本シリーズでは、企業の近年の農業との関わり方について、企業はなぜ農業に関わろうとするのか、どのように関わっていくべきなのかを考察しています。第1回、第2回では事業活動の直接的な関わりやサプライチェーン、リスク、ステークホルダーからの期待の観点を中心に、いわば企業自身のための農業の関わりについて考察しました。第3回となる本稿では、企業活動の源泉たる従業員のための視点や、関わりを持つことになる地域の視点から企業と農業の関わりを考察します。
従業員や地域の視点を中心に据えて農業に関わる施策を実施することは、企業の事業活動上の直接的なリターンとなりにくいことも多く、短期的な目線では評価されにくい活動となる可能性もあります。一方で、企業が長きにわたって存続し続けるためには、中長期的な視点に立った経営判断が求められます。本稿では、企業が従業員の農業への関わりを後押しするメリットや、中長期的な視点に立って地域と関わることで地域の課題解決に寄与しながら得られるリターンについても考察します。
なお、文中の意見は筆者の私見であり、PwC Japan有限責任監査法人および所属部門の正式見解ではないことをお断りしておきます。
PwC Japan有限責任監査法人
リスク・アシュアランス部
パートナー 三澤 伴暁
PwC Japan有限責任監査法人
企画管理本部
ディレクター 三橋 敏