
のれんの償却と減損実務
のれんの主な論点である「のれんの償却」と、「のれんの減損テストの実務」という二つのテーマで、IFRSの観点からの考察および検討すべきポイントを中心に取り上げ、解説します。
世界におけるのれんの残高が増加しています。証券監督者国際機構(IOSCO)は、「S&P 500におけるのれんの累計残高について、2008年に1兆6,000億米ドルだった額が、2021年には3兆7,000億米ドルへと2倍以上に増えており、類似の傾向がEUでも観察された」と報告しています※1。同機構はその背景として、 IFRS会計基準(IFRS Accounting Standards:以下「IFRS」)がのれんを非償却としている一方でのれんの減損テストを毎期実施することを要求していますが、そののれんの減損テストが有効に機能していないのではないか、という懸念を示しています。
IFRSの設定主体である国際会計基準審議会(International Accounting Standards Board:以下「IASB」)は、減損テストの有効性を高めるための方法を長らく模索し続けてきましたが、現行の減損テストよりも著しく有効性の高い別の減損テストを設計することは困難であるという結論に達したため、当面は現行の減損テストの枠組みが維持されるものと考えられます。また、のれんの減損テストには、さまざまな実務上の論点があります。例えば、のれんを各CGU(Cash-Generating Unitの略。資金生成単位)にどのように配分するか、のれんの減損の兆候となる IFRS特有の事象をどのように識別するか、使用価値の算定の際の割引率をどのように算定するかなどです。
そこで、本稿では、のれんの主な論点である、「のれんの償却」と「のれんの減損テストの実務」という二つのテーマで、IFRSの観点からの考察および検討すべきポイントを中心に取り上げ、解説します。
文中の意見に係る記載は筆者の私見であり、PwC Japan有限責任監査法人および所属部門の正式見解ではないことをお断りします。
日本の会計基準(以下「日本基準」)は、企業結合により取得する際の無形資産の範囲をIFRSおよび米国会計基準(以下「米国基準」)より狭く定義しています。具体的には、日本基準は「分離して譲渡可能なもの」を認識要件(企業結合に関する会計基準第29項)としていますが、米国基準とIFRSは法律上の権利(契約法律規準)もしくは分離可能性規準のいずれかを満たした場合に、無形資産として認識することを求めています。その根底には、日本基準はのれんの償却を強制しているので、のれんの範囲を過度に狭める必要がないという考え方もあるものと推察します。
なお、日本基準も、企業結合会計基準が公表された2003年は、「法律上の権利又は分離して譲渡可能なもの」が無形資産の認識要件でしたが、無形資産の認識自体が任意でした。その後、2008年の基準改訂の際に、無形資産の認識が強制となりましたが、その際に範囲が狭められ、「分離して譲渡可能なもの」が要件となりました。無形資産の認識範囲は、のれんの償却と表裏一体の議論と言えるでしょう。
かつて米国基準において、1970年に会計原則審議会(Accounting Principles Board:以下「APB」)が公表した意見書第17号「無形資産」は、のれんを40年以内で規則的に償却することを要求していました。その後、米国財務会計基準審議会(Financial Accounting Standards Board:以下「FASB」)が2001年にFASB基準書(Statement of Financial Accounting Standards:以下「SFAS」)第141号「企業結合」を公表し、無形資産の認識要件について「法的基準もしくは分離可能性要件」のどちらかを満たした場合は、無形資産として計上するように、要件を明確化しました。また、同時期に公表したSFAS第142号「のれんおよびその他の無形資産」において、のれんを非償却としました。1999年に公表した公開草案では、「のれんとして認識されるものの一部は、費消性資産であるため耐用年数は有限である可能性があり、従って償却されるべき」と結論付け、のれん償却を提案していましたが、一転、最終基準ではのれんを非償却としたということになります。
これは、SFASで無形資産をのれんから分離するための基準を改訂(明確化)したことで、認識されたのれんのうち費消性のある部分は、1999年の公開草案の提案よりも小さくなり、のれんの非償却がより適切であるとFASBが考えたことによります(SFAS第142号B83項参照)。
IFRSも、2004年までのれん償却を要求していました。1998年にIASBが公表した改訂IAS第22号「企業結合」では、企業結合で取得したのれんの償却を強制とし、償却期間を原則20年以内と定めていました。しかしその後、2004年のIFRS第3号「企業結合」の基準公表によって、のれんを非償却としました。
IFRS第3号公表に至る審議の過程で利害関係者は概ね償却を支持しましたが、IASBは「のれんの耐用年数の決定には恣意性が入り、恣意的な期間でのれんの定額償却を行っても有用な情報は提供できない(IAS第36号BC131E参照)」として、代わりに毎期の減損テストを強制することをもって、のれんを非償却としました。この流れは、上記のような米国基準の影響を受けていると言えるでしょう。
歴史を振り返ると、米国基準の影響を受けて、IFRSも非償却へ舵を切ったことがうかがえます(図表1)。
* 米国基準では2014年に非公開企業、2019年に非営利企業に対しては償却処理が容認されたが、公開企業は引き続き非償却
近年、のれんの残高が積み上がっていることを背景に、20年近くの歳月を経て、のれんの償却に関する議論が再び巻き起こりました。
FASBは2019年7月9日にコメント募集「識別可能な無形資産およびのれんの事後の会計処理」を公表し、のれん償却再導入についての賛否を問いました。
コメント募集の結果、賛成意見が多数を占めたことで、のれん償却再導入に向けた機運が高まり、2020年11月のボード会議で、のれん償却再導入を前提に、償却期間についての議論が開始されました。同年12月に開催されたボード会議では、のれんの償却期間について原則として10年の定額償却(反証可能および年数の上限を設定)とすることで暫定合意しました。しかしながら、2022年6月にFASBがのれんの事後の会計処理に関するプロジェクトを突然取り下げたことで、議論がストップしてしまいました。
IASBも、2020年3月19日にディスカッション・ペーパー「企業結合-開示、のれん及び減損」を公表し、のれん償却を再導入すべきかを議論の俎上に載せました。IASBは、「のれん償却を再導入すべきではなく減損のみのモデルを維持すべきである」という予備的見解を示しつつ、本予備的見解に同意するか否かをコメント提出者へ質問として投げかけました。
しかしながら、2022年11月のIASB会議にて、のれん償却を再導入することを正当化する説得力のある論拠はなかったとの結論に達し、現行の減損のみモデルを維持することを暫定決定したのです。
2024年3月14日、IASBは、公開草案「企業結合-開示、のれん及び減損」を公表しましたが、開示と減損テストの改善に軸足が移り、のれんの償却再導入については議論すらされていません。IASBは、米国基準と実質的なコンバージェンスを維持することを重要視しており、IASBの「のれん償却を再導入しない」という結論には、FASBの動向が影響したことがうかがえます。
一方、世界的なのれんの残高は日に日に積み上がっていることから、再びのれん償却再導入の議論が提起される日がやってくるかもしれません。
日本基準は認識→測定という2ステップアプローチを採用していますが、IFRSは測定のみの1ステップアプローチを採用しています(図表2)。
従って、IFRSの方が早期に減損が認識されやすいという特徴があります。その分、IFRSは固定資産の減損の事後的な戻入を認めていますが、のれんの減損についてはその例外とし、事後的な戻入を認めていません(IAS第36号第124項参照)。
* 厳密には回収可能価額(使用価値と公正価値のいずれか高い方)を用いますが、実務上は使用価値(割引後CF)を用いることが多いため、便宜上"割引後CF"と表現しています。
図表3のフローのとおり、IFRSは、のれんの減損テストは兆候の有無にかかわらず、最低年1回の減損テスト(測定)を求めている点が特徴です。日本基準と異なり、のれんが非償却であるため、減損テストを毎期必須とすることで資産性を担保しています。
減損テストの目的上、企業結合により取得したのれんは、取得日以降、取得企業のCGUまたはCGUグループのうち、企業結合のシナジーから便益を得ると見込まれるものに配分しなければならないとIFRSでは規定しています(IAS第36号第80項)。
配分の際は、以下の要件を満たす必要があります。
(a)のれんを内部管理目的で監視している企業内の最小のレベルを表している※2、かつ、
(b)集約前におけるIFRS第8号「事業セグメント」の第5項で定義された事業セグメントよりも大きくない
また実務上の論点として、被取得企業に複数のCGUが存在する場合にどのようにのれんを配分するのかについても解説します。
例えば図表4のようなケースにおいて、内部管理目的で各CGUの業績を経営者が監視している場合、のれんの配分先は以下のいずれかです。
A案 各CGUへ配分
B案 事業セグメントの制限を考慮し、CGU(CGU①)および複数のCGUから構成されるCGUグループ(CGU②+CGU③)へ配分
のれんを各CGU(もしくはCGUグループ)へどのように配分するかについては、IAS第36号に具体的なガイダンスがないため、経営者が適切な方法を選択する必要がありますが、のれん(超過収益力)の性質およびその後の減損の計算との整合性に鑑み、割引キャッシュ・フロー・アプローチで配分することが考えられます。なお配分の際は、「恣意性のない方法」が求められるので、例えば、3つのCGUに対して、それぞれ3分の1ずつ配分するというような方法は認められません。
割引キャッシュ・フロー・アプローチのイメージ
上記の例において、各CGU(食品事業、運送事業、清掃事業)にのれんを配分する場合(A案)を前提とする。
被取得企業を1,000で買収、被取得企業の識別可能純資産の簿価は600とする(公正価値も同額)。両者の差額としてのれんが400発生。
各CGUの簿価:食品事業 100、運送事業 200、清掃事業 300
各CGUの割引キャッシュ・フロー:食品事業 500、運送事業 300、清掃事業 200
のれん400を割引キャッシュ・フローと簿価の差額(割引キャッシュ・フローが簿価を上回る金額)の比率で配分する。この際に、割引キャッシュ・フローが簿価を下回る事業はシナジーが見込めないため、配分しない。
のれんの配分額:食品事業 320、運送事業 80、清掃事業 0
(以下、計算過程)
割引キャッシュ・フローが簿価を上回る金額:食品事業 400、運送事業 100、清掃事業 0
食品事業へののれんの配分額:のれん400×400/(400+100)=320
運送事業へののれんの配分額:のれん400×100/(400+100)=80
なお、清掃事業は割引キャッシュ・フローが簿価を下回るためのれんは配分されない。
IFRSにおいてのれんは非償却ですが、減損テスト(測定)については兆候の有無にかかわらず毎期実施することを求めています(IAS第36号第10項)。
減損テストを実施する時期については、毎年同じ時期に実施する限り、事業年度中のどの時点でも実施することができます。従って、必ずしも年度末を基準日とする必要はありません。ただし、当事業年度中の企業結合から生じたのれんについては、当事業年度末よりも前に減損テストを実施しなければならない点は、実務上留意が必要です(IAS第36号第96項)。
減損テストは高度な専門知識や割引率などの基礎データが必要となることから、外部の専門家を利用するケースが考えられます。外部の専門家を利用する場合は、専門家との事前協議や質疑応答、専門家の実施した減損テストの検証などに多くの時間を要することも考えられることから、実務上は最繁忙期である期末決算を避けるために、期末日より一定程度前を基準日として、実施するケースが多いです。
例えば、3月決算の会社であれば、12月末を基準日として減損テストを実施することが考えられます。
12月末残高に基づき減損の検討を実施することで、企業は、計算の根拠となるキャッシュ・フロー、割引率および仮定の適切性を評価するための十分な時間を、期末日前に確保することができます。さらに、経営者は、開示の要求事項についても検討を始めることが可能です。
また、予算策定のサイクルと減損テストの時期を合わせるなどの事情により、企業が減損テストの実施時期の変更を望む場合があります。一度決定した減損テストの時期を変更できるかどうかが実務上の論点となりますが、次回のテストまでの期間が1年以内であり、かつ、特定の結果(減損損失の計上を避ける)を達成することを意図した変更ではない限り、年次の減損テストの実施日を変更することは認められるものと考えられます(図表5)。
のれんが配分されたCGU(もしくはCGUグループ)に減損の兆候が生じた場合(もしくは年1回求められる減損テストの時期において)は、減損テスト(測定)が求められます。IAS第36項第12項では最低限考慮しなければならない兆候を規定していますが、日本基準では示していないIFRS特有の兆候として、①割引率に影響する市場金利の上昇、および②報告企業の純資産の帳簿価額がその企業の株式の市場価値を超過(PBRが1倍を切っている状況)、の2点があります。
減損の兆候の判定は毎決算期末(上場企業であれば、毎四半期末)に実施することが求められますが、実務上は、チェックリスト方式で実施することが考えられます。この際、上記のIFRS特有の兆候をどのように判定するかについて以下で解説します。
IFRSは、前述のとおり、日本基準と異なり1ステップアプローチ(割引前キャッシュ・フローによる認識の判定はなく、直接割引後キャッシュ・フローを測定する)となるため、割引率に影響する市場金利の上昇を減損の兆候として規定しています。
市場金利がどの程度上昇した場合に減損の兆候として識別するかが論点となりますが、実務上は、定量目線(変動幅、変動率)を設定する方法と定量目線は設定せず市場金利の動向を見ながら都度判断する方法が考えられます。
日本国内において、PBRが1倍を切っている企業は多く存在しますが、PBRが1倍を切った場合に減損テストの対象範囲をどうするか(のれんが配分されたCGUが多数存在する場合に、全てのCGUを減損テストの対象とするのか)が論点となります。この点、PBRが1倍を切った場合でも、定性的な要因分析(例えば、時系列でPBRの推移を観測し、どのような要因がPBRの増減に影響したかを分析し、のれんが配分されたCGUとの関連性を特定する)と組み合わせて減損テストの対象を絞っていく対応も考えられます。
また、例えば以下の場合には減損テスト(測定)を不要とする実務対応も見られます。
のれんが配分されたCGUの回収可能価額の測定の際に、実務上のポイントになる点をお伝えします。基準上は、使用価値と公正価値のいずれか高いほうを用いることを要求していますが、のれんの減損テストにおいて実務上は使用価値を用いることが多いため、本稿では使用価値を用いることを前提として解説します。
使用価値については、将来キャッシュ・フロー(将来CF)の見積もりを基礎とし、適切な割引率を用いて現在価値に割り引くことによって計算します。
使用価値の算定自体は、専門性が高い領域のため、専門家の利用要否について整理することが必要です。
専門家の利用要否については各社によって対応が分かれており、専門知識やリソース面を踏まえて各社において決定することが考えられます。
会社によっては、使用価値の算定自体は自社で実施するものの、特に専門性の高く基礎データの取得が難しい割引率の算定のみ外部へ委託するというケースもあります。
以下、実務上論点となりやすい、①将来CFを算定する際に基礎となる事業計画、および②割引率の算定方法について解説します。
IFRSは、適切な経営者の承認を得た計画を用いることを求めています(IAS第36号第33項(b))。従って、取締役会や経営会議等の機関承認を経て作成された中期経営計画(以下「中計」)を基礎とすることが考えられます。例えば中計が3年の場合、3年分は中計に基づく将来CFを用い、4年目以降は一定の成長率を加味することが考えられます。
また、中計が3年に1回の公表となる場合、公表されない期間の算定については、向こう1年分の計画は単年度予算として機関承認された事業計画を基礎とし、2年目および3年目は、中計の数値をスライド(もしくは一定の修正が加えられた計画値が機関承認されている場合には当該修正後の計画値を反映)する事例が見られます(図表6)。
IFRSでは割引率は税引前の利率を使用することを要求していますが(IAS第36号第55項)、実務上は、税引後キャッシュ・フローを税引後割引率で計算して算定することが一般的です※3。
また、IFRS上は、投資者が要求するであろう利回りを反映することを求めており(IAS第36号第56項)、実務上は加重平均資本コスト(WACC)を基礎として算定することが考えられます(図表7)。
なお、日本基準では実務上の配慮などの観点から、ハードルレートのような企業内部の投資評価基準としての収益率の使用も認めています(固定資産の減損に関する会計基準の適用指針第45項)が、IFRSにおいてはこのような内部収益率の使用は認めておらず、投資者が要求するであろう利回りを反映しなければいけない点には留意が必要です。
WACC=株主資本コスト(A)×資本比率(B)+負債コスト(C)×負債比率(D)×(1-実効税率)
A 株主資本コスト:企業が株式を発行して調達する資金(=株主資本金)にかかるコスト。実務上は、CAPMモデルにより算定することが多い。 |
CAPMモデルによる株主資本コストの算定方法の例示 株主資本コスト(A)=リスクフリーレート(A1)+エクイティリスクプレミアム(A2)×β値(A3)+サイズリスクプレミアム(A4) A1 リスクフリーレート:リスクが皆無(リスクフリー)に近い金融商品から得られる利回り。実務上は、10年物国債の利回りを使用することが考えられる。 A2 エクイティリスクプレミアム:株式への投資によって、株主が期待する追加リターンのことを言う。日本国内の場合、5~6%を使うことが一般的。 A3 β値:市場全体(株価指数)に対する、各個別銘柄の株価の感応度。実務上は、レバードβ値(企業が負債による資金調達を実施し、レバレッジが掛かっていると仮定した場合の株式のβ値)を用いることが考えられる。 A4 サイズリスクプレミアム:会社の規模が小さい会社はリスクが高いと考えて、会社の規模に応じて上乗せされるリスクプレミアム。実務上は、外部のデータベース会社が発行している数値(通常2%~10%程度)を利用することが考えられる。 |
B 資本比率:株主資本を総資産で除した数値。自社ではなく、類似企業(同業他社)の資本構成を基に算定。 C 負債コスト:企業が事業を行うために調達した資本にかかるコストのうち、債権者より調達した負債に対するコスト。類似企業(同業他社)の負債利子率(借入利子率)を基に算定。 D 負債比率:負債を総資産で除した数値。類似企業(同業他社)の資本構成を基に算定。 |
2024年3月にIASBが公表した公開草案「企業結合-開示、のれん及び減損」では、減損テストの改善を提案していますが、現行のモデルの根本的な改善につながる内容ではなく、明確化中心の提案です。
現行の減損モデルの課題認識として識別されている利害関係者の懸念点は以下の通り
これに対してIASBはのれんに係る減損損失の認識が遅れる可能性について、2つの大まかな理由を識別しました。
IASBは、現行の減損テストを抜本的に改善する減損テストを設計することは実行可能ではないと結論を下しましたが、以下の通り限定的な改善を提案しています。 |
公開草案における提案内容 |
IASBは以下の意図のもと、現在の減損テストの一部の変更を提案しています。
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本稿では、のれんの償却、減損テストの実務において検討すべきポイントを中心に取り上げ、解説しました。
本稿における解説が、のれんについての理解の一助になれば幸いです。
※1 The Board of the International Organization of Securities Commissions, 2023. “Recommendations on Accounting for Goodwill.”
※2 2024年3月IASB公表の公開草案「企業結合-開示、のれん及び減損」において、「のれんに関連した事業を内部管理目的で監視している企業内の最小のレベルを表している」と下線部部分を追記することによる明確化を提案しています(「III.(5)減損テストについての最新の動向」参照)
※3 2024年3月IASB公表の公開草案「企業結合-開示、のれん及び減損」では、使用価値を税引前のベースで計算するという要求の削除を提案しています(「III.(5)減損テストについての最新の動向」参照)
※4 ヘッドルームとは、ある事業の回収可能価額が、認識されている純資産の帳簿価額を超過する金額であることを言います。ヘッドルームは、会社が企業結合後の事業の減損テストを行う際に、取得したのれんの減損を覆い隠す可能性があります。結合後の事業の回収可能価額の減少があっても最初に当該ヘッドルームに吸収されるからです。例えば、単一事業を営むX社(CGUも1つ)が同業を営むY社を買収し、買収後にX社とY社が同一のCGU(新CGU)を構成するケースにおいて、X社の回収可能価額が100、純資産が70の場合は、
30のヘッドルームが存在します。買収後ののれんの減損テストにおいて、新CGUの回収可能価額を、純資産(X社+Y社)とのれん(Y社)の合計額と比較することになりますが、新CGUの回収可能価額にはヘッドルーム部分が含まれるため、当該ヘッドルーム部分を超える回収可能価額の減額がない限り、のれんの減損は生じません。
のれんの主な論点である「のれんの償却」と、「のれんの減損テストの実務」という二つのテーマで、IFRSの観点からの考察および検討すべきポイントを中心に取り上げ、解説します。
2025年のプライベート・キャピタルにおけるM&Aは、業界を統合するような取引や業界の再編によって2024年来の世界的に活発な活動が継続し、加速すると予想されます。
プライベート・エクイティ(PE)の役割の変化や日本企業における活用状況、そして企業価値向上のための戦略的な活用手法についてPwC Japanグループの4名のプロフェッショナルが語り合いました。
PwCは2024年10月から11月にかけて第28回世界CEO意識調査を実施しました。世界109カ国・地域の4,701名のCEO(うち日本は148名)から、世界経済の動向や、経営上のリスクとその対策などについての認識を聞いています。
諸橋 壮也
シニアマネージャー, PwC Japan有限責任監査法人