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2022-05-17
温暖化防止に向けた脱炭素、高齢者福祉、ジェンダー平等など、近年、社会や環境の課題解決に向けたESGやSDGsに関する取り組みを目にしない日はありません。
まちづくりを担う自治体にとって、企業が果たせない公共性を担うこと、そしてこれらの社会や環境に係る課題に取り組むことはまさに本分です。社会や環境の課題を解決することは必ずしも経済合理性に合うとは言えないこともあり、民間企業が取り組むにはハードルが高い面があります。さらに取り組み自体が長期間にわたるケースが多いため、なおさら自治体の果たす役割は大きいと考えられます。
こういった役割を担うため、インパクト投資を導入している自治体があります。従来の投資はリスクとリターンにより判断されていた一方で、インパクト投資は財務的リターンだけではなく、生み出されるポジティブで測定可能な社会的および環境的インパクトによっても判断されます*1。
インパクト投資では、その判断基準として「インパクト評価」を実施します。これは、社会的および環境的な価値を可視化し、活動により生じる効果を加味して判断するものであり、社会や環境にとってポジティブな取り組みを促すことができます。具体的には、下図のとおり、取り組みに投下する資源(インプット)から、直接の結果であるアウトプット、社会的・環境的な変化であるアウトカムインパクトの因果関係を定義します。インパクトを可視化することで、社会的価値も加味した活動として評価することができます。
図:ロジック・モデルの事例(リハプラン)
出典:GSG国内諮問委員会 インパクト投資におけるインパクト測定・マネジメント実践ガイドブック https://impactinvestment.jp/user/media/resources-pdf/Guidebook_for_Impact_Measurement_and_Management.pdf(2022年5月12日閲覧)
社会的・環境的価値を可視化することは、自治体にとって2つの意味があります。
1つ目は、インパクト評価を用いて対外的にアピールすることができる点です。定量的な指標で活動を可視化することで他の自治体との差別化を図り、対外的に訴求することができます。国内企業の多くは社会的価値創出に向けた取り組みを加速させており、インパクトの可視化は企業の誘致や協業につながります。この背景には、社会や環境に有害な企業活動が将来、市民に受け入れられなくなる、規制される、税負担が重くなるといったリスクの存在があります。実際に、ESGと財務パフォーマンスは多くの研究でポジティブまたはニュートラルな関係があることが示されています*2。
2つ目は、インパクト評価を受けた、社会的・環境的な課題解決に向けた取り組みを加速させることができる点です。社会的・環境的価値を可視化すれば、従来の慣習や勘に頼った判断ではなく、施策ごとに社会的・環境的価値をどの程度実現できるか、経済価値と合わせて評価、比較することが可能になります。例えば、すぐに経済価値が実現しない防災などの取り組みも、社会的・環境的価値と合わせて、投下資源の妥当性を主張できます。逆に、ある程度の経済価値があっても、社会的価値がマイナスとなる場合は歳出を抑える必要があるかもしれません。このように、インパクト評価を活用することで内外のステークホルダーの理解が進み、活動を推進していくことが可能になります。
インパクト投資、評価の詳細についてはこちらを参照ください。
加藤 貴史
シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社
総人口と労働力の減少、高齢化の進行が予測される昨今の日本において、「スマートシティ」の取り組みが注目されています。PwCはSociety5.0時代の社会課題の解決に向け、クライアントである行政とその先に暮らす住民の価値創出を、ワンストップで支援します。
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