米国保険業界 2019年第4四半期のM&Aに関するインサイト

2020-03-27

大型案件が第4四半期の保険業界の取引金額を大きく押し上げた

2019年第4四半期、米国保険業界では125億米ドルの取引が発表され、四半期の取引金額としては過去2年近くで最大となった。また、損保、生保、再保険のサブセクターにおける4件の大型案件が業界の話題をさらった。

第4四半期の公表済み取引金額は急増したものの、2019年通年の総額は199億米ドルと、2018年に達した記録的な水準の51%にとどまる。2018年に実施された2件の大規模なM&A案件(AXAとXLの大型提携など)が影響し、前年との比較にひずみが生じている。

2020年は、潤沢な手元資金を抱えるプライベート・エクイティとコーポレートバイヤーによる活発な取引が予想される。

「第4四半期は保険会社による戦略的な事業売却が目立った。バイサイドで資金の出し手となったのはコーポレートセクターやオルタナティブ投資家であり、ランオフのレガシー事業が注目されている。」

John Marra, US Insurance Deals Leader

トレンドとハイライト

  • 2019年を通して保険業界の取引件数は減少し、この傾向は第4四半期も続いた。ブローカーサブセクターの取引は、バリュエーションマルチプルの高さと、魅力的な資産をめぐる競争の激化から、取引件数が2018年第1四半期以来の水準にまで減少した。しかし2019年春以降、損保と生保のサブセクターにおける取引への関心が再び高まっていることから、保険業界全体の取引件数への影響は相殺されている。
  • 第4四半期に最も大規模な買収を発表したのはNew York Life Insurance Companyである。同社はCigna Corp.の団体生命保険・就業不能保険事業を約63億米ドルで買収することに合意した。この買収により、New York Lifeは従業員福利厚生保険事業を拡大することが可能となり、Cignaは非中核事業を手放せるようになる。

M&A取引のハイライト


その他の重要な取引

大型案件

東京海上ホールディングス株式会社の事業部門でヒューストンを本拠とするHCC Insurance Holdings Inc.は、Privilege Underwriters, Inc.およびその傘下のスペシャルティ保険に特化した子会社Pure Groupを31億米ドルで取得することに合意したと発表。この買収により、個人富裕層分野での成長機会が生まれると予想される。

The Carlyle Groupと東京を本拠とする株式会社T&Dホールディングスは、American International Group, Inc.から、Fortitude Group Holdingsの持分76.6%を18億米ドルで取得することに合意したと発表(Fortitudeのグループ会社はFortitude Reとして事業を行う)。この取引を通じて、Fortitude Reはレガシー保険ポートフォリオを取得・管理するプラットフォームとしての成長計画を推進する資本を確保する。

Resolution Life Group Holdings Ltd.は、Voya Financial, Inc.から、生保事業とその他生保・年金のクローズドブロックを12億5,000万米ドルで取得することに合意。この取引により、Voyaは資本集約的なレガシーブロックを売却し、少ない資本で運営する高成長の中核事業に集中することが可能となる。

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インシュアテック取引

Aonは、企業向けデジタル保険プラットフォームの大手であるCoverWalletを取得することに合意したと発表(買収金額は非公表)。この買収により、Aonの中小規模顧客向けクライアントソリューションのデジタル化と、データアナリティクス活用能力の向上が期待される。

Securian Financial Group, Inc.は、従業員福利厚生・人事業務のプラットフォームであるEmpyrean Benefit Solutions, Inc.を取得することに合意したと発表(買収金額は非公表)。これはSecurianによる戦略的買収であり、テクノロジーの改善と従業員福利厚生業務の強化を目的としている。

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その他の注目取引

第4四半期、車両サービス保証契約を提供する会社への関心が、2件の取引につながった。12月、Tiptree Inc.はSmart AutoCare Inc.を1億1,000万米ドルで取得することで合意したと発表。また、Goldman Sachs Group, Inc.は、Safe-Guard Products International LLCのStone Point Capitalへの売却に関する書類を連邦取引委員会に提出した。

The Carlyle Groupは、The Hilb Group, LLCの過半数持分を取得することで合意したと発表(買収金額は非公表)。Hilbはこの取引で得た資金を、M&A取引を通じた成長と、新たな地域への進出や取扱商品の拡大に振り向けると予想される。

2019年12月、Athene Holding Ltd.は、同社の100%子会社Athene Life Re International Ltd.を通じ、英国年金給付債務ブロックに8億米ドルの再保険をかけることに合意したと発表。英国市場への初進出となるこの取引により、同社の2019年における年金リスク移転関連取引の総額は60億米ドルに増加した。

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保険業界の取引の見通し

  • 2020年のM&A取引は1月に堅調なスタートを切り、Thomas H. Lee Partners, L.P.がAmeriLife Group, LLCの買収を発表した。買収金額は10億米ドル超と報じられている。AmeriLifeは生保、医療保険、金融サービス商品を退職者や退職間近の顧客に提供している。
  • 保険業界のM&Aは2020年も安定して推移すると予想される。政治や経済の不透明感を受け、上昇し続けるバリュエーションに対する精査が強まる可能性がある。しかし、企業やプライベート・エクイティの手元資金は潤沢であり、堅調な取引水準が継続すると見込まれる。
  • 保険会社のレガシー事業を最適化するために、レガシーブロックなど資本集約的な事業を売却し、少ない資本で機動的に運営できる事業に集中する動きが続くと予想される。一方、レガシーブロックへの需要は引き続き高まるだろう。特に、レガシーリスクの管理に特化し、投資リターンの向上を目指すプライベート・エクイティや業界関係者からの関心が高くなると思われる。
  • ブローカーサブセクターの取引は、2019年は全体の約85%を占め、今後も保険業界の取引の大きな部分を占めると予想される。一方、全体の取引件数は減少する可能性がある。バリュエーションマルチプルが上昇していることを受けて、大手保険ブローカーの買い手はターゲットに対してさらに選択的になるかもしれない。大手業界関係者がより小規模なターゲットを有利なトランザクションマルチプルで獲得・統合しようとしていることから、中小規模ブローカーへの関心は高水準を維持すると予想される。

データについて

本レポートにおけるM&A取引の定義は、ターゲットが米国またはバミューダを本拠とする保険会社であり、かつ買収者が米国またはバミューダを本拠とする保険会社である合併・買収としています。大型案件の定義は、取引金額が10億米ドル以上の取引です。事業売却の定義は、米国を拠点とする売り手による(会社全体の売却ではなく)会社の一部売却です。当社の見解は、業界で認知された情報源から提供されたデータに基づいています。本レポートで使用した金額および件数は、2019年12月31日現在でCapital IQにより提供された、取引額公表済みの取引の発表日に基づいており、これに当社の追加的調査を加え、補完したものです。

過去の期間に関係する情報は、過去に完了しているもののデータセットに反映されていなかった取引についてCapital IQが収集した新データに基づき、定期的に更新しています。取引情報はCapital IQを出所とし、買い手またはターゲットが保険業界のサブセクターに該当する取引が含まれています。保険業界のサブセクターには、生保・医療保険、損保、保険ブローカー、インシュアテック、その他(権原保険、金融保証、マルチライン保険など)が該当します。データ情報源では金融サービスに分類されていても、当社ではテクノロジーやその他のセクターに分類する(またはその逆の)取引があるため、情報に一定の調整を加えています。

翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。

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