欧州連合(EU)では、コーポレート・サステナビリティ報告指令(Corporate Sustainability Reporting Directive:CSRD)が2023年1月に、コーポレート・サステナビリティ・デューディリジェンス指令(Corporate Sustainability Due Diligence Directive:CSDDD)が2024年7月にそれぞれ発効され、企業はこれらのサステナビリティ関連規制に対応するための準備が求められています。日本企業も、自らが適用対象企業に該当する場合はもちろん、適用対象企業と直接取引関係がある場合や、適用対象企業がバリューチェーン上の重要な取引先である場合は、これらの規制の内容を把握し、対応に向けた準備をすることが求められます。こうした状況の中、2025年2月26日、欧州委員会はEUにおけるこれらのサステナビリティ関連規制の簡素化を図り、EUの競争力向上を目的とする、オムニバス法案を公表しました。この法案は、日本企業を含む適用対象企業や関連企業の規制対応に関する準備の内容およびスケジュールに影響を及ぼすため、本稿では、オムニバス法案の概要と日本企業への影響について概説します。なお、文中の意見は筆者の私見であり、PwC弁護士法人および所属部門の正式見解ではないことをお断りします。
PwC弁護士法人
パートナー 北村 導人