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戦略的社会貢献の実践に向けた課題と対応(後編)

2020-10-13

はじめに

前編では、グローバル先進企業の取り組みとの比較に基づき、日本企業が社会貢献活動において抱えている課題の要因として、以下3つを確認しました。後編では、3つの課題への対応案を考察します。

課題の要因(1):社会貢献活動の戦略がコアビジネス戦略と結びついていない

課題の要因(2):目標を設定し、アウトプットおよびインパクトを計測していない

課題の要因(3):パートナーと適切に連携していない

課題への対応案

対応(1):ビジネス戦略と結びついた社会貢献活動の戦略を策定する

社会貢献活動の戦略を策定する上では、自社のビジネスにおける戦略的優先事項を踏まえて、社会貢献活動の優先課題を決める必要があります。まずは既存の社会貢献活動の優先課題がビジネスの戦略的優先事項とどのような関連性があるのか、社会貢献活動が社会のみならず自社に対してどのようなベネフィットをもたらすのかを検討する必要があります。

例えば、教育分野での社会貢献活動は、自社の戦略的優先事項にある人材の確保につながる可能性があります。開発途上国での活動は社会課題の解決だけでなく、新たな製品の開発や将来の市場拡大に貢献する可能性があります。また、これまで社会貢献活動で支援していなかった分野でビジネスの戦略的優先事項に結び付く分野がないか、あらためて検討してみることも推奨します。


対応(2):社会貢献活動をインプット、アウトプット、インパクトで管理する

社会貢献活動をマネジメントする方法として、150以上の企業から構成されるグローバルネットワークであるLondon Benchmarking Group(以下、LBG)は、「LBGフレームワーク」1を提唱しています。LBGフレームワークは、企業の社会貢献活動を「インプット」(何を投入したか?)、「アウトプット」(何が起こるのか?)、そして最終的には達成された「インパクト」(何が変わるのか?)に分類し、投入したリソースとそれにより達成されたコミュニティおよびビジネスに対する結果の観点を評価するためのツールです。社会貢献活動は、特定の社会課題の解決に向けた活動であり、短期的に解決することができない領域となります。また、ビジネスへのベネフィットも短期的に発現するものではなく、中長期的な時間軸で効果が発現することが期待されます。アウトプットのみならずインパクトを計測することで、本来の目的である社会課題の解決に向けて何かが変わるのか、またビジネスへのベネフィットとして何が達成されるのかを確認することができます。


対応(3):国際NGOとの統合的協力関係を構築する

社会貢献活動によるメリットを考慮すると、活動領域・地域が広く、規模が大きい国際NGOと連携することが推奨されます。国際NGOの選定にあたっては、自社の優先課題の分野で活動している国際NGOを調査し、自社の優先課題に沿ったプログラムが実施可能かを確認する必要があります。プログラムの策定にあたっては、対応(2)の通り、インプット・アウトプット・インパクトを設定し、管理します。なお、連携形態は一方的な金銭や物資の提供ではなく、企業とNGOのミッション、人、活動が融合し、組織同士が一体となって連携して共有価値の創造やイノベーションにつなげる「統合的な協力関係」の構築を検討するべきでしょう。

まとめ

社会貢献活動は今や、「利益を得ずに社会の利益に貢献する活動」ではなく、「社会および企業に対して最大限のインパクトを生み出す活動」である「戦略的社会貢献活動」とすることが求められています。そのためには社会貢献活動を経営戦略に組み込み、戦略に基づいて目標を設定し、アウトプット・インパクトを計測することが重要となります。また、施策の実行においては、活動領域・地域が広く、規模が大きい国際NGOと連携することで、企業はより大きなメリットを享受できると考えられます。連携にあたっては、企業とNGOのミッション、人、活動が融合し、組織同士が一体となって連携することで、共有価値の創造やイノベーションにつながります。より戦略的な社会貢献活動を実施するため、あらためて自社の社会貢献活動を見直してみてはいかがでしょうか。

前編はこちら

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