「HR Tech Survey 2022」「HRデジタルトランスフォーメーションサーベイ 2024」～生成AIを搭載したHRテクノロジーがもたらす人事の未来～

2025-05-07

※この「「HR Tech Survey 2022」「HRデジタルトランスフォーメーションサーベイ 2024」」は、『月刊人事マネジメント』2025年4月号（2025年4月5日）に掲載したものです。

※法人名・役職などは掲載当時のものです。

はじめに

生成AIを中心に新たなテクノロジーがマーケットに展開され、かつてないほどHRテクノロジー（HR Tech）への期待が高まってきています。HR テクノロジーは近年のビジネス構造の変化、労働者人口の減少、雇用形態の多様化による兼業やギグワークへの対応、COVID-19の流行により今や当たり前となったリモートワーク、D&IからDEIB^*1と多様性における観点の変化、リスキリングを推し進めるオンライン学習やマクロクレデンシャルな単位取得機会の増加など、多様な人事施策への変化への対応を取り込み、様々な製品や機能拡張がなされています。

HRテクノロジーへの企業投資額は増加傾向にある

このような変化に対応すべく、各社では、HRテクノロジーに関する投資を増やしていこうという傾向がみられています。PwCコンサルティングが実施した2024年の調査では、約7割の企業が、今後HRテクノロジーに対する投資を増額していくと回答し、2020年の同調査より12ポイントも投資意欲が高まっていることが分かります。HRテクノロジーを人事戦略の実現の手段としてとらえている企業が多いことがうかがえます（図表1）。

図表1：HRテクノロジーにおける投資動向

HRテクノロジーはEX向上に寄与する

PwC米国が実施した米国市場での調査によると、82％の企業がHRテクノロジーを活用することにより、効果的に現状を把握し、従業員の行動変容やEX^*2の向上に貢献することができると考えていることが分かりました。一方、日本企業ではHRテクノロジーがEXに効果的であると回答した企業は24％にとどまり、米国に比べて日本国内ではEXの向上とテクノロジー活用の相関関係を意識している企業が少ないことがうかがえます（図表2）。

図表2：HRテクノロジーにおけるEX向上効果

EX指標はイノベーション・顧客満足度・収益性に影響を与え、人的資本経営の一指標としても利用されるなど、重要性・認知度は年々高まりをみせています。HRテクノロジーをいかにうまく活用するかが人事戦略において、一つの成功要因になるかもしれません。
本レポートはPwC米国で実施されている「PwC HR Tech Survey2022^*3」とPwCコンサルティング合同会社にて2024年2月、日本企業50社を対象に実施した「HRデジタルトランスフォーメーション（HRDX）サーベイ 2024 ^*4」や2020年に80社に対して実施した「HRテクノサーベイ2020^*5」の調査結果をもとにHRテクノロジーにおけるトレンドやHRテクノロジー導入において企業で取り入れるべき5つのFindingsを解説します（以降、出所を記載していない場合には「PwC HR TechSurvey 2022」「PwC HRDXサーベイ2024」および「PwC HRテクノロジーサーベイ2020」からの引用となります）。

*1 DEIB：Diversity（多様性）、Equity（公平性）、Inclusion（包括性）、Belonging（帰属性）の4領域の総称

*2 EX：Employee Experience（エンプロイーエクスペリエンス / 従業員体験）の略称

*3 PwC「HR Tech Survey 2022」https://www.pwc.com/us/en/tech-effect/cloud/hr-tech-survey.html

*4 PwC「HRデジタルトランスフォーメーションサーベイ2024」
https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/hr-technology-survey2024.html

*5 PwC「HRテクノロジーの進化における HRIS（人事システム）の未来―2020HRテクノロジーサーベイ報告書」
https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/hr-technology-survey2020.html