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2021-02-09
現在、日本では諸外国に例をみないスピードで高齢化が進行しています。その変化に合わせて地域で医療を支えていく体制の再構築が求められており、地域医療構想や医療計画など、いわゆる医療提供体制を整備する取り組みが政策として推進されています。それに対し、近年は住民が日常生活の中で健康管理を行えるような取り組みも各地で多数始まっており、これらの背景を通じ、これからのまちづくりに求められるヘルスケアのあり方について考察します。
政府が推進するPHR(Personal Health Record)を活用し、自分の医療データをスマートフォンなどの個人端末に集約することで、自ら健康管理を行うサービスが始まっています。具体的には前橋市で行われている妊娠・出産・子育て支援や西宮市、多久市などで行われている生活習慣病重症化予防といったPHRサービスモデルが「総務省のPHRに関する取組」の中で紹介されています。これらは、病院に蓄積されている診察や検査に関するデータだけでなく、ウエアラブル端末から取得する自身のバイタルデータもPHRデータとし、アプリを通じて連携サーバに収集・活用することで、自分自身で適切な健康管理を容易に行えるようサポートする取り組みです。また、病院ではなく住人の暮らしの身近な場所、例えば行政機関や商店街などで、看護師が会話を交わしながら住民の健康状態を把握し、必要に応じてケアを提供するといった取り組みも始まっています。これは会話を通じて住民の状態を把握して、生活習慣に合わせて必要な行動や確認すべき項目のアドバイスを行うもので、必要に応じて早期の受診勧奨などもします。それにより、病気の予防や重症化への対策を行うことが可能となります。
このように住民が日常生活の中で健康管理できる環境の整備が進められている背景には、「保健医療2035提言書」の中で「キュア中心からケア中心へ」と表現されているように、治療することから、生活の質を維持・向上することにニーズが移行している点があげられます。また「インプット中心から患者にとっての価値中心へ」と掲げられているように、医療の管理や質を評価するにあたっては、医療提供の体制(インプット)より、治療やケアにより得られる成果(アウトカム)が重視されるようになってきている点も見逃せません。
安心・安全で、賑わいのあるまちづくりの実現に向けては、病院や診療所などの医療提供体制だけではなく、日常生活に溶け込んだヘルスケアサービスの展開が必要になります。そして住民の健康を維持するためには、各地域の気候、嗜好、生活習慣などを加味したアドバイスが有効であり、地域の特色に合わせて必要な取り組みを検討し、実施することが望まれます。
加えて、地域や世代によって異なる住民のニーズや今後の人口動態の変化を、官民が連携することでいち早くキャッチし、継続的にまちづくりに反映することが求められます。たとえば、行政が把握可能な情報やPHRなどに合わせて、住民が抱える課題を医療現場にとどまらない幅広いフィールドから収集する取り組みなどが必要になると考えられます。人と人とのつながりを大切にしながら、適切なテクノロジーを活用して、地域で住民の健康を支える仕組みをつくる。このような仕組みは新型コロナウイルス感染症などの感染症対策においても有効であり、感染状況の把握や医療機関の稼働率などを可視化することで、感染拡大予防に向けた効果的な対策や、必要な医療資源を把握して早期に対応を打つことが可能になる。そうすることでまちに人が集まり、活性化し、さらに新たな取り組みを実施することが可能になる。このようなサイクルを生み出すことが、スマートシティに求められる条件のひとつとなるのではないでしょうか。
※詳しくは「2050年 日本の都市の未来を再創造するスマートシティ」レポートをご覧ください。
総人口と労働力の減少、高齢化の進行が予測される昨今の日本において、「スマートシティ」の取り組みが注目されています。PwCはSociety5.0時代の社会課題の解決に向け、クライアントである行政とその先に暮らす住民の価値創出を、ワンストップで支援します。
PwCでは、多様なプロフェッショナルが豊富な経験と独創的な発想力を生かして、官公庁や地方自治体、公的機関が抱える課題の解決を支援しています。
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