スマートシティのデジタル基盤コンサルティング

スマートシティに関するコンサルティングサービスの1つとして、スマートシティのコアとなる「都市OS」の構想策定・システム設計・運用設計・導入および運用保守体制構築を支援します。スマートシティの取り組みを「実証実験」からリアルな「街づくり」のフェーズへと移行させ、地域の課題を継続的に解決することで、都市OSを地域発展を支えるsmart society platformへと進化させることを目指します。

国内スマートシティは検証段階から実運用段階へ

スマートシティとは、ICTなどの新技術を活用し、計画、整備、管理・運営などのマネジメントを高度化することで、都市や地域が抱える諸課題を解決したり、新たな価値を創出し続けたりする持続可能な都市や地域のことです。Society5.0の先行的な実現の場としても定義されています*1

スマートシティを推進する際の参考資料として、「スマートシティリファレンスアーキテクチャ」(Smart City Reference Architecture、以下「SCRA」)が公開されています。

SCRAによると、日本のスマートシティ実現に向けた主な課題は①サービスの再利用・横展開、②分野間のデータ利活用、③拡張性の3点です。これらの課題解決に向けて都市OSを設計することが求められており、具体的な対策として「相互運用(つながる)」「データ流通(ながれる)」「拡張容易(つづけられる)」が挙げられます(図表1)。

都市OSとは、スマートシティ実現のために、各地域が共通で活用する機能が集約され、さまざまな分野のサービスの導入を容易にするITシステムの総称です。都市OSを通じてスマートシティサービスが提供されることで、データやサービスが自由かつ効率的に連携されることが期待されます。

図表1 スマートシティ実現に向けた課題と対策

課題 対策(都市OSの特徴)
サービスの再利用・横展開 相互運用(つながる)
分野間データ利活用 データ流通(ながれる)
拡張性の低さ 拡張容易(つづけられる)

都市OSの導入における課題

SCRAはスマートシティの実現に向けた優れた参考資料ですが、自治体や地域が都市OSを設計する際に必要となる、ビジョンや戦略を踏まえたKGI(重要目標達成指標)およびKPI(重要業績評価指標)、地域特有の課題、現実的な運用体制など、個別の要件をどのように都市OSの設計に反映するかについては具体的に言及されていません。したがって都市OS導入時には、地域のニーズや課題に応えるためのさまざまなユースケースに対して、SCRAに準拠しつつ適切な機能モジュールを選択し、システムの実装や、運用体制を個別に検討する必要があります。これが都市OSの導入のハードルを高くしています。

解決すべき課題を意識した上で都市OSに必要な機能を選択し、システムと運用の双方の視点からどのように実装していくかを検討するためには、都市OSや関連システムに関する知識や、実稼働を想定した運用設計に関するノウハウ、そして地域のニーズや課題に関する理解が必要となります。こうした要望に応えるには、ビジネスとテクノロジーの双方の知見を備えた「アーキテクト」が必要です。

PwCのアプローチ

デジタル庁では、都市OSの標準として「FIWARE」を採用する動きを加速させています*2。さらに地域のニーズ把握、関係者間でのディスカッションや合意形成を促すコミュニケーション基盤である「Decidim」の活用も広がっています。またデジタル田園都市国家構想推進交付金をはじめ、スマートシティ実現に向けたデジタル基盤の構築を中央省庁が後押しする動きも見られます。

PwCコンサルティングはこれらの行政の動きも意識しながら、ビジネスとテクノロジーの知見を併せ持つアーキテクトとして、スマートシティの実現に貢献します。スマートシティの構想策定や、スマートシティのコアとなる都市OSに関する論理設計、補完ソリューションの選定、継続的な運用を可能とする体制構築など、スマートシティの構想から実運用まで一貫した支援を提供します。

また、市民が参画するデジタル基盤に関連し、行政と地域コミュニティのニーズの把握や、関係者間のディスカッションおよび合意形成をサポートします。

私たちは都市OSの導入自体を目的とするのではなく、地域の課題を継続的に解決し、市民とコミュニケーションを取りながら地域発展を支えるsmart society platformへと進化させることを目指しています。

主要サービス

SCRAに準拠した独自のリファレンスアーキテクチャ

  • 各機能を5つの階層(レイヤー)に分類した上で、登場人物(アクター)を定義し、それぞれのレイヤーとアクターの機能を対応付けました。
  • SCRA内の都市OSでは各機能群が並列で分類されている一方、実際のシステムにはレイヤーがあり、またそれぞれのアクターが担うべき役割が異なるため、誰がどのレイヤーを担うかを検討することが可能です。

ユースケース整理フレームワーク

  • 各地域が実際に都市OSを利用するケースを想定し、データの配置および流れ、データを扱う上での法例などを整理するため、大きく6つのアウトプットからなるフレームワークを準備しています。
  • パーソナルデータ分野のリファレンスアーキテクチャ設計書に準拠して作成することが可能です*3

図表2 ユースケースの整理とsmart city platform

FIWAREやDecidimといったOSSを含む各種サービスによる実装環境の支援

  • 日本の都市OSにおいてデファクトスタンダードとなりつつあるOSSとして注目されているFIWAREや、コミュニケーション基盤のOSSとしてのDecidimをはじめ、多様なパブリッククラウドサービスの組み合わせによる実装・要件定義を支援します。

*1 出典「スマートシティ」(内閣府)https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/smartcity/index.html

*2 出典「デジタル田園都市国家構想実現会議(第4回)資料8『データ連携基盤の整備について』」(デジタル庁)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digital_denen/dai4/siryou8.pdf

*3 出典「2019年度SIPパーソナルデータ分野アーキテクチャ構築DTA公開」(一般社団法人データ流通推進協議会)
https://data-trading.org/sipb-1_personaldataarchitecuture_dta/

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主要メンバー

奥野 和弘

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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黒田 育義

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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