PwC's Privacy Insights 2021

2021-01-25

プライバシーに関するリスクへの従来の対応は、いわゆる個人情報保護法の遵守というコンプライアンス上の問題として取り扱われることが多かったのではないでしょうか。そのため、プライバシー保護に関する取り組みは「コンプライアンスコスト」と捉えられ、法務部門やコンプライアンス部門など一部の専門家によって実施されてきたと思われます。

しかし、パーソナルデータを含むデータの利活用が企業の競争力を左右すると考えられる時代にあっては、データの取り扱いやプライバシー保護に関して、データを提供する個人ひいては社会から信頼を確保することが必要です。信頼が損なわれてしまっては、データの提供が行われなくなったり、データの利活用を伴うビジネスそのものが受け入れられなくなったりするおそれがあるからです。そして、ステークホルダーからの信頼を確保するためには、従来の法令遵守(Comply)に加えて、プライバシー保護に関する取り組みを企業が主体的に開示・説明(Explain)するComply&Explain型の組織としてのあり方が求められています。

そのため、プライバシーに関するリスクへの対応を、ビジネスリスクの低減に加えて中長期的な企業価値の向上に寄与する取り組みとして捉えなおし、経営者のリーダーシップとコミットメントのもと、データを提供する個人の権利利益の保護に取り組む全社的な態勢を整備することが必要とされています。他社に先駆けてこのような態勢を整備し、ステークホルダーからの信頼を獲得した企業が、ビジネス上の優位性を確保し中長期的に企業価値を向上させることになるでしょう。

Agenda

1. AIおよびアナリティクス活用におけるプライバシーの論点

  1. パーソナルデータのグループ内共同利用に必要なオプトイン
  2. レコメンデーションで注意すべき「放っておいてもらえる権利」
  3. データマネタイズで実施すべき匿名化加工
  4. ユーザー行動履歴の活用における落とし穴
  5. ピープルアナリティクスで担保すべき透明性と公平性

2. 積極的なデータ活用を見据えた『攻め』と『守り』のプライバシー

  1. デジタル化するビジネスにおいて考慮すべきプライバシーリスク管理
  2. 「アフターGDPR」におけるプライバシー保護のグローバリゼーション
  3. デジタルトランスフォーメーションにおけるプライバシー・バイ・デザインの実装

PwC's Cyber Security Insights / Privacy Insights 2021

インサイト/ニュース

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『セキュリティ・クリアランス制度』法制化の最新動向と日本企業が取るべき対応【第4回】ガイドライン及びQ&Aの公表

2025年5月2日付で公表された「重要経済安保情報保護活用法の運用に関するガイドライン(適合事業者編)」、「重要経済安保情報保護活用法の運用に関するガイドライン(行政機関編)」及び「適正評価に関するQ&A」の概要を解説します。

航空サイバーセキュリティの強化 ―EASA Part-ISが求める情報セキュリティ要件―

航空業界は、航空機や関連システムの高度なデジタル化やグローバルなサプライチェーンによる複雑化が進む中、サイバーセキュリティの重要性がかつてないほど高まっています。こうした背景から欧州航空安全機関(EASA)が2023年10月に制定した、情報セキュリティに関する初の規則となるPart-IS(委員会実施規則(EU) 2023/203および委員会委任規則2022/1645)について解説します。

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