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EU離脱後の国際貿易に関する英国の見解~今、知っておくべきこと

2017-09-01

EU離脱後の国際貿易に関する英国の見解:英国は、国境で輸出入に関する摩擦をできる限り発生させないための選択肢を二つ提示した文書(Future customs arrangements: a future partnership paper[English])を2017年8月に公表しました。これは産業界にとって、ブレグジットに備える初めての具体的な指針となるため、歓迎されています。今すぐ準備を始めることが必要です。

英国とEUがどのような関税協定で合意できるかは、EU離脱後の状況を左右する重大な要素です。英国政府は、関税同盟離脱後もEUとの間でできる限りスムーズな貿易を維持するにはどうすればよいかについて、見解を取りまとめました。文書では、EU離脱によりこの分野に複雑な変化が起きることや、いまだ未定の部分が多く残されていることも強調されていますが、具体的な選択肢が示されたことで、これから何が起こるにせよ、将来的にEUとの関税協定に適応していくには、変化が必要だということは明確になりました。企業は今から、移行期間と最終協定のそれぞれについて、自社事業がどんな影響を受けることになるかを把握し、さまざまなシナリオを想定して、それに対応できる態勢を整えていかなければなりません。

この文書で示されたそれぞれの提案が何を意味し、企業に対してどんな影響が考えられるのかを理解するため、各提案の要点を見てみましょう。

高度に合理化した関税協定

この提案では、輸出入手続きをスピードアップし、関税同盟外の企業の負担を軽減するため、考えられるさまざまな優先事項が詳述されています。具体的には、英国政府がITを活用してリスクに応じた多様なプログラムを構築し、データ収集、承認発行、通関を多様な方法で行うことにより、手続きを合理化することが提案されています。業者による登録が必要な「信頼できる貿易業者」の仕組みへの依存度も高まると思われます。このようなモデルが効果的に機能できるシステム、インフラ、方針を実現するには、英国とEUの双方で、政府と企業が時間と資金を投入する必要があります。

関税協定を合理化する際に、特に障害になるのはデータです。この提案のメリットを十分に引き出すには、情報の追跡や送信が可能なデータとシステムが必要ですが、現状、多くの企業はそれらを備えていないからです。そのため関係者が協力し合い、輸出業者、輸入業者、代理店を含めたサプライチェーン全体を変えていく必要があります。この提案を完全に実施できれば、英国・EU間貿易の最適化につながる貿易環境が実現するかもしれません。

英国・EU間の新しい関税パートナーシップ

英国は、EUとの将来の関係合理化に向けて、大胆で未検証の選択肢を考えています。この提案は、EUを最終目的地として英国に輸入される物品に対する課税の追跡を中心的テーマとして扱っているようですが、その後で製造や組み立てが行われる場合の複雑さについては、考慮されていません。実践するとなれば、課税の状況を追跡したりEU側の懸念に対応したりするために複雑な施行手順に従わなければならず、そうした作業は企業の大きな負担になります。また現在の英国の関税制度における他の重要な分野にも触れていません。

この提案は、先述したデータの問題をめぐり、現状では多くの企業が、製品が英国内を流通している間の動きを追跡するITシステムや在庫管理プロセスを整備していないことが課題です。そのためこの方法が選択されると、企業は投資や費用が必要になります。しかし英国政府は、今回の文書に対する企業からの情報提供や意見表明を求めていますので、その機会を積極的に活用すべきです。

企業はどう備えればよいか?

今回公表された提案は、イノベーションと合理化という点でどちらも非常に野心的なものですが、企業に事務負担を増やすものであり、その点は文書でも認めています。企業は今すぐに準備、評価、そして活動を始めるべきです。本文書はそうした企業の取り組みを支援する立場をとっており、取り組みのどだいとして使うことができます。また英国政府は、万一EUと合意形成に至らなかった場合はWTO制度に戻るとして、その計画についてパラグラフ52~54に概要を示しています。

企業は今、何を考慮するべきか?

AEO(認定事業者)や「信頼できる貿易業者」プログラムについて頻繁に言及されていますが、新しい関税協定がどのようなものになっても、こうした仕組みが非常に重要な役割を果たすことは確実でしょう。国際貿易に携わる企業は、AEOの申請を喫緊の優先事項として検討するべきです。

データとITシステムについて、現在持っている貿易データを総合的に評価し、今後の英国・EU貿易に備えてどのデータを保有しておくべきか、どのようなシステム改善が必要かを見極め、実行します。新しい制度下での税関申告、VAT(付加価値税)、コンプライアンス要件に必要な費用を把握しておくことも重要です。

英国政府との協議によって、政府が提示した選択肢が自社もしくは自社が属する業界にどんな影響を及ぼすかを把握し、それを定量化することによって、経済的影響の評価が可能になります。企業側から英国政府のビジョンに影響を及ぼす機会も、逃さず活用しましょう。

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