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本レポートは、PwCが世界的な上場企業の経営幹部(取締役以上)1,217人を対象に実施したアンケート調査(以降、本調査)の結果を分析したものです。結果は明快で、重要性の高い課題にAIを適用し、目的に合った基盤を整え、全社にAIを浸透させていく能力、つまり「AI適合性」が高い上位20%の企業は、AI活用による財務パフォーマンスが他社の7.2倍に達しているというものでした。そして、その違いを生むのは「AIをどれだけ使うか」ではなく、強固な基盤の上で、再現性を持ってAIに関する取り組みを横展開できているかという点でした。基盤の強化を伴ってAI活用を拡大した企業は、成果が約2倍に高まっています。
では、「AI適合性」において、日本企業はどの位置にいるのでしょうか。国・地域別のAI適合性指数(10点満点)で、日本のスコアは4.8でした。中央値(5.5)にはまだ届いておらず、中国(6.9)や、米国(5.2)、韓国(5.4)といった国々が先行しています(図表1)。ただし、これは日本企業に成長の余地が大きく残されていることの裏返しでもあります。
図表1:国・地域別のAI適合性指数 平均スコア(10点満点)
出所:PwC作成
PwC Japanグループの調査レポート「生成AIに関する実態調査2026 春 6カ国比較」において、AIを「活用中・推進中」と答えた割合は、日本と米国がほぼ同水準にあることが分かっています。一方で、得られた効果を財務的還元につなげたと回答した割合は40%にとどまり(米英は7割超)、「導入は進んだが、成果と還元への接続が次の課題」という段階にあると言えます。
課題解決の方向性は見えています。生成AIに関する実態調査では、期待を超える効果を生んだ企業に共通して、1. 社長直轄・CAIO配置 2. 明確なユースケース設定 3. 業務プロセスの可視化とAI-Readyなデータ整備といった全社的推進態勢が見られました。これは本レポートが説く「再現性ある基盤づくり」と一致します。
鍵となるのは、AI活用を部分的な効率化にとどめず、事業モデルそのものの変革へとつなげる視点です。本レポートが、自社のAI適合性を見つめ直し、投資対効果が見えるAI活用への一歩を踏み出す機会になれば幸いです。
一部の企業は、AIの活用によりコスト削減以上の効果を享受し、とりわけ業界融合の動きがもたらす機会を追い風に、成長の道を歩んでいます。こうしたAI先進企業(以降、AIリーダー)の行動は、他の企業とどこが違うのでしょうか。今回、PwCは、この違いに焦点を当てて本調査を実施しました。
著者:Joe Atkinson、Agnes Koops
主なポイント
国を問わず、どの企業の会議室でも、決まって見られる光景があります。スクリーンに映し出されたスライドには、チャットボットや意思決定エンジンなどのAI導入のパイロットプロジェクトがきれいに整理され、出席者一同、うなずきながら説明に耳を傾けています。やがて質疑応答に。「増収効果が出ているプロジェクトは」「コスト削減効果が見られるプロジェクトは」「これまでに意思決定の質が向上したケース、迅速化されたケース、安全性が向上したケースは何件あるのか」
往々にしてこの後に続く沈黙は、多くの企業にとって、何とも気まずい現実を物語っています。AI導入の取り組みが必ずしも目に見える成果をもたらしているわけではないからです。本調査の結果によれば、現時点ではAI活用による価値がごく一部の企業に偏っていることが判明しました。調査対象企業1,217社のうち、わずか20%の企業で、AIの生み出す成果の74%を独占していたのです。
このようなAIリーダーとそうでない企業の明暗を分けるポイントはどこにあるのでしょうか。私たちはこれを「AI適合性」と呼んでいます。重要性の高い課題にAIを適用し、目的に合った基盤を整え、全社にAIを浸透させていく能力と言い換えることができます。
本レポートは、AIのパイロット導入の件数を競うのではなく、AI活用による測定可能な増収効果やコスト削減効果を追求するビジネスリーダーを対象としています。その上で、突出した成果を上げている企業がどのようにAI適合性を高めているのかを解説します。実際、こうした取り組みは、どの企業でも無理なく実践できるものです。
確かな成果を手にしている企業がある一方で、大半の企業は成果が出ていません。その明暗を分けたものは何だったのでしょうか。私たちは、世界各地で25の業界の企業1,217社を対象に、AI活用による財務パフォーマンスのベンチマークをしました。具体的には、AI活用がもたらす収益増や効率化の効果を調べ、各社を業界中央値と比較できるように調整を加えました。
また、調査対象企業の経営幹部を対象に、AIの管理慣行や投資慣行に関する60項目への関与状況について、聞き取り調査も実施し、こうした項目がAI活用による財務パフォーマンスにどれだけの効果をもたらしたのか評価しました。この60項目の慣行は、社内でのAI利用方法、AIに対する信頼醸成や拡張性(横展開のしやすさ)につながる基盤的な機能(戦略やガバナンスなど)の観点から、9つのカテゴリーに分類しました。この9つのカテゴリーを要素として算出したのが、AI適合性指数です。
AI適合性は、基盤能力6項目とAI活用指標3項目に基づいています。
結果は歴然でした。本調査では、AI適合性が最も高い企業は、AI活用による財務パフォーマンスが他の企業の7.2倍に達していました。
これほど圧倒的な差がついた理由はどこにあるのでしょうか。AI適合性が高くなるほど、中間的なパフォーマンス指標が幅広く改善され、結果として優れた財務成績につながります。AI活用で最高水準の財務パフォーマンスを示しているAIリーダーは、他の企業に比べ、AIポートフォリオによって新製品・サービスの市場投入が迅速化したと回答する確率が高いと言えます。また、AIリーダーからは、ビジネスモデルや業務運営モデルの変革促進、意思決定の質の向上、顧客体験(CX)や信頼の向上につながったとの声も聞かれました。いずれも多くの経営幹部が改善に力を入れている指標です。
アイデアを形に
何百万というユーザー数を抱えるある大手テクノロジー企業では、顧客の間でシームレスなパーソナル化サービスに対する期待が高まっている現実をひしひしと感じ取っていました。ところが、同社の顧客エンゲージメントモデルは大部分が手作業とあって、その期待には応えられずにいました。そこで同社の経営陣は、コストを抑えつつ顧客体験の向上を図る方法を模索していました。
同社から依頼を受けたPwCは、AI活用によるオムニチャネル対応コンタクトセンターを設計・開発しました。これは、顧客の意図を予測するモデリング、ユーザーの反応に合わせて会話の流れを変化させる適応型ダイアログ、リアルタイム分析の機能を組み合わせ、人とAIエージェントをサポートするものです。集中管理型のAIエージェント管理ハブの導入で、複数のチャネルにまたがった連携、大規模展開、ガバナンスが可能になりました。また、新規導入のソフトウェアを従業員に効果的に使いこなしてもらうため、同社は、「責任あるAI」の考え方や人材のアップスキリング(すでに保有しているスキルの更新・強化)、人とAIの新たな協働の推進にも取り組みました。
即座に目に見える成果が表れました。顧客からの電話による問い合わせは、解決までに要する時間が25%短縮しました。また、問い合わせの別部署への転送件数が60%減少し、初回対応で問題解決に至るケースが増加しました。CXも向上しました。企業・ブランドに対する顧客の愛着度・信頼度を示すネット・プロモーター・スコア(NPS)は、7%上昇し、顧客満足度は10%上昇しました。
図表2:AI適合性が最も高い企業は、AI活用によるパフォーマンス(業界調整済み)が7.2倍
AI活用とAI基盤の間にも同様の複合効果が見られます。しっかりとした基盤を持つ企業がAI活用を増やした場合、基盤が貧弱な企業に比べて、AI活用によるパフォーマンスは2倍近く高まります。実際、AI利用の活動が目に見える成果へとつながるコンバージョンレート(転換率)を高めるのが、基盤です。データとプラットフォームが充実すると、本格稼働までの時間が短縮します。また、ワークフローの見直しや従業員の信頼醸成を背景に、AI採用率も向上します。採用率が高まれば、今度はデータやフィードバックが充実していきます。時間の経過とともにシステムが充実し、導入件数が増加するたびにインパクトが大きくなるのです。
AI活用で一歩先を行く企業が単に「AIをたくさん使っている」だけでないことは言うまでもありません。AIリーダーは、AI導入プロジェクトの横展開やAIに対する信頼醸成を実現する仕組みを整えた上で、財務的に効果を最大化できる横展開の領域を見極めているのです。
重視すべき理由
確実に横展開できる再現性を確保することなく、ユースケースばかり増やしても、十分な投資対効果(ROI)は見込めません。
次の一手
社内でAI利用を拡大する前に、AI導入プロジェクトの再現性を阻む可能性が最も高い基盤機能を1~2カ所特定し、まず、特に価値の高いAI導入プロジェクトに関してその問題点を解消していきます。
図表3:AI活用で高いパフォーマンスを上げているAIリーダーの場合、優れた財務成績につながる幅広い要素がAIで改善します。
Q. 社内で保有するAIポートフォリオ全体によって、以下に挙げた項目はどの程度改善されましたか。
(複数ある回答選択肢のうち、「極めて大きく改善」と「大きく改善」の2つのみを掲載)
出所:PwC「AIパフォーマンス調査」
AIリーダーは、最初にどの分野でAIを活用しているのでしょうか。
段階的な効率化にとどまらず、とりわけPwCが概念として提唱している「Value in motion」(従来の産業構造が再構築され、経済価値が劇的に移動している状況)の世界では、抜本的変革や成長がターゲットになっています。
多くの企業が、従来の業務の効率化にAIを利用しています。例えば保険会社では、保険金請求処理業務でのAIソリューション利用が急速に広がっています。ソフトウェア開発会社でも、プログラミング作業のかなりの部分をAIに任せています。もちろん、本調査の対象となったAIリーダーでも、業務効率化にAIを利用し、さらにAIを売り上げ拡大に貢献する抜本的変革の原動力として位置付けています。つまり、斬新な製品を生み出し、ビジネスモデルを刷新して有望な新市場に打って出るための一助としているのです。
本調査では、AIリーダーがAIでビジネスモデルを抜本的に変革する力が向上したと回答する確率は、他企業の2.6倍となっています。
AIリーダーでは、調査対象となったあらゆる事業変革の取り組みにおいてAI導入効果が表れています。その第一歩となるのが、機会探しです。本調査の結果によると、新たなバリュープール(価値源泉)の特定にAIを使う確率は、AIリーダーが他の企業の1.8倍でした。とりわけ、業界の垣根を越えた製品とサービスの革新的組み合わせに対する顧客ニーズを背景としたバリュープールが目立ちます。こうした顧客ニーズに応えようと業界融合が進む中、ビジネスモデル変革を遂げた企業が手にする利益は増加します。
実際、本調査の結果を見ると、業界融合が生み出す成長機会を捉える力は、AI適合性の構成要素の中でも、AI活用による財務パフォーマンスに最も大きな影響をもたらす要素として際立っています。AIリーダーでは、異業種連携、ビジネスエコシステム活用型の価値創出、業界の垣根を越えた競争にAIを利用する確率が、他の企業の2~3倍となっています。例えば、自動車メーカーと医療機関の協業の可能性を考えてみましょう。車両にハイテクセンサーを搭載し、ドライバーの健康状態をモニタリングしてデータをAIシステムに送れば、パーソナル化された疾病予防プログラムの設計が可能となります。
重視すべき理由
AIを使って業務を迅速化するだけでなく、販売する商品や価値の創出方法までAIで変革すると、投資効果が最大化されます。
次の一手
AIで成長への扉が開かれそうな投資分野を2つ特定し、AI活用が効果を発揮しているかどうかの判断基準を策定します。
図表4:業界融合は、AI活用によるパフォーマンス向上に最も大きな効果をもたらす要素です。AIリーダーがAIを活用し、業界融合の動きを成長の追い風にする確率は他企業を上回っています。
Q. あなたの組織では、以下の各項目にAIをどの程度利用していますか。
(複数ある回答選択肢のうち、「かなり活用」と「大いに活用」の2つのみを掲載)
出所:PwC「AIパフォーマンス調査」
本調査から、AIリーダーは、AIが提示する情報を参考に、成長のための優先課題を見極め、規律ある経営の方針の下でこうした課題に注力していることも分かりました。早い段階で戦略的な選択を行い、常に成果を測定しながら、選択した取り組みを主体的に運用ベースに乗せています。AIリーダーでは、短期的・長期的視点で優先順位を設定したAIロードマップを用意し、AIビジョンと事業目的の整合性を確保し、ビジネスへの効果を体系的に調査し、AI導入の成果について経営陣に直接責任を負わせる確率が他企業よりも高いと言えます。
重視すべき理由
成果の測定方法なしに、AI投資がリターンを生んでいるかどうかは確かめようがありません。
次の一手
「横展開か打ち切りか」を見極める月次レビューを用意します。予算拡充の対象は、明確な業績指標で確かな進展が確認できるプロジェクトに限定します。
次の一手:黒字化を目指すために。
「業界融合に端を発する成長」を、経営層の後ろ盾があるAIポートフォリオとして扱います。価値が変化している領域をAIで特定し、その見解を裏付ける判断を下します。具体的には、ロードマップの優先順位決定、責任の所在の明確化、取捨選択を迫る効果指標の設定です。
アイデアを形に
農業の現場では、生産資材などの投入コストが高騰し、サステナビリティ対応の圧力も重くのしかかる中、化学肥料・農薬の使用量削減、収量アップ、環境保全の意識向上、土地・環境への配慮の重要性が高まっています。ジョンディアにとって、こうした変化は、AIを組み込んだ高機能な農機などの革新的製品で、新たな価値を創出するチャンスでした。そこで、ジョンディアはこれを優先課題に位置付け、ソリューションとサービスの提供を前面に打ち出したビジネスモデルを構築しました。ユーザーには初期投資の負担が小さく、ジョンディア側にとっては成果連動型収益を経常的に生み出す仕組みです。
ジョンディアは、AIでセンサー感知と動作制御を実行する精密農薬散布システム「See & Spray」を本格展開しています。このシステムは、トラクターのブーム(左右に伸長する腕)に搭載したカメラと内蔵コンピューターで、雑草を認識したときだけノズルから除草剤を噴霧します。ジョンディアがこのテクノロジーをサービス型の収益モデルとしてパッケージ化した結果、農家は実際に確認された成果に対して費用を支払えばよい仕組みが生まれました。
ジョンディアは、2024年の作物生育期におけるSee & Sprayの利用実績が農地面積ベースで約40万5000ヘクタールを突破したと発表しました。農家にとっては、除草剤の推定薬液節約量が3万283キロリットルとなり、トウモロコシ、大豆、綿花の農地全体で平均して59%の薬液節約につながりました。このビジネスモデルは、コスト削減の面でもサステナビリティ対応の面でも農家にプラスとなっただけでなく、ジョンディア自体も、差別化要因となる機会が一度きりしかないハードウェア販売ではなく、規模を拡大できるサービス主体の収益源によって、これまで以上に価値を獲得できる体制を整えました。
抜本的変革や業界融合がもたらす機会に向けたAI活用は、取り組みの出発点となります。しかし、成果を繰り返し生み出していくのは容易ではありません。そこで、次なる差別化のポイントは、大きな野心を掲げることではなく、対象を絞った6つの基盤を整えることになります。AIリーダーは、具体性のない形だけの刷新を基盤整備とは捉えていません。企業成長など高付加価値の事業目的にAIを活用し、社内に大規模展開して目に見える成果を狙う上で、そこに必要な基盤だけを構築しているのです。
基盤の整備状況によって、AI活用の経済性は大きく変わります。基盤が整っていれば、摩擦や手戻り、「一点もの」が減るため、新たな導入のたびに迅速化、低コスト化、信頼性向上が推進されます。
前述したように、この効果はコンバージョンレートに表れます。業績不振の企業がしかるべき取り組みを実践すれば、新たなAIユースケースがもたらす見返りは倍増するはずです。
図表5:強力な基盤づくりを得意とするAIリーダー:投資
Q. 次の各項目について、どの程度同意しますか。
(複数ある回答選択肢のうち、「極めて強く同意」と「強く同意」の2つのみを掲載)
出所:PwC「AIパフォーマンス調査」
図表6:強力な基盤づくりを得意とするAIリーダー:イノベーション創出
Q. 次の各項目について、どの程度同意しますか。
(複数ある回答選択肢のうち、「極めて強く同意」と「強く同意」の2つのみを掲載)
出所:PwC「AIパフォーマンス調査」
図表7:強力な基盤づくりを得意とするAIリーダー:イノベーションの規律
Q. 下記の目標の面から、AIポートフォリオの見直しをどの程度の頻度で実施していますか。
(「毎週」、「隔週」、「毎月」の回答のみを掲載)
注:その他の回答選択肢は、「まったくない」「四半期ごと」「年ごと」「わからない」の4つ
出所:PwC「AIパフォーマンス調査」
図表8:強力な基盤づくりを得意とするAIリーダー:人材
Q. 次の各項目について、どの程度同意しますか。
(複数ある回答選択肢のうち、「極めて強く同意」と「強く同意」の2つのみを掲載)
出所:PwC「AIパフォーマンス調査」
図表9:強力な基盤づくりを得意とするAIリーダー:ガバナンス&リスク
Q. 次の各項目について、どの程度同意しますか。
(複数ある回答選択肢のうち、「極めて強く同意」と「強く同意」の2つのみを掲載)
出所:PwC「AIパフォーマンス調査」
図表10:強力な基盤づくりを得意とするAIリーダー:データ&テクノロジー
Q. 次の各項目について、どの程度同意しますか。
(複数ある回答選択肢のうち、「極めて強く同意」と「強く同意」の2つのみを掲載)
出所:PwC「AIパフォーマンス調査」
本調査の結果によると、下記の慣行が最大のパフォーマンス改善につながることが分かりました。
本調査の結果によると、AIリーダーのAI投資額は他の企業を大幅に上回り、売上高に占める投資額の割合は、他の企業の2.5倍に達します。とりわけAIリーダーによる投資額が大きかったのは、ソフトウェア、銀行、メディア&エンターテインメントの各業界で、年間売上高の約5%を投じていました。しかし、AIへの潤沢な投資だけでAIリーダーの座にあるわけではありません。AIリーダーは、自社のビジネスニーズに沿った投資になるように絶えず注意を払っているのです。また、AIリーダーは、事業上の優先課題の変化に伴い、高価値のAIプロジェクトに向けて予算・人員の割り当てを見直す確率が他企業の1.3倍となっています。こうした対応は、臨機応変なリソース割り当てと優れた財務成果の関係を示す数多くの調査結果とも一致します。
予算投入が燃料だとすれば、エンジンに相当するのがイノベーションです。AIリーダーは、高速実験の条件を整えます。AI導入実験の支援に特化したテクノロジーインフラを整備する確率は、AIリーダーのほうが他の企業より1.5倍高くなっています。例としては、社内の業務システムからは完全に隔離された空間で、新しいAIソリューションを安全に検証できる「サンドボックス」環境が挙げられます。また、AIリーダーでは、事業部内でAIプロジェクトを指揮するイノベーションオーナー(責任者)を任命する確率が高いと言えます。こうした背景があるため、実験プロジェクトに乗り出しやすく、迅速に、しかも安全に実行できます。
さらに、AIリーダーがAIイノベーションの取り組みを体系的に評価する確率は、他企業よりも高く、優先順位設定、横展開、あるいは打ち切りを判断できます。その結果、価値を生み出すAIソリューションに確実につながる実験的取り組みが何件も控えている状況になるのです。
重視すべき理由
誰もがAIイノベーションを片手間仕事と考えていれば、やがて行き詰まります。実験は、専用インフラと責任あるオーナーがそろって初めて一貫した再現性のある成果物につながります。
次の一手
優先順位の高いAIイニシアチブごとに、明確なビジネスオーナーと成功指標を割り当てた上で、決定権限を与え、実験と実装の専用プラットフォームも提供します。
多くの人がAIを利用することで、AIの価値は初めて現実のものとなります。企業においても、従業員がAIテクノロジーの価値を実感することで、チェンジマネジメント(変革管理)の一項目という認識を凌駕する大きな信頼が醸成されるようになります。信頼の欠如は、処理能力の足かせとなります。信頼が低ければ、利用は広がらず、効果も小さくなります。
AIリーダーは、普及促進の条件を整えています。AIが生み出す知見に従業員が信頼を寄せ、これを基に日常業務に取り組む確率は、AIリーダーのほうが他企業より2.1倍高くなっています。
信頼性が単一のプログラムだけで向上することはまずありません。信頼は、以下の条件の下で育まれます。
AIリーダーはガバナンスを重視しており、AIの実装を減速させることなく、むしろその加速にガバナンスを役立てています。ガバナンス委員会が、「責任あるAI」のポリシーを策定し、社内の各部門がこのポリシーを日常業務に適用します。その際、標準開発テンプレートや簡易チェックリスト、定期モニタリングなどの仕組みを用います。このような体制があれば、最もリスクの高い業務のみガバナンス委員会の指示を仰ぎ、日常的なユースケースは迅速に展開することができます。
AIリーダーは、この仕組みを整えている確率が高いと言えます。ユースケースの選定からアプリケーションモニタリングまでのプロセスに対して「責任あるAI」の枠組みを明文化し適用している確率は、他企業の1.7倍となっています。また、部門の垣根を越えたAIガバナンス委員会を設置している確率は、他企業の1.5倍となっています。
アイデアを形に
グローバルなホテルフランチャイザーであるウィンダムが、同社ならではの魅力ある宿泊体験を提供するためには、各ホテルオーナーをタイムリーにサポートする確かな支援体制が不可欠となります。これにより、ブランド品質基準を厳格に守りつつ、地域ごとの特色を生かしたカスタマイズの余地を残しておくことが可能となります。ただし、ブランド品質基準の変更を手作業で行う際、平均して30日ほどかかっていました。経営陣はこのプロセスを改善したいと考えていました。そこで、従業員が安心して導入できる確かなソリューションとするため、「責任あるAI」という考え方を戦略の中心に据えました。
ウィンダムは、PwCの協力の下、信頼できるAI運用を実現しました。その際、PwCは、自動プロンプト生成、共同編集、リアルタイムモニタリングの機能を生かし、人間による監督・介入を組み込んだエージェント型ワークフローを設計しました。こうした取り組みにより、ウィンダムでは、各部門でエージェントの誘導・監督が可能になりました。また、信頼醸成と普及促進に向け、「責任あるAI」フレームワークと継続的なアップスキリングにより、このプログラムを横展開できる体制を整えました。
エージェントの利用で、さまざまな品質基準の統合、変更要求のワークフローの簡略化、フランチャイジー側が使いやすい集中管理型のアクセス環境が実現しました。ウィンダムは、厳格さと確実性を損なうことなくブランドの一貫性を短期間に実現しました。ブランド品質基準の変更に伴う評価期間が94%削減(AIによる評価で20倍の高速化)され、1件当たりの評価期間が40~80時間短縮されました。この結果、ウィンダムでは、信頼性の高いAIソリューションをあらゆる業務において自信を持って導入できるようになりました。
私たちの経験から言えば、AIの導入規模を拡大していく上で特に大きなハードルとして、データの品質・利用権限、テクノロジー統合、さらには似たようなAIコンポーネント(データパイプライン、統合レイヤーなど)を各部署がそれぞれに開発する隠れコストなどが挙げられます。
AIリーダーは、会社として重視するユースケースに関して、このような障害の除去に注力しています。
他部署に転用可能なAIコンポーネントを作成・一元管理しておき、各部署が同じものを一から開発することなく、必要に応じて取り出して使えるようにしている確率は、AIリーダーのほうが他企業より2.4倍高くなっています。また、優先順位の高いAIアプリケーションに必要な高品質データを提供している確率は、他企業の1.7倍となっています。
アイデアを形に
サウスウエスト航空の乗務員向け勤怠管理・休暇申請システムは、旧式化したテクノロジースタック上で稼働していたため、マニュアル類が乏しく、属人的な暗黙知に大きく頼っていました。そこで経営幹部は、保守・更新の手間を軽減するためにシステムのモダナイゼーションを決断します。ただし、それに伴う時間、コスト、リスクの管理が必須と考えました。
サウスウエスト航空はPwCと共同で生成AIと最先端のソフトウェアエンジニアリングテクノロジーを生かし、同アプリケーションのソースコードのリバースエンジニアリングを実施。システム更新に当たっての明確な機能要件や、更新・修復が手つかずになっている優先事項を洗い出しました。続いて、この結果について、サウスウエスト航空のナレッジ管理スペシャリストが検討会で内容の検証と論点整理を実施し、十分な確信を持って、詳細まで詰めた実装計画を策定しました。また、将来のモダナイゼーションにも繰り返し適応できるアプローチも整いました。
未対応の更新・修復事項の洗い出し作業にかかる期間が、生成AIの活用で10週間から5週間に半減しました。また、計画・設計段階において、エンジニアリング・テクノロジー・事業各部門全体で延べ200時間を超える業務時間削減効果がありました。この取り組みで600件以上の要件が作成されました。このうち90%が高品質として受理され、開発作業の開始前にモダナイゼーションのリスクを削減できました。
次の一手:焦点の定まらない終わりなきトランスフォーメーションに陥ることなく、自社のAI戦略のニーズに合致するものだけを開発することが大切です。
つまり、少数の優先課題で成果を上げることに基盤を置くこと、成功事例を横展開できるようにポートフォリオに予算を投じること、必要なデータやプラットフォームだけをモダナイズすること、対象者を絞ったリスキリングとガバナンスを実現することです。この考え方は、AI後進企業とAIリーダーの両方に当てはまります。たとえ勝ち組と目される企業であっても、ベストプラクティスをもれなく実践しているわけではなく、まだ取りこぼしている価値があるのです。例えば、イニシアチブの整理に関して、AIリーダーは他の企業よりも節度がありますが、実際、イニシアチブの打ち切りを目的にAIポートフォリオの評価・見直しを実施することが「多い」または「かなり多い」と回答した企業は、28%にとどまっています。
アイデアを形に
業界トップクラスのある医療機関では、これまで蓄積したがん関連のデータを生かせば治療の改善や研究の加速に役立つはずと考えていました。しかし、こうした情報は、縦割りのシステムに格納されているうえに、共通形式で整理されていない非構造化の自由記述が大半でした。同機関がプラットフォームの一部をモダナイズした後も、病態、バイオマーカー、治療歴、社会的決定要因などの重要情報は依然としてさまざまな部署に散在していました。このようなデータがまとまればタイムリーな分析が促進され、個別化医療や、患者と治験のマッチングが可能になることから、経営陣は、データの一元化を決断しました。
同機関では、PwCとGoogle Cloudの協力の下、組織全体への展開を見据えたAI対応のがんデータ基盤を構築しました。この結果、医療記録、保険請求、外部情報源、臨床ノートを対象に、データの取り込み、不備・不整合の修正、整理、検索対応の処理を効率化できるようになりました。AIは、非構造化情報を利用しやすい形式に変換する作業に役立ちました。また、Google Cloudの各種ツールにより、臨床現場や研究現場のワークフローに合わせて導き出される知見をリアルタイムに提供できました。さらに、データ品質のモニタリング機能が組み込まれているため、信頼醸成にもつながっています。
このプログラムでおよそ2,000件のデータテーブルが再利用可能な資産に変わりました。その結果、患者が経済的負担を抑えつつも同等の効果が期待できる治療法が利用できるケースを見つけ出すなど、実務での意思決定に役立っています。患者ケアに当たるチームが分析結果を入手するまでの時間が50%短縮した結果、患者と治験のマッチングの迅速化、臨床現場での治療法比較検討、早期のリスク特定が可能になりました。また、プライバシー保護処理を施した知見により、研究の推進やライフサイエンス分野での提携を通じて、新たに5000万ドル以上の価値がもたらされる可能性も出てきました。
AIリーダーでは、まず経営幹部が、成長、抜本的変革、効率化、あるいはその組み合わせなど、AI活用で達成したい事業目標を策定します。そして、AIソリューションが効果を発揮しそうなあらゆる部署で開発・実装が確実に進んでいることを確認しています。全社的にAIを浸透させるためには、3つの軸で取り組む必要があります。第1に、社内のさまざまな部署にAIを広く実装すること、第2に、業務の遂行を強化できるように中核となるワークフローやシステムにAIを浸透させること、第3に、AIを高度な形で応用して、アシスタント的な利用から自動化へと格上げすることです。
本調査の結果によると、ほとんどの企業では、AI利用は依然として組織内で局地的に集中しており、数部門に散在するユースケースにとどまっています。AIリーダーは、実際に効果が認められたAIのユースケースを部署、地域、部門、バリューチェーン活動、商品などに横展開し、せっかくの価値が局所的に閉じ込められないようにしています。例えば、ある保険会社の財務部門で、AIを活用すれば請求書処理時間が短縮できると実証された場合、これと同じ文書取り込み・ワークフローモデルを法務部門での契約書チェックの自動化や、オペレーション部門での保険金請求処理の自動化に横展開できます。
また、企業戦略、サプライチェーン業務、フロントオフィスやバックオフィスなどの多様な分野を対象に、バリューチェーン全体にAIを適用している確率は、AIリーダーのほうが他企業より2倍高くなっています。
また、全社的なAI利用については、他の業界に大きく先行している業界があります。バリューチェーン全体での業務へのAI浸透度で見ると、メディアやエンターテインメント企業がトップクラスに位置します。具体的な適用領域としては、方向性の設定(戦略、計画立案等)が54%、需要喚起(マーケティング、営業等)が55%、管理部門業務(財務、人事等)が35%、需要充足(生産、サプライチェーン計画等)が41%でした。
他の業界に目を向けると、バリューチェーンの特定領域でAI利用が進んでおり、製薬、ライフサイエンス、自動車業界では方向性設定に、テクノロジーサービス、観光・レジャー業界では需要喚起に、プライベートエクイティ業界ではサポートサービスに、保険業界では需要充足にそれぞれ活用されています。
重視すべき理由
意思決定や作業の場でAIを一貫して利用し、しかもAIの価値が最大限に発揮されるようにプロセス設計を見直すと、パフォーマンスは最大化されます。
次の一手
優先度の高いワークフローを一つ選定し、最初から最後まで全体を評価します。AI活用で特定ステップが迅速化されるだけでなく、引き継ぎや職務、処理量も変わることが見込まれる部分のプロセスを再設計します。
本調査の結果、優れた業績の企業は既存ワークフローに後付けでAIを追加しているわけではないことが分かりました。標準的な作業工程にAIが完全に組み込まれているのです。これは、作業効率と成果物の品質の両方を改善する上で不可欠です。具体的には、顧客サポートのあり方を見直し、ケース(問い合わせ案件)管理システム内部でAIを動かす例が挙げられます。この場合、顧客に関する適切な経緯や知識を取り出し、応対方法の草案を作成し、複雑なケースの場合だけスペシャリストに引き継ぐことが可能です。これに対して、チャットボット単体を後付けする従来方式では、エージェントが対応し、やり取りを手作業でサポートチケットに入力する必要があります。
アイデアを形に
次なる成長段階に進む準備を整えた米電気自動車メーカー、ルーシッド・グループ。経営陣は、財務部門の役割について、業績の報告役から業績の方向付け役へ進化させたいと考えていました。予測、計画、意思決定支援のスピードと質を高め、財務部門に全社的なデータ活用の基盤を担わせようという考えでした。
ルーシッドは、PwCの協力で、実際の業務データ、応用AIモデル、エージェント型ツールを生かし、AI活用型の予測・報告機能の試作モデルをラピッドプロトタイピングの手法で迅速に構築しました。ルーシッドとPwCのスペシャリストによる部門横断的なPOD型チームを立ち上げ、財務部門のワークフローにAIを組み込みました。予測、照合・突合、分析、モニタリングを自動化し、AI活用の意思決定支援を全社に横展開するために、さまざまな用途で再現性のある手順を確立しました。
ルーシッドでは、予測に必要なサイクルタイムが全体で数週間かかっていたものが、わずか1分未満に短縮されました。また、10週間の期間中に、AI活用のユースケースを14件設計したうえに、全社への横展開まで開始しています。現在、この取り組みは、財務部門にとどまらず、調達部門や事業部門などにも展開されており、10億ドル以上の設備投資を可視化して、経営陣の迅速な意思決定を支援するAI活用の幹部向けコンシェルジュ機能などが誕生しています。
私たちが調査した全ての業務パフォーマンス指標で、意思決定の自動化は、AI活用によるパフォーマンスに極めて強く結びついています。理由は単純です。定型的で頻度の多い意思決定のかなりの部分をAIに安心して任せられるようになれば、サイクルタイムの短縮、処理量の増加、パフォーマンス向上がもたらされるからです。本調査の結果によると、AIリーダーは、高度なAI利用の確率が他企業の2倍近くに上り、ガードレールの範囲内でAIに複数の作業を任せるか、場合によっては自律運用と自己改善を実行するケースもあります。人間が介在しない意思決定の数を増やす確率が、AIリーダーでは他企業の2.8倍と聞いても、驚くに当たらないのではないでしょうか。また、AIリーダーは、意思決定の質が大幅に向上したと回答しており、自動化が最も効果を発揮するのは、スピードとともに質も向上している場合であることが分かります。
図表11:最も高度なAIの使い方として、先進のAIユースケースを挙げる確率は、AIリーダーでは他企業の2倍近くとなっています。
Q. 下記の項目のうち、あなたの会社で最も高度なAI利用に該当するのはどれですか。
全回答のうち、AIの最も高度なユースケースとして各項目を挙げた回答が占める割合
出所:PwC「AIパフォーマンス調査」
高度化が進んだとしても、機械が人々の仕事を一律に代替するとは限りません。完全な自律性は、まだ例外的な位置付けです。AIリーダーのうち、最も高度なユースケースに自律型・自己改善型を挙げた回答は15%にとどまっています。さらに、AIリーダーのうち、AI導入を理由に少なくとも5%の人員削減を見込んでいる企業が48%を占めた一方、別の49%は、人員数の変更はほとんどないかまったくない、あるいは人員を増やすと回答しています。もう1つ加えて言えば、導入直後に見られる変化は、多くの場合、人員削減ではなく、遅延削減です。つまり、AIがガードレールから逸脱しない再現性ある判断を担うのに対して、人間は、例外事項や妥協が必要な事項への対応、さらには戦略的な目標を踏まえた意思決定の舵取りに専念します。
次の一手:横展開は範囲・対象を絞り込みます。
目的に沿って優先すべきユースケースを数件選び、横展開していきます。つまり、最初から最後までワークフロー全体の設計を見直してプロセスにAIを取り込み、他の部署、地域、部門、意思決定機会にも同じパターンを転用していきます。意思決定の自動化推進に向けた現実的な出発点として、まず、頻度が高い、繰り返し使える、効果測定が可能、低~中程度のリスクという条件に当てはまる意思決定事項(緊急度の見極め、優先順位付け、輸送経路選定など)をいくつか選びます。明示的なガードレールを逸脱しない範囲で自動化し、意思決定の質を評価し、確実性と信用の面で一定水準を満たした場合に限り広く展開します。
アイデアを形に
最初からAIを当たり前のように巧みに使いこなす競合他社の攻勢が強まる中、あるグローバルな小売り大手の経営陣には、AIを生かし、全社規模で生産性や事業変革を推進する必要があることが分かっていました。そのためには、新しい働き方、新しい業務プロセス、リスクを抑えながら機敏に動ける経営モデルも並行して整える必要がありました。
同社は、PwCの協力の下、集中管理型のAIハブを構築しました。これがAIエージェントのプロトタイプ制作、導入・展開、管理を担う共通プラットフォームとなります。第1弾として開発したエージェントは、ソフトウェア開発プロセスの最初から最後まで、支援に活用されました。次に投入したエージェントは、顧客サービスや人材管理などの部門の支援に使われました。これと並行して、同社は人とエージェントの連携体制の再編に乗り出しました。具体的な措置としては、人材のアップスキリング、新たな職務の創設、検証・倫理審査による信頼醸成、エージェントのライフサイクル管理の確立が挙げられます。
数カ月後にはソフトウェア開発のサイクルタイムが最大60%短縮されました。また、本番環境でのエラーが50%減少した結果、IT関連の重要な未処理案件に注力しやすくなりました。社内でエージェントを導入する部署が増えるにつれて、顧客対応時間が40%も減少し、要員計画の改善で離職率が10%減少、リアルタイムのトランザクション監視で不正行為が25%減少しました。さらに、マーケティングの成果も向上し、コンバージョン率は15%増、ROIは20%増となりました。
AIで得られるものは、定量化できる利益にとどまりません。もっとも、AI適合性の向上に取り組んでいない企業では、記事の冒頭で紹介したように、AI導入パイロットプロジェクトが目白押しなのに、目に見える効果がほとんどない状況が繰り返されるはずです。測定可能な効果について言えば、本調査の結果からは、期待の持てる道筋がはっきりと見てとれます。AIリーダーが他企業と明らかに一線を画していることは、その一連の経営判断から明らかです。AI活用を重要なビジネスの成果に適合させること、目的に沿った基盤を構築すること、全社にAIを浸透させることを重視しているのです。
こうした仕組みを確立するには、計画的で継続的な取り組みが必要です。ただし、容易ではありません。何しろ、経営幹部が目を光らせなければならない優先課題は山積しているからです。それでも、AIリーダーの仲間入りを果たそうと考えているのであれば、待っている余裕はありません。AIリーダーがすでに享受しているメリットは、今後ますます大きくなります。こうした企業の学習速度が上がり、ソリューションの展開を重ねるごとに迅速化し、安心して意思決定を自動化できるようになるからです。
今こそ、AI導入パイロットの殻を打ち破り、もっと高みを目指すべきです。経営幹部は、検討事項の中でも、とりわけ重要な布石を打つ時にこそAIを生かすべきであり、AIに投資するのであれば、AI活用でパフォーマンスが向上する事業モデルを構築すべきです。AIに対する信頼を醸成し、AIの力を抜本的変革に振り向け、目的を明確化した基盤を構築し、さまざまなワークフローや意思決定に転用可能なパターンを開発して大規模展開すること。こうした条件が整えば、その成果は単なる段階的な改善にとどまらず、際立ったパフォーマンスの向上につながります。
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