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PwC弁護士法人は、企業及び社会が抱えるESGに関する重要な課題を解決し、持続的な成長・発展につなげるサステナビリティ経営の実現を目指すためのさまざまなアジェンダについて、PwC Japanグループやグローバルネットワークと密接に連携しながら、特に法的な観点から戦略的な助言を提供するとともに、その実行や事後対応をサポートしています。
当法人のESG/サステナビリティ関連法務ニュースレターでは、サステナビリティ経営の実現に資するべく、ESG/サステナビリティに関連する最新の法務上のトピックスをタイムリーに取り上げ、わかりやすく説明いたします。
今回は、以下3つのトピックを紹介します。
2021年5月26日、地球温暖化対策推進法の一部を改正する法律(令和3年6月2日法律第54号)が成立し、同年6月2日に公布されました。改正された地球温暖化対策推進法(以下「改正温対法」といいます。)は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとされています(下記2(1)の基本理念の新設など一部の規定については既に公布日から施行されています)。
日本政府は、2020年以降の温室効果ガスの排出削減等に向けた国際的な枠組みであるパリ協定を踏まえて、2050年までの温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「2050年カーボンニュートラル」を2020年10月26日に宣言しました(以下「カーボンニュートラル宣言」といいます。)。カーボンニュートラル宣言以前からも2050年カーボンニュートラルを目指す「ゼロカーボンシティ」を表明する地方自治体は増加しており、また、ESG金融の進展に伴って気候変動に関する情報開示や目標設定などの「脱炭素経営」に取り組む企業が増加するなど温暖化対策が進む状況下、その更なる推進に向けて、今般の改正がなされました。
※本文では、以下改正温対法における改正点について詳しく説明しています。
(1)基本理念の新設
(2)地域脱炭素化促進のための計画・認定制度の創設
(3)企業の温室効果ガスの排出量情報のデジタル化・オープンデータ化
社会的課題の解決に貢献するソーシャルプロジェクトに資金使途を限定した債券(ソーシャルボンド)の発行がグローバルな債券市場において近年拡大しています。現状、国際資本市場協会(International Capital Market Association)(以下「ICMA」といいます。)による“Social Bond Principles”(以下「ICMAソーシャルボンド原則」といいます。)が唯一のソーシャルボンドの国際標準とされています。日本においても、ICMA ソーシャルボンド原則との整合性に配慮しつつ、日本の特性に即したソーシャルボンドに関する日本国内での実務的なガイドラインの早期策定を求める声が経済界等から上がっていました。このような状況下、2021年3月にサステナブルファイナンス有識者会議の下に設置された「ソーシャルボンド検討会議」による検討を踏まえ、金融庁は、同年7月7日、ソーシャルボンドガイドライン(案)(以下「本ガイドライン案」といいます。)を公表しました。本ガイドライン案は、パブリック・コメント手続(同年8月10日に意見募集終了)を踏まえて、ソーシャルボンドガイドライン(以下「本ガイドライン」といいます。)として最終的に決定される予定です。
発行体、投資家、その他の市場関係者の実務担当者がソーシャルボンドに関する具体的対応を検討する際に参考となるよう、日本の状況に即した具体的な対応の例や解釈を示すことで、ソーシャルボンドの社会的な効果に関する信頼性の確保と、発行体のコストや事務的負担の軽減との両立につなげ、ソーシャルボンドの普及を図ることを本ガイドラインの目的として掲げています(本ガイドライン第1章1)。また、以下のとおり、ソーシャルボンドの概要等について説明した上で(第2章)、本ガイドラインの中核として、ソーシャルボンドに期待されている事項と具体的対応方法を整理しています(第3章)。なお、本ガイドラインは、法的拘束力を有するものではなく、記載された事項に準拠しなかったことを以て直ちに法令上の罰則等が課されるものではないとされています(第1章3)。
※本文では、以下について詳細に説明しています。
(1) ソーシャルボンドの概要(第2章)
(2)ソーシャルボンドに期待される事項と具体的対応方法(第3章)
①調達資金の使途(第3章A1)
②プロジェクトの評価及び選定のプロセス(第3章A2)
③調達資金の管理(第3章A3)
④レポーティング(第3章A4)
経済産業省は、2021年2月に「繊維産業のサステナビリティに関する検討会」(以下「本検討会」といいます)を設置し、計6回にわたる議論・検討を経て、2021年7月12日に同検討会の報告書(以下「本検討会報告書」といいます)を公表しました。
本検討会は、2015年のSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の採択以降、国内外におけるサステナビリティについての官民での取組が活発になっている中で、「日本の繊維産業では、一部の企業においてサステナビリティの取組は徐々に始まっているものの、長く複雑と言われるサプライチェーンの管理等、取組が十分になされているとは言い難い状況にある」という問題意識のもと、繊維産業におけるサステナビリティへの取組を促進するために設置されたものとされています。
本検討会報告書においては、本検討会における議論・検討結果を取りまとめるとともに、今後に向けた政策提言がなされています。
本検討会報告書においては、(i)サステナビリティに係る取組は、環境への配慮から労働環境の整備など多岐にわたること、及び(ii)こうした取組を進めていくためには、サプライチェーン上の企業だけではなく、消費者の参画も必要あることを前提として、以下の5点について、サステナビリティに係る現状と今後の取組を整理しています。
※本文では、以下の現状と今後の取り組みについて解説しています。
(1)環境配慮:大量生産・大量消費を前提とした経済から、循環型経済への移行が必要。限りある資源を有効活用するため、新たな資源投入量を抑制し、消費活動後の製品を回収・リサイクル等することが重要。
(2)責任あるサプライチェーン管理:サプライチェーン上での労働環境や使用する素材等に関して、責任ある管理を進める。
(3)ジェンダー平等:ジェンダー平等の実現は、社会と経済に大きな影響を与えるため、社会的・文化的な性差によって差が生じない環境の整備を進める。
(4)供給構造:限りある資源を有効に活用するため、適量⽣産・適量供給に向けた取組を進める。
(5)デジタル化の促進:サステナビリティに係る取組を進めるため、デジタル技術の活用を進める。
本検討会報告書において特に注目されるのが、責任あるサプライチェーン管理の取組として、人権デュー・ディリジェンス(人権DD)の実施の必要性等が強調されている点です。
本検討会報告書は、2013年にバングラデシュで起きたラナ・プラザ崩壊を契機として、繊維産業における責任あるサプライチェーン管理の重要性が広く認識されるようになり、各国におけるNAP(National Action Plan:国別行動計画)や、2017年の経済協力開発機構(OECD)における「衣類・履物セクターにおける責任あるサプライチェーンのためのデュー・ディリジェンス・ガイダンス」[14]の策定がなされてきたことを挙げた上で、「こうした流れを受けて、日本企業の中には、欧米企業と取引をする際にはサプライチェーンが適正に管理されているか等をチェックするデュー・ディリジェンスの実施が求められるケースが増えている」との点を指摘しています。また、併せて、消費者や投資市場においても、生産環境やESG(「環境(E)」、「ガバナンス(G)」のみならず、ダイバーシティ、人権、地域社会といった「社会(S)」)への関心が高まっていることが指摘されています。
他方で、本検討会報告書は、日本企業における現状として、「政府・業界団体においては、繊維企業に対して、上述のOECDのデュー・ディリジェンス・ガイダンスを周知してきているものの、各企業レベルでみると、必ずしもガイダンス内容が理解され、実施されるには至っていない状況である」と指摘し、その要因として、国内アパレル企業の主な販売先が国内市場であり、欧米市場に比べて市場から求められる機会が少ないこと、繊維産業の長く複雑なサプライチェーンのデュー・ディリジェンスには膨大なコストがかかることを上げています。
以上を踏まえて、本検討会報告書は、デュー・ディリジェンスに関する今後の取組として、以下の提言を行っています。
※本文では以下の詳細について説明しています。
(a)デュー・ディリジェンスの実質に関する周知の徹底
(b)業界団体におけるデュー・ディリジェンス・ガイドラインの策定
現在、繊維業界のみならず、あらゆる業界においてサプライチェーンにおける人権DDの実施の必要性が叫ばれているところです。日本企業においても、グローバルなサプライチェーンを有する企業の一部において、このような人権DDを実施する事例は既に現れてきてはいるものの、あくまで個社レベルの動きに留まっているのが現状です。本検討会報告書は、繊維産業における人権DDの推進を、企業のみならず政府及び業界団体の責任として改めて位置付けるとともに、業界団体レベルでのガイドラインの策定を提言しているという点で、我が国における従来の人権DDに関する取組を前進させるものということができます。
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