DXリーダーに紹介したい現場のデジタル化を促進する4つの施策

2020-09-08

PwCあらた有限責任監査法人(以下、PwCあらた)は、「デジタル社会に信頼を築くリーディングファーム」となることをビジョンとして掲げ、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進と個々のデジタルスキル向上に取り組んでいます。

ここでは私たちの監査業務変革の取り組みや、デジタル化の成功事例や失敗を通じて得た知見を紹介します。これからデジタル化に取り組まれる企業やDX推進に行き詰まっている企業の課題解決にお役立ていただければ幸いです。

※法人名、部門名、役職、コラムの内容などは掲載当時のものです。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を起因とする社会的な要請もあり、業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)が急務となっています。デジタル化を進めるにあたり、ツールをはじめ、新しいテクノロジーの導入を検討される企業は少なくないのではないでしょうか。PwCあらたもデジタル化を進めるために、データの分析や可視化をするツールをはじめ、さまざまなテクノロジーの導入を検討・実施しています。

私たちもテクノロジーを導入した後、現場で浸透させるためにはどうすればよいか日々よりよい方法を模索しています。今回は浸透させる過程で認識された課題と、課題を解決するための施策を紹介します。

新しいものを導入するには、まずは理解する時間が必要

デジタル化のためのツールを企業として導入した場合でも、現場で全ての人がすぐに利用できるとは限りません。直感的に利用できるような簡単なツールばかりではないためです。また現場がデジタル化のメリットを十分に理解しているとも限りません。新しいテクノロジーを導入・活用するためには、準備が必要です。その準備とは、ツールを利用して何が行えるか、どのようなメリットがあるか、習得までにどの程度の時間が必要か、を理解することではないかと考えます。新たなツールの使い方に関する研修を受けるだけでは、デジタル化の目的や意義までを捉えることは難しいはずです。

各人が実際にツールに触れてみて、足りない情報を検索し、自己の業務や課題の解決にどう役立つかを理解して初めて、デジタル化が自分の仕事をどのように変えるのかイメージできるようになります。新しいものを試すのが好きな人は、積極的にツールに触れてみて、情報を収集しながら自ら理解を深めていきますが、そのような人ばかりとは限りません。デジタル化を他人事ではなく自分事として捉えられる環境を整えて初めて、実際にツールを取り入れてみようという前向きなマインドが現場に醸成されるのではないでしょうか。

現場が動くための起爆剤となる企画が重要

デジタル化への理解の浸透を図った上でツールを導入した後は、研修の実施や相談窓口の設置などで、ツールの積極的な活用を図る必要があります。

しかし、それだけで十分とは必ずしも言えません。企業がデジタル化を進めるには、長期的な展望と継続的な取り組みが不可欠です。現場を鼓舞し続け、いずれは各人がツールの性能を見極めてさらなる活用法を自主的に考案するくらいになることで、DXは軌道に乗ると言えます。そのためのさらなる支援として、私たちは以下の4つの企画を実施しました。

  1. 法人の在り方の明確化
    2025年に法人としてどうあるべきかを具体的に定義し、社内外に公開しました。その上で、各部門のデジタル化への取り組みの状況をモニタリングし、法人全体として取り組むことが重要である、とのメッセージを定期的に発信します。全員の目線や目標を合わせていくことで、取り組みへの意欲を高めています。
  2. ツールの見極め時間の確保
    ツールの良し悪しを見極め、習得するためには一定の時間を確保することが重要です。トライアルとして導入してみて、業務の効率化に寄与するか否かを検討するーー。ツールを使用してみて初めて分かることもあるとの前提で、私たちはこうした見極めの時間を用意するようにしています。時に失敗(導入見送り)することはありますが、各人が実際に利用してみると、どのような業務をデジタル化できるか、という議論は確実に活性化されるものです。こうした建設的な議論こそが、ツール導入の基盤となると考えています。
  3. 事例の共有
    法人内では、デジタル化の促進に寄与する個人開発のツールが生まれています。これらを紹介し、全社で利用できるものは展開する取り組みを行っています。また開発・構築したツールをよりよくするためにどうすればよいか、といったカイゼンの共有も促しています。
  4. 開発依頼窓口の設置
    「こんなツールがあったらよいのに」という各人が抱える希望や課題を集約するため、開発依頼窓口を設置しています。集まった声は、法人内の開発者に届けられます。課題を認識している人が、それを解決する方法を持っているとは限りません。今あるツールで解決できるとも限りません。この窓口が、現場と課題解決の専門家をつなぐことを可能にしています。

DXが一朝一夕で実現することはありません。重要性は理解しつつも、その難易度の高さから後回しにしてしまいがちです。しかし私たちは、上記のような地道な取り組みを通じて、テクノロジー導入における見識を高め、自ら情報を収集する習慣を着実に構築できていると実感しています。足もとにはまだまだ課題が山積していますが、解決のための仕組み作りやツールの見極めに必要な時間を確保しながら、DXに日々、向き合い続けます。

現場が動くための 起爆剤となる企画が重要

1. 法人の在り方の明確化

2. ツールの見極め時間の確保

3. 事例の共有

4. 開発依頼窓口の設置

執筆者

久保田 正崇

執行役副代表, PwC Japan有限責任監査法人

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近藤 仁

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

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Tomorrow's audit, today――次世代監査への取り組み

PwCあらたは、市場をリードするプロフェッショナルのスキル、堅実な監査アプローチ、人工知能(AI)をはじめとするテクノロジーを融合した新時代の監査を通じて、デジタル社会に信頼を築くプロフェッショナルファームを目指します。

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