、移行期間CbCRセーフハーバーにおいても、DCL規定の対象になる(外国での損失の利用とされる)可能性があることが明確化されている。一方、OECDが2023年12月に公表した第2の柱GloBE執行ガイダンス(第3弾)にある「ハイブリッド裁定取引取決め」(重複損失規定)(本誌、2024年2月号参照)により、移行期間CbCRセーフハーバーの適用上、DCL規定に係る損失控除ができないが、同セーフハーバーの適用要件は満たせる(トップアップ税額がゼロとみなされる)場合、当該損失に係る外国での使用はないものと扱われよう。なお、OECDの重複損失規定やEUの租税回避防止規定(ATAD II)に従ってEU各国で導入されたハイブリッド防止規定で、納税者が、損失の使用国を選択できる場合は、同等の法制(mirror legislation)とは扱われないであろう。本規則案には移行規定が含まれている。
出典:PwC, Tax Insights
「月刊 国際税務」2024年10月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修