第4回「スマートファクトリー・エコシステム【前編】」

2020-09-14

1.スマートファクトリー・エコシステムの定義とその特徴

スマートファクトリー・エコシステムとは、工場単独でのスマートファクトリー化に留まらず、スマートファクトリーを中心として、企画から製造・販売後の保守・メンテナンスに至るまでをバリューチェーンとして捉え、データを活用した付加価値の向上が行われるエコシステムを指します。従来の垂直統合型のバリューチェーンとは異なり、プレイヤーが多岐にわたることや、データの利活用による付加価値向上が起こりやすいことが特徴です。

スマートファクトリー・エコシステムには、製造業だけでなく、AI(人工知能)テクノロジー業界、IT・ソフトウェア業界、金融業界(フィンテック)などが関連します。

3.デジタルがスマートファクトリー・エコシステムにもたらす影響

スマートファクトリー・エコシステムでは新たなビジネスモデルとして、単に優れた商品を製造し販売する「モノ売り」から、購入した商品から得られる体験を訴求していく「コト売り」へシフトし、顧客体験を向上させることが必要となります。その上で、スマートファクトリー・エコシステムにおけるデジタルの影響としては大きく2点が考えられます。

第一の影響は、サービタイゼーション(製品の機能をサービスとして提供)の拡大です。例えば、IoTの浸透により製品から常にデータが収集できるようになると、製品の稼働状況や使用環境などが、製造の開始から使用終了に至るまで把握できるようになります。このため、データを基にして製品使用状況の把握や課題の発見などを行うことで、顧客との継続的な関係構築が可能となります。

第二の影響は、製造リードタイムの短縮によるマスカスタマイゼーションの進展です。デジタルを活用した製造工程の最適化や、レーザー加工機や3Dプリンターなどのデジタル工作機器が浸透すると、製造のリードタイムが短縮され、小ロット品の製造コストが下がります。このため多品種少量製造が可能となり、顧客ごとのカスタマイズが容易になります。

こうしたデジタルの影響を踏まえて、スマートファクトリー・エコシステムの構築にあたってはバリューチェーンの上流と下流をともに強化していく検討が必要となります。

執筆者

溜井 智也

マネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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