テクノロジー、特にAIの進化によって、「働く」という概念そのものが大きく変わりつつあります。これまで人が担ってきた多くの業務はAIによって代替される一方で、個人が持つ強みや個性の価値は、これまで以上に高まっています。これからの時代は、「自分らしさ」が競争力になると私は考えています。
この変化は、私たち監査法人にも直接的な影響を及ぼしています。これまで監査法人は、高度な専門知識を提供することで価値を生み出してきました。しかし、生成AIが急速に普及する現在、知識そのものは容易にアクセスできるものになりつつあります。これから求められるのは、知識を持つこと自体ではなく、その知識を相手の意思決定や社会にどのように生かし、価値を生み出せるかにあります。
こうした変化の時代において、プロフェッショナルに求められる価値は二つあると考えています。
一つは、人に寄り添う力です。AIが情報を整理し、知識を提示できるようになっても、重要な意思決定の場面では、「この人が言うなら信じたい」、「この人に背中を押してもらったから前に進める」と思える相手を求めることがあります。多様な経験を積み、豊かな引き出しを持ちながら、誠実に人と向き合い、信頼関係を築くことができる人。そのような人財こそが、これからの時代に高い価値を発揮すると考えています。
もう一つは、未開拓の領域へ挑戦する力です。監査や保証の領域においても、新たな価値や仕組みを生み出していくことが求められています。私たちは、前例のない課題に挑み、新しい道を切り開くことのできる人を育てていきたいと考えています。
ただし、これら二つの価値を支える前提として、決して変えてはならないものがあります。それがIntegrity(誠実さ)です。その誠実さが信頼を生み、人に寄り添う力は本当の意味で価値を持ち、新しい挑戦も社会に受け入れられ、持続可能な変革の源になります。私たちは、Integrityを土台に挑戦を続けることで、社会を前に進める存在でありつづけるとともに、人々が前向きになれる新しい価値を生み出していきたいと考えています。
私自身、会計士という資格をキャリアのゴールではなく、可能性を広げる入り口として捉えてきました。そして今、その可能性はかつてないほど広がっています。会計士という仕事の魅力は、安定にあるのではありません。変化の中で新しい価値を生み出し、自らの可能性を広げ続けられることにあります。
変化を前向きに受け止め、自ら考え、挑戦し続ける。その先に、自分らしいキャリアと新しい社会の可能性があります。そのような志を持つ皆さんと、共に未来を切り開いていけることを楽しみにしています。
PwC Japan有限責任監査法人 代表執行役
久保田 正崇
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