第3回:しつけと体罰は違います 保護者支援プログラム

2022-08-10

2. 保護者支援プログラムの概要

厚生労働省では、体罰等によらない子育てのための工夫のポイントとして、

  1. 子どもの気持ちや考えに耳を傾ける
  2. 「言うことを聞かない」にもいろいろな理由がある
  3. 子どもの成長・発達によって差がある
  4. 子どもの状況に応じて身の回りの環境を整える
  5. 注意の方向を変えたりやる気に働きかける
  6. 肯定文でわかりやすく、時には一緒に、お手本になる
  7. 良いことやできていることを具体的にほめる

の7点を掲げ、リーフレットも公表しています。

しかし、保護者自身も自分の生い立ちやこれまでの育児経験を踏まえて子育てを行っていることから、そのスタイルを変えることは容易ではありません。そこで、一部の児童相談所では、体罰によらない子育てをするための考え方を学んだり新たなスキルを提供したりする「保護者支援プログラム」を活用しています。

当社が2020年度に実施した調査によると、「保護者支援プログラム」はペアレントトレーニング要素が強いものと、治療的要素が強いものに大別されることが明らかになりました。また、効果的なケース・子ども・保護者の特徴は、プログラムにより異なり、プログラムに多様性があることも示されました。現在、「保護者支援プログラム」を導入している児童相談所では、保護者支援業務における質的課題や量的課題を解決する手段の一つとして導入に至ったことも、当社のヒアリングにより明らかになりました。

3. 保護者支援プログラムの普及・啓発に向けて

2020年度の調査において、保護者支援プログラムを活用することは、①虐待の発生予防・悪化予防・再発予防、②ケース進行の構造化と保護者の達成感の実現、③児童相談所職員の保護者支援スキル・質向上への寄与、の3点から意義があると分かりました。

また、保護者支援プログラムの利用促進にあたっては、①プログラム実施者の確保、②年度をまたぐプログラム実施、③保護者の経済的負担・時間確保の問題、の3点が課題として挙げられました。

今後、保護者支援プログラムをより一層活用していくためには、

  • プログラム実施に携わる専門職が備えるべき基礎スキル
  • 外部機関との連携
  • プログラムマネジメント担当の配置

といった点を検討していくことが期待されます。

なお、国は2022年に改正した児童福祉法において、市区町村の子ども家庭総合支援拠点(児童福祉)と子育て世代包括支援センター(母子保健)の設立の意義や機能は維持した上で組織を再編し「こども家庭センター」とすることを決めています。同センターの機能として「親子関係形成支援」を位置づけ、子どもの発達状況等も踏まえながら、親子関係の構築を支援するとしています。

執筆者

東海林 崇

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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古屋 智子

シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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池田 真由

シニアアソシエイト, PwCコンサルティング合同会社

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