暗号資産取引規制におけるブロックチェーンに対する攻撃の位置付けと想定される対応事項

  • 2026-10-22

はじめに

ブロックチェーンは暗号資産の技術的基盤として用いられており、ブロックチェーンに対する攻撃は暗号資産の価格形成や暗号資産取引の公正性を害する行為として、暗号資産市場に重大な影響を与える可能性があります。

2017年に暗号資産に関する規制が資金決済法に追加されて以降、ブロックチェーンに対する攻撃は暗号資産交換業者等が管理する利用者資産の安全性や業務の適正性を脅かすものと位置付けられ、主として暗号資産交換業者(暗号資産取引所および暗号資産販売所)におけるリスク管理の対象として扱われてきました※1。

その後、2026年7月23日には「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律」が公布され※2、暗号資産の取引に適用される規制内容は資金決済法から金融商品取引法に移管されることになりました。また、併せて、従来「暗号資産交換業」※3と位置付けられてきた、暗号資産の売買または他の暗号資産との交換等の業務は特定暗号資産の引受け等の業務とともに「暗号資産取引業」※4へと位置付けが変わり、これを行う事業者は「暗号資産交換業者」※5から「金融商品取引業者」※6へと位置付けが変更され、より広範な規制が適用されることとなりました。

さらに、暗号資産に係る不公正取引規制の導入は、ブロックチェーンに対する攻撃が不公正取引の問題にもなり得ることを示しています。このような状況において、暗号資産取引業を行う金融商品取引業者が犯罪と評価され得る行為に対して適切な対処を行わないことは、規制上求められる態勢整備上の問題のみならず、レピュテーションの深刻な悪化にもつながりかねません。

本稿では、日本において今般導入された暗号資産に係る不公正取引規制を前提として、ブロックチェーンに対する攻撃の法規制上の扱いを整理するとともに、PwCによる支援の経験を踏まえて暗号資産取引業を行う金融商品取引業者において求められる実務対応を示します。

なお、文中の意見は筆者の私見であり、PwCJapan有限責任監査法人および所属部門の正式見解ではないことをお断りしておきます。

※1 資金決済法63条の10参照。

※2 以下に示す金融商品取引法上の規定内容および条文番号は、本法による改正後のものです。なお、改正後の金融商品取引法の規定については以下を参照。
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/221/meisai/m221080221057.htm

※3 資金決済法2条15項。

※4 金融商品取引法28条5項、同法2条8項18号から25号まで。

※5 資金決済法2条16項、同法63条の2。

※6 金融商品取引法2条9号、同法29条。

目次

  1. ブロックチェーンが攻撃される背景
  2. ブロックチェーンに対する攻撃の法規制上の位置付け
  3. 暗号資産取引業を行う金融商品取引業者に求められる実務対応
  4. おわりに

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執筆者

PwC Japan有限責任監査法人
ガバナンス・リスク・コンプライアンス・アドバイザリー部
パートナー 竹内 秀輝

PwC Japan有限責任監査法人
ガバナンス・リスク・コンプライアンス・アドバイザリー部
マネージャー 安嶋 建