近年の生成AIの発展は目覚ましく、日々ニュースやSNSを賑わせています。新たな技術をいち早くキャッチアップし、活用できるかどうかが企業の競争力を左右する時代となり、各分野で最新テクノロジーを駆使したビジネス創出が加速しています。この変革の波は、会計監査の分野も例外ではありません。被監査会社の一部ではデータ基盤を構築した上で生成AIの利活用やデータ分析、経営判断を行っています。このような時代に、監査人もまた業務変革を求められていると言えます。
では、AIやデータ分析によって会計監査はどのように変容していくのでしょうか。AIおよびデータ分析技術の進化は、サンプリングに基づく試査から、全取引データを対象とする精査を可能にし、不正や誤謬の兆候をタイムリーに検知する継続的監査の実現も視野に入ります。
テクノロジーによって高度化した監査の世界では会計士の役割も大きく変わります。定型的な作業はAIに代替される一方で、会計士にはAIの分析結果を批判的に評価し、複雑なビジネスリスクに対して高度な専門的判断を行う能力が求められます。さらに、テクノロジーを使いこなすITリテラシーをもとに、経営者と対話することの重要性が高まるでしょう。本稿では、AIの進化が監査プロセスに与える影響と会計士の役割の変化について考察します。
なお、本文中の意見に関する部分は、筆者の個人的な見解であり、PwC Japan有限責任監査法人および所属部門の正式見解ではないことを申し添えます。
PwC Japan有限責任監査法人 DX企画室
シニアマネージャー 清水 希理子