信頼の絆 ── PwC京都監査法人の歴史を振り返る

  • 2024-02-26

はじめに

2023年12月1日にPwC京都監査法人はPwCあらた有限責任監査法人と経営統合し、PwC Japan有限責任監査法人の京都事業本部として新たな歩みを始めました。京都(四条烏丸)と東京(田町)の2拠点は、それぞれ京都第一アシュアランス部と京都第二アシュアランス部と名称を改め、従来のPwC京都監査法人のクライアントの皆さまに業務を提供する部門として再始動いたしました。

監査法人を取り巻く昨今の環境は、監査のDX化推進や非財務情報開示の保証業務の導入をはじめとして、将来に向けての大きな変化点にあります。今回の統合は、この環境変化を追い風として、同じPwCネットワークの監査法人として以前から協働・協力体制にあったPwCあらた有限責任監査法人との連携を強め、お互いの強みを結集して新しい監査法人として新たに出発をするものです。

この経営統合の目的は、多様な経験と人財を生かして社会の期待に幅広く応えることのできる最高品質の監査法人を創り上げることにあります。今後もその実現に向けて取り組み続けていくことを基本方針としています。

1 PwC京都監査法人の歩み

PwC京都監査法人のルーツは、1955年に公認会計士の宮村久治(1923-2001)が開設した公認会計士事務所にあります。経済団体連合会主催の欧米の監査制度視察団にも参加した宮村は、その後、日本の監査法人制度の創設とともに、1968年に監査法人中央会計事務所(その後、中央青山監査法人、みすず監査法人に名称変更)の創設メンバーとして監査法人の設立に参画し、日本における監査法人制度の発展に寄与しました。宮村公認会計士事務所開設以来の「信頼」される監査人、監査法人としての基本理念は、今日に至るまで、私たち京都監査法人(その後PwC京都監査法人に名称変更)にも受け継がれてきました。

監査法人の創業期よりご縁をいただいたクライアントの皆さまは、日本の高度経済成長とともに業績を躍進させ、グローバル展開とともにその業容を大きく拡大されました。それに伴い、私たち監査法人も成長する機会に恵まれました。

2007年当時、私たちにとっての大きな環境変化が生じた際に、それまで京都の地においてご縁をいただいていた多くのクライアントの皆さまから、地域に根差した監査法人とのご縁を継続していくことに一定理解を得られたことから、京都事務所のメンバーを中心に京都と東京に拠点を置き、京都監査法人は誕生いたしました。皆さまに大変なご迷惑をおかけしたと同時に本当に多くのご支援をいただいたことに大変感謝しております。

京都監査法人は、2013年にPwCのメンバーファーム入りをするとともに、2013年には名称をPwC京都監査法人に変更し監査業務を行ってきました。

2 統合に向けて

一方で、あらた監査法人(その後、PwCあらた有限責任監査法人)は、「日本の監査にあらたな風を」のスローガンを掲げて2006年に設立した監査法人です。設立以来、日本におけるPwCのメンバーファームとして、クライアントの皆さまからの信頼を得るためのチャレンジを愚直に重ねてまいりました。

両法人とも事実上の新設・単独法人であり、設立時より懸命に社会から信頼される監査法人を目指して、今日までそれぞれの監査法人での運営を進めてきました。一方で、以前より、同じPwCのメンバーファームとして人的な交流などもあった中で、PwCあらた有限責任監査法人とPwC京都監査法人は共同で顧客に業務を提供する可能性の検討を進めていました。

その結果、両法人において、顧客へさらに高品質の業務を提供し、職員に幅広い成長の機会を提供することができるという確信を得られたことから、この度、経営統合し、新たな歩みを始めることになりました。統合後においてもクライアントの皆さまとのリレーションやPwC京都監査法人時代の活動を組織に円滑に浸透していく等の観点から、新たに「京都事業本部」を設けました(図表1)。

図表1:PwC京都監査法人の歩み

西暦 年号 内容
1955年 昭和30年 宮村久治公認会計士事務所開業
1968年 昭和43年 監査法人中央会計事務所設立(宮村代表社員就任)
1993年 平成5年 中央監査法人に名称変更
2000年 平成12年 中央青山監査法人に合併名称変更
2001年 平成13年 宮村久治没(享年78歳)
2007年 平成19年 京都監査法人設立登記
2007年 平成19年 京都監査法人営業開始
2013年 平成25年 PwCのメンバーファームに
2016年 平成28年 PwC京都監査法人に名称変更
2023年 令和5年

PwCあらた有限責任監査法人と経営統合

PwC Japan有限責任監査法人に名称変更

出所:PwC作成

3 「信頼」について

PwC京都監査法人は、2007年の設立以来、「信頼」される監査法人を基本理念に、その「信頼」の源となる「人」に着目した経営を行ってきました。全ての職員が「人のために」という考え方を業務を行う上での基本的な行動指針として、プロフェッショナルとして「人」の期待に応え、「信頼」を得ることができるよう、法人として個々の職員の「人」としての成長に重きを置いてきました。

統合後も、今まで培うことのできた「信頼」を裏切ることなく、そして社会からの期待に今後も継続的に応えられるように、引き続き「人」に着目した経営を展開していきます。

4 PwC Japan有限責任監査法人として

PwCは、「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」をPurpose(存在意義)として掲げています。このPurposeの実現のために、ステークホルダーの皆さまから信頼される、高い品質のサービスを提供することを目指しています。このPurposeの下、ステークホルダーの皆さまが直面する課題をより深く、より早く理解し、目標としている価値の本質まで踏み込んで、解決の質を上げていくこと、そして、質の高いサービス提供の源泉である人財を幅広く拡充するとともに、倫理的な強さ、人としてのやさしさが生む強さを大切にしながら、自らの変革をリードしていくことを、基本的な行動指針としています。

また、PwCあらた有限責任監査法人は、PwCのPurposeを実現し、いずれの時代においても社会から必要とされる存在であり続けるために、2030年における取り巻く環境を概観し、今後の法人の在り方を構想した中期経営ビジョン「Assurance Vision 2030 ──日本の未来に、あらたな信頼を」を定めています。

このように、PwCのPurposeにおいても、またPwCあらた有限責任監査法人の中期経営ビジョンにおいても、「信頼」は重要な概念として捉えられています。PwC京都監査法人の基本理念である「信頼」される監査法人という考え方と相通ずるものであり、このたび始動したPwC Japan有限責任監査法人においても「信頼」への想いと実現はさらに強固になるものと確信しております。

PwC京都監査法人が古くから大事にしてきた基本理念はこれからも引き継いでまいります。そして、刻一刻と変化する社会のニーズに合った、新しくさらに強固な「信頼」を持続的に構築できるよう、PwCあらた有限責任監査法人の新しい仲間とともに、この新しいPwC Japan有限責任監査法人を運営していく所存です。


執筆者

PwC Japan有限責任監査法人
執行役代表代行、パートナー
鍵 圭一郎

PwC Japan有限責任監査法人
執行役京都事業本部長、パートナー
齋藤 勝彦