フィンテックの現状
組織のオペレーティングモデルにフィンテックを組み込むことにおいて、日本はグローバルを先行
- 日本では、グローバルのFS・TMTと比較して、組織の戦略的なオペレーティングモデルにフィンテックを完全に組み込んでいると回答した割合が高くなっています(日本:62%、グローバルFS:48%、グローバルTMT:47%)。
- 国別で見ても、米国37%、ドイツ36%、中国58%、ブラジル55%となっており、非常に高い割合であるといえます。
- 日本の回答者の45%が、現在フィンテックを使った商品やサービスの提供が可能と回答しています。また、この内の半数以上がクラウドソーシング(60%)やロボアドバイザー(53%)を提供中です。
- しかしフィンテックを使った商品やサービスの提供が可能と答える回答者が40%以上いる一方で、日本は既存のサービスや商品へのエマージングテクノロジーの取り入れがグローバルと比較して少し遅れていることが明らかになりました。例えば、決済サービスにエマージングテクノロジーを導入していると回答した日本の回答者の割合は26%にとどまります(グローバルFS:56%、グローバルTMT:54%)。
フィンテックの成長に向けた戦略
フィンテックが組織の成長をけん引することへの自信はグローバル・日本で概ね一致
- 日本の回答者の80%以上が、今後2年間の収益成長をフィンテックがけん引することに自信があると回答しています。しかし、グローバルと比較すると、「非常に自信がある」より、「(いくらか)自信がある」と回答した割合の方が圧倒的に高くなっています(日本:「非常に自信がある」13%、「自信がある」70%、グローバルではFS・TMTともにそれぞれ約半数ずつ)。
- また、日本の回答者の70%が、今後2年間でフィンテックへの投資を増加させる予定と回答しており、これはグローバルの結果と概ね一致します(グローバルFS・TMTともに75%)。
- 今後のフィンテックの発展において重要と考える国や地域について尋ねたところ、日本では1位日本、2位米国、3位中国という結果となりました。一方、グローバルでは、FS・TMTともに、1位米国、2位中国、3位英国という順位になっています。
- フィンテックの発展に最適な環境が整っている国や地域として日本の回答者は、1位に米国、2位に英国、3位に中国を挙げ、日本は4位に入っています。しかし、グローバルの結果では、FS・TMTともに、日本は第10位となっており、日本とグローバルで認識の相違が見られます。
人材・スキル不足に対する懸念
フィンテック戦略を実行する上での最大の課題は従業員のスキル不足
- 日本では、経営幹部がデジタルイノベーションやテクノロジーをリードしていると回答した割合が40%となっており、グローバルFSの結果(41%)とほぼ一致しています。一方、部長以下の役職をテクノロジーの責任者に据えている割合は45%に上り、グローバルと比較しても高い割合となっています(グローバルFS:26%、グローバルTMT:32%)。
- 日本の回答者の68%が、フィンテックにより新たな仕事や業務が創出されていると回答しています。しかし同時に、その多くが求める人材・スキルの採用に苦労しています(57%)。これはグローバルFS・TMTの結果(いずれも42%)より若干高い割合となっています。
- 人材・スキル不足に対する懸念は、経営層も含めた既存の従業員にも向けられており、日本では上級経営層、従業員、また日本国内における人材全般のスキルを懸念する回答が80%以上となっています。
- また、フィンテック戦略を実行する上での課題について尋ねたところ、日本では「従業員が適切なスキルと経験を有していない」ことが1位となりました。
システム・規制に対する懸念
データやレガシーシステムへの対応も課題
- 日本の回答者は、フィンテック戦略を実行する上での課題として、スキル不足に次いで、「セキュリティ、コンプライアンス、データプライバシーのリスク」と「レガシーシステムが多すぎることに加え、新しいシステムがリスクを複雑化させている」ことを挙げています。
- またグローバルFS・TMTのトップ3に入った課題である「規制が適切なソリューションの導入を制限している」は、日本の結果では4位となっており、人材・スキル、システムの問題とあわせて、規制に対する懸念があることが分かります。
- 日本の回答者がフィンテックの成長について考える時、規制の影響が心配される分野として、データ保護や新しいビジネスモデル(クラウドファンディング、P2Pレンディングなど)への影響が挙げられています。また、地域の規制圧力や地域ごとに異なる規制からの影響が懸念されています。