ベンチャー企業のCFO

2015-09-16

ベンチャー企業の成長には、社長・CEOの片腕となるCFOの存在が不可欠です。CFOにはどのような役割が求められ、どのような能力が必要なのか、本稿では実務を踏まえた分析を提供します。

CFOの重要性

一般的にベンチャー企業は単一製品・サービスのみで終わるケースが多くあります。次々とヒット製品・サービスを投入できるような持続的競争優位を獲得し、比較的短期間のうちに企業成長を果たすためには、製品・サービスの開発機能を強化するだけではなく、しっかりとした管理部門、特にCFO(Chief Financial Officer)の存在が不可欠です。

中小ベンチャー企業の場合、間接部門からは利益を稼得できないといった理由により、そこに質、量とも十分な人員が割り当てられないケースがよくあります。しかしながら、CFOは、本来、財務計画の実行といったことのみならず、戦略立案サポート、企業価値の検証といった機能も果たす必要があります。よって、CFOが経営参謀として十分に機能しないと、企業成長の足かせともなります。

CFOの直面する課題

個々の企業が抱える課題によってCFOに期待される役割も大きく異なりますが、企業成長のステージに応じて、典型的には下図のような事象に直面することが想定されます。

 

ベンチャー企業のCFO

中小ベンチャー企業の段階では、実質的に社長・CEO(Chief Executive Officer)が経営戦略策定を一人で担うケースも多く、そのような状況ではCFOにはマネジメント能力はあまり期待されません。中小ベンチャー企業の多くは、月次決算のレベル(スピード、精度)が低く、月次の経営分析が十分に行われないことから、タイムリーに経営課題の情報共有が行われない、というような課題を抱えています。そのためCFOには、経理、財務といったスキルに長け、月次決算の早期化、月次の経営管理資料の充実に対応できる能力がまずは必要です。ただし、企業が成長していく過程ではCFO自身も自らの能力をさらに高めていくことが重要です。

特に、今後、より大きく企業成長を果たしていくためには、国内市場だけをターゲットにしていたのでは限界があり、成長を志向する企業にとってグローバル化は必須と考えられます。海外展開を行う上でCFOの能力が制約条件になるような事態は避けなければなりません。この場合、単に語学力の問題だけではなく、異文化に対する理解力、コミュニケーション能力、CFOとしての専門性、リーダーシップをCFOが備えていることが必要です。

私どもベンチャー支援センターでは、Global & Growthをコンセプトに、国内市場にとどまらず、将来的には世界規模でビジネス展開できるようなベンチャー企業を対象として、アドバイザリー業務を通じたCFOの育成にも注力しています。

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