PwC Intelligence ―― Monthly Economist Report

「+5.0%」の経済成長を実現しつつも、減速傾向に直面し先行き楽観しがたい中国経済(2026年1月)

  • 2026-01-26

2025年の中国経済指標を踏まえた今後の展望

中国国家統計局が発表した2025年の実質GDP成長率は前年比+5.0%となった。四半期ベースでみると、2025年第1四半期(1-3月)の前年同期比+5.4%から減速基調を辿り、第4四半期(10-12月)には前年同期比+4.5%まで低下したが、政府当局が掲げる2025年通年の経済成長率「+5.0%前後」との目標を達成した。政府当局の景気刺激策に支えられた最終消費のほか、トランプ関税の影響から大幅減少している米国以外のアジアなど他地域向け貿易の伸びに伴う純輸出が寄与したものである。しかし、足元の中国経済は長引く不動産不況や雇用不安が続くなか需要不足に直面しており、内需は力強さに欠ける状況が続いている。加えて、米国のトランプ大統領の対中スタンスは厳しい状況が続いているほか、その他の主要貿易相手国・地域も中国の過剰生産に端を発する貿易摩擦の問題にも直面しており、外需環境も楽観しがたく、今後は米中貿易摩擦の激化のほか、その他各国との貿易動向にも注意しておく必要がある。

このように中国経済は消費の先行き懸念や外需の不確実性に直面しており、引き続き楽観しがたい状況が続くとみられ、今後は、2026年3月に開催予定の全国人民代表大会(全人代)で発表される政策パッケージの詳細や不動産セクターはじめ各産業への追加の景気刺激策の動向を見極めつつ、中国の景気回復の持続性や先行きを見極めていく必要がある。以下では、先般公表された2025年の主要経済統計に基づき、中国経済の現況および2026年を通じた今後の展望について筆者の見解を述べていく。

1. 減速基調を辿りつつも、「+5.0%前後」の成長を実現した中国のGDP成長率

まず以下の図表1で四半期ベースの実質GDP成長率をみると、2025年第4四半期(10-12月)には前年同期比+4.5%となった。2025年の中国経済は年初から減速傾向を辿っており、第3四半期(7-9月)の同+4.8%から0.3%ポイント減速したが、2025年通算では同+5.0%で着地し、政府当局の目標である「+5.0%前後」の経済成長を実現した。前期比(季節要因調整後)ベースでみると、第4四半期の伸びは+1.2%(年率換算ベース:+4.9%)となり、第3四半期(同+1.1%<年率換算ベース:+4.5%>)からやや加速した。

また、名目ベースのGDP成長率をみると、2025年第4四半期(10-12月)では前年同期比+3.8%と前四半期(同+3.7%)から上昇したが、実質GDP成長率を下回る水準で推移している。GDPデフレーターの伸びはマイナスで推移し、名目GDP成長率が11四半期連続で実質GDP成長率を下回る名実逆転の状態が続いている。詳細は13ページ以降で述べるが、足元の物価動向をみると、2025年通年では消費者物価指数が前年比±0.0%と低水準で推移しており、根強いデフレ圧力に直面する状態が続いているだけに、実態的な物価動向の把握に努めていく必要があろう。

ここで実質GDP成長率の需要項目別の寄与度をみると、2025年第4四半期(10-12月)の実質GDP成長率(前年同期比+4.5%)のうち最終消費が2.4%ポイントとなり、前四半期対比0.3%ポイント減少したが、全体の過半を占めており、これに純輸出(1.4%ポイント)、総資本形成(0.7%ポイント)が続いている。純輸出については、トランプ関税を見据えた前倒しの駆け込み輸出の動きが進んだ一方、輸入の落ち込みが続いた結果、引き続き中国経済の牽引役となったものである。後述するとおり、不動産開発投資を含めた固定資産投資が落ち込んでおり、2025年第4四半期の総資本形成は前四半期対比0.2%ポイント減少している。


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執筆者

薗田 直孝

シニアエコノミスト, PwCコンサルティング合同会社

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