近年のデータ駆動型社会の進展に伴い、従来の財務情報中心の経営から、非財務情報を加えたさまざまなデータを活用する次世代型経営への転換が求められています。その中で、組織のビジネスプロセスやタスクの可視化・監視を可能にするプロセスインテリジェンスが存在感を高めています。
プロセスインテリジェンスは、従来のビジネスインテリジェンスの下位に位置するものから、ビジネスインテリジェンスと対等な存在になりつつあります。
これからの企業経営では、貸借対照表と損益計算書に加えて、ビジネスインテリジェンスとプロセスインテリジェンスを有機的に活用することが、財務情報と非財務情報の有効活用につながり、持続的競争優位の源泉であるオペレーショナル・エクセレンスを実現することになります。
本稿では、プロセスインテリジェンスとビジネスインテリジェンスを経営フレームワークに効果的に導入するためのポイントや、具体的な導入効果について解説します。
急速に進化する今日のビジネス環境において、組織はデジタル化とグローバリゼーションの変調に伴う多種多様なリクエストに対応するために、経営戦略を適応させ続ける必要があります。また、データ駆動型社会の到来が、誰の目にも明らかになってきた昨今、この変化の波は社会の構成員全てを巻き込もうとしています。このポールシフトともいえる大きな変化における重要な要素は、主に財務情報に依存する従来の経営手法から、財務情報と非財務情報の両方を活用して意思決定を行うデータドリブンアプローチへの移行です。
貸借対照表や損益計算書などの財務諸表(BS/PL)を中心とした従来の経営パラダイムでは、組織全体の健全性やパフォーマンスについて限られた視点しか得ることができません。これらの財務諸表は、組織の財務状況を理解する上で極めて重要であるが、競争優位をもたらす業務パフォーマンスや基礎的なプロセスの全容を把握できないという弱みを抱えています。
これは、複雑化する企業活動と進化しない経営パライムを表すネットミームの一種として、時にCEOの、時にCIOの嘆きというように主語を変えながら、「クラウドファーストではなく、自分たちがクラウドになってしまった」という内容で語られることが多くなっています。
一方、新しいパラダイムであるデータドリブンアプローチにおいては、非財務情報を意思決定プロセスに取り入れることに大きな価値があります。業務やプロセス関連の指標を含む多様なデータを活用することで、組織は全体的なパフォーマンスや競争上の優位性に寄与する要因についてより深い洞察を獲得できるようになり、データに基づく最適な意思決定を行うことが可能となります。特に“クラウド”となりがちな、戦略や政策といった不確実性が高く抽象度が高い分野では、その効果の力強さは顕著に表れます。
プロセスインテリジェンスとビジネスインテリジェンスは、データドリブンアプローチのパラダイムにおいて不可欠なツールを指す概念です。
プロセスインテリジェンスとは、組織内のビジネスプロセスを分析、評価、監視、最適化するために使用される手法とツールのことを指します。これは、イベントログやその他のデータソースから情報を抽出し、プロセスの流れを可視化・理解するプロセスマイニング技術によって実現されます。プロセスインテリジェンスは、従来は、ビジネスインテリジェンスの下位に位置するもの、あるいは包含されるものという位置づけでしたが、ビジネスインテリジェンスと対をなすものになりつつあります。この変化は、社会のデジタル化により、取得できるデータの粒度・精度が向上したことによりもたらされたものです。
一方、ビジネスインテリジェンスは、ビジネス情報を分析・提示するための戦略、技術、実践を包含しています。これには、データレイク、データウェアハウス、レポーティング、分析ツールなどが含まれ、組織がデータと情報に基づいた意思決定を行うことを支援します。
プロセスインテリジェンスとビジネスインテリジェンスは、業務実績、顧客行動、市場動向に関する洞察を提供することで、組織の効果的な運営に貢献します。これらの洞察は、戦略的な意思決定、プロセス改善の推進、成長と革新の機会の特定という価値を提供します。
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働き方改革・DX、パンデミック対策などで在宅勤務・テレワークが推進されている中、監査においても国内外を問わず遠隔地の拠点に対するモニタリング方法の見直しが求められています。