「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方(追補)」の公表(ASBJ)

2020-05-14

日本基準のトピックス 第399号

主旨

  • 2020年5月11日、企業会計基準委員会(以下、「ASBJ」とする)は、第432回企業会計基準委員会(2020年5月11日開催)の議事概要として、「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方(追補)」(以下、「本議事概要」とする)を公表しました。
  • 本議事概要は、2020年4月10日に公表された第429回企業会計基準委員会(2020年4月9日開催)の議事概要[PDF 142KB]「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方」を補足するものです。
  • ASBJは、第429回企業会計基準委員会の議事概要を公表したものの、2020年4月末より始まった3月期決算の決算発表において、新型コロナウイルス感染症の影響が大きいと思われる業種においても、当該議事概要の趣旨に合った開示となっていない可能性があり、今後の法定開示書類において追加情報の開示が十分に行われないのではないかとの懸念から、本議事概要において、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた会計上の見積りを行う際の留意点を再度示した上で、会計上の見積りの仮定を開示する際の考え方を明らかにし、追加情報の開示を行うことが強く望まれる旨を記載しています。
  • 原文については、ASBJのウェブサイトをご覧ください。

概要

2020年4月10日、ASBJは、第429回企業会計基準委員会(2020年4月9日開催)の議事概要「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方」に公表し、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて、固定資産の減損、繰延税金資産の回収可能性など、様々な会計上の見積りを行う際の留意点について、以下のように示しています(日本基準トピックスNo.397参照)。

(1)「財務諸表作成時に入手可能な情報に基づいて、その合理的な金額を算出する」上では、新型コロナウイルス感染症の影響のように不確実性が高い事象についても、一定の仮定を置き最善の見積りを行う必要があるものと考えられる。

(2)一定の仮定を置くにあたっては、外部の情報源に基づく客観性のある情報を用いることができる場合には、これを可能な限り用いることが望ましい。ただし、新型コロナウイルス感染症の影響については、会計上の見積りの参考となる前例がなく、今後の広がり方や収束時期等について統一的な見解がないため、外部の情報源に基づく客観性のある情報が入手できないことが多いと考えられる。この場合、新型コロナウイルス感染症の影響については、今後の広がり方や収束時期等も含め、企業自ら一定の仮定を置くことになる。

(3)企業が置いた一定の仮定が明らかに不合理である場合を除き、最善の見積りを行った結果として見積もられた金額については、事後的な結果との間に乖離が生じたとしても、「誤謬」にはあたらないものと考えられる。

(4)最善の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響に関する一定の仮定は、企業間で異なることになることも想定され、同一条件下の見積りについて、見積もられる金額が異なることもあると考えられる。このような状況における会計上の見積りについては、どのような仮定を置いて会計上の見積りを行ったかについて、財務諸表の利用者が理解できるような情報を具体的に開示する必要があると考えられ、重要性がある場合は、追加情報としての開示が求められるものと考えられる。

このうち上記(4)では、会計上の見積りの仮定に関する開示について、「どのような仮定を置いて会計上の見積りを行ったかについて、財務諸表の利用者が理解できるような情報を具体的に開示する必要があると考えられ、重要性がある場合は、追加情報としての開示が求められる」と示されているものの、これまでに公表された2020年3月期の開示情報を踏まえると、新型コロナウイルス感染症の影響が大きいと考えられる業種においても、今後の法定開示書類において追加情報の開示が十分に行われないのではないかとの意見が聞かれていました。

そのためASBJは、上記(4)の「重要性がある場合」とは、当年度に会計上の見積りを行った結果、当年度の財務諸表の金額に対する影響の重要性が乏しい場合であっても、翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある場合であるため、これに該当する場合は、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定に関する追加情報の開示を行うことが、財務諸表の利用者に有用な情報を与えることになると思われ、開示を行うことが強く望まれるとの考えを示しています。

このニュースレターは、概略的な内容を説明する目的で作成しています。この情報が個々のケースにそのまま適用できるとは限りません。したがいまして、具体的な決定を下される前に、PwCあらた有限責任監査法人の担当者にご確認されることをお勧めします。

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