コンダクトリスク管理に関するサービス

コンダクトリスクとは

近年、さまざまな企業においてコンダクトリスク管理の高度化に着手する動きが見られます。コンダクトリスクとは、企業による行為(コンダクト)が顧客等のステークホルダーの当然の期待から乖離することで、ステークホルダーに不利益を生じさせるリスクのことです。コンダクトリスクと類似するコンプライアンスリスク、オペレーショナルリスクと比較すると、2つの特徴があります。1つはリスクの発生がステークホルダーの期待への未充足によるものであること、もう1つは不利益を受ける対象が自社ではなくステークホルダーであることです(図表1)。

コンプライアンスリスク:
法令や業界団体等が定める規則の違反、その他市場全体の公平性や顧客の保護を損なう不適切な行為により、自社において行政処分や訴訟による損失およびレピュテーションの悪化が発生するリスク

オペレーショナルリスク:
内部プロセスにおけるミスや障害、また外生的な事象による影響で自社が損失を被るリスク

コンダクトリスク:
顧客や委託先などのサードパーティ、国や市場全般などの各種ステークホルダーが自社に寄せる期待を満たせないことにより、ステークホルダーに不利益を発生させるリスク

図表1 3つのリスクにより不利益を受ける対象

これまでコンダクトリスクは、主に金融機関においてリスク管理の対象とされてきました。しかしながら昨今、企業に対するステークホルダーからの期待が高まっており、グローバル化やデジタル化によって企業活動自体の社会への影響度が増大していることから、金融機関のみならず、どの企業においても適切な管理が求められるリスクとなっています。

近年では、次のようなコンダクトリスクが発生しています。

  • 業界や市場において支配的な影響力を有する企業が、顧客やユーザーに対して、一方的に不利益な扱いを強要するような行為
  • 業界のリーディングカンパニーが目前の顧客のみを過度に優遇することにより、市場環境を歪める行為
  • 虚偽または不適切な情報に対して、必要な監督・管理措置をとらないことにより、他の顧客やユーザーが不利益を被る可能性があるプラットフォーマー等の不作為
  • 新たな情報技術の急激な進展とその活用に伴う、法制度の未充足を起点とした顧客等への想定外のリスク、不利益の発生

コンダクトリスクに適切に対応しないことでステークホルダーとの信頼関係に悪影響が及ぶと、厳しい社会的批判を受けることもあれば、自社のビジネスモデル自体が受け入れられなくなる可能性もあります。したがって、企業はコンダクトリスクを適切に管理し、必要な対応をとっていかなければなりません。

コンダクトリスク発生の構造

コンダクトリスクは、社会規範や経営理念、さらには、それらを反映して組織内に展開されている行動規範の実践が、何らかの理由(リスクドライバー※)によって阻害されることで発生します。コンダクトリスクが発生してしまうと、ステークホルダーの正当かつ合理的な期待に沿った結果(アウトカム)が達成されません(図表2)。

図表2 コンダクトリスク発生の構造

コンダクトリスク管理の高度化

コンダクトリスク管理の高度化を実現するためには、強固なフレームワークを活用し、事業戦略、フィデューシャリー・デューティー、カルチャーなども含めて多角的に検討していくことが有効です(図表3)。また、単にリスク管理プロセスを導入・高度化するだけでなく、コンダクトリスクが持つ性質やその発生構造を踏まえた対応が求められます。

図表3 多角的な検討で実現するコンダクトリスク管理の高度化

PwCのサービス

PwC Japan有限責任監査法人では、コンダクトリスク管理態勢の導入や高度化に関してさまざまなサービスを提供しています。コンダクトリスクに関するプロジェクト経験、英国をはじめとする海外のPwCネットワーク、リスク管理/コンプライアンス態勢に関する知見を活かし、各社のニーズに応じた支援を提供します。

サービスの例

概要

コンダクトリスクの定義、コンダクト・リスク・アペタイトの検討

  • 特にコンプライアンスリスク管理やオペレーショナルリスク管理との関係性に留意しつつ、コンダクトリスク発生構造の把握・分析なども踏まえて組織として管理すべきコンダクトリスクの定義について検討
  • コンダクトリスク・アペタイト・フレームワークやリスク・アペタイト・ステートメントについて検討

コンダクトリスク管理態勢の見直しと高度化

  • コンダクトリスク管理の体制やプロセスについて、現状把握、ギャップ分析、あるべき姿の策定、高度化へ向けたロードマップ策定などを支援(リスク低減方針、役割・責任、プロセス、ガバナンスなどの観点から検討)
  • 商品・サービスのライフサイクル管理、プロダクトガバナンスの高度化、外部評価
  • コンダクトリスクの予兆を捉えるリスクモニタリング、レポーティングラインの高度化

RCSAを活用したコンダクトリスク管理の導入/高度化

  • コンダクトリスク管理のためのRisk Control Self-Assessment(RCSA)の設計・導入/高度化の支援
  • コンダクトリスクを想定したシナリオ分析と対策の検討支援

リスクカルチャーの醸成、リスクカルチャーの可視化

  • 組織構成員の適時・適切な行動(コンダクト)の実践に影響を与えることができるような企業文化(リスクカルチャー)の定義と醸成
  • リスクカルチャーの計測(組織構成員の意識・行動の現状調査と可視化)
  • リスクセンスの向上、認知バイアスへの対応を目的とした研修、ワークショップの実施
  • カルチャー監査の実施

主要メンバー

西川 嘉彦

シニアアドバイザー, PwC Japan有限責任監査法人

Email

辻田 弘志

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

Email

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