CASE時代のまちの未来

2020-06-02

自動車業界では「100年に一度の大変革期」に入っていると言われています。その主な原動力がCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)です。CASEは自動車業界のみならず、モビリティが関連するあらゆる業界に影響を及ぼすトレンドで、スマートシティの設計にも密接に関わります。

  • Connected:クルマのコネクテッド化(通信機能の搭載)により、クルマの位置情報や周辺環境など、有益で膨大なデータが収集可能となります。またクルマの外から車両や乗員に対して情報を配信することも可能となります。都市運営の観点では、ヒト・モノの移動に関する見える化とコントローラビリティが飛躍的に高まることになります。
  • Autonomous:自動運転が普及することにより、人々が運転から解放されたり、交通事故が減少したりするのに加え、ヒト・モノの輸送効率の最適化や駐車スペースの削減など、都市活動全体の生産性が大きく改善されます。
  • Sharing:完全自動運転の登場を待たずとも、クルマでの移動がカーシェアやライドシェアといったサービスとして提供されることにより、自動運転に近い効果が得られます。また、他の交通手段とも経路検索や決済などを含めてシームレスに連動することにより、都市内の移動にかかる時間やストレスが軽減されます。
  • Electrification:電気自動車はクリーンなまちづくりにつながるだけでなく、車載電池を電力の蓄積・輸送・供給手段として活用することで、都市の電力システムの強靭性・柔軟性を高めることにも貢献します。昼夜の電力バランスの緩和、再生可能エネルギーの普及、非常用電源の配備などといったさまざまな活用シーンが想定されます。

これらのCASEの各要素は相互に密に絡み合っているため、スマートシティの設計においても、全体を俯瞰した上での導入計画が必要です。個々の機能の実証は小規模でもよいかもしれませんが、本格的に価値を創出するには、クリティカルマスを超えた大規模投資が不可欠となり、投資対効果も広範に考えて測定する必要があります。これが最も悩ましい部分です。政府や大企業が主導して丸ごと都市設計する事例もありますが、必ずしも誰もが採用できるアプローチではありません。多くの場合においては多数のステークホルダーの利害を調整して最適解に導いていくための、ビジョン策定とコーディネーション能力が成功の鍵となるでしょう。

※詳しくは「2050年 日本の都市の未来を再創造するスマートシティ」レポートをご覧ください。

執筆者

北川 友彦

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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