ランサムウェア攻撃やフィッシング詐欺、サプライチェーン攻撃など、攻撃の手法は近年ますます高度化・巧妙化しています。大規模な情報漏えいやサービス停止を引き起こす事件の多発を受け、あらゆるレベルの企業においてセキュリティ対策の重要性が再認識されるようになりました。本クライアントは、通信・社会インフラを提供する事業者として数百種に及ぶ顧客向けサービスを運用しており、現状のセキュリティ防御があらゆる攻撃シナリオを無力化し得るかを第三者の視点から適切に評価すること、セキュリティ対策をより高度かつ有効なものにするための組織体制面を含めた現状の課題やあるべき姿の検討、その実現に向けたロードマップ作成を企図していました。
クライアントが現在行っているセキュリティ個別対策の妥当性、および全体統制におけるセキュリティ要件の充足性の評価を行いました。
個別施策の妥当性評価にあたっては、PwCの持つサイバーインテリジェンス機能を活用し、通信事業者・インフラ事業者をターゲットとする脅威アクターを特定。それらアクターが主に用いる攻撃手法を中心に、脅威シナリオを網羅的に洗い出した上で、それらシナリオを無効化し得る対策が行われているか否かを詳細に検証しました。
また、絶え間ない多数の脅威に対処するためには、セキュリティ対策を企画・実行・運用する全社一体となった組織体制が欠かせません。そこで私たちは、業界標準フレームワーク(NIST CSFやISO27001など)が推奨するセキュリティ要件の規程・実装・運用状況を、アセスメントを通じて実地で確認し、セキュリティ管理態勢のケイパビリティ評価を行いました。
本クライアントは、親会社から営業間接業務を受託されている機能子会社です。グループ全体のコスト削減と業務効率向上を目的に、複数のグループ会社に分散していた同種の業務を統合・標準化しスケールメリットを創出すべく設立されました。
しかし、組織再編こそ実現したものの、業務プロセスの統合・標準化は進んでいませんでした。オーダーからデリバリーまでの各プロセスが個別最適化された状態にあり、機能間の連携が弱いサイロ化の状況が続きました。その結果、業務全体を俯瞰したEnd-to-Endのプロセス設計が困難となり、機能横断の標準化やシステム活用による抜本的な効率化にも着手できない状態に陥っていました。
一方で、現場レベルでは個人単位で一定の効率化が進み、日常の業務遂行に大きな問題はないという認識でした。そのため組織全体としては依然として大幅な効率化余地が残る中、現場とマネジメントの課題認識のギャップが、抜本的改革に向けた機運の醸成を難しくしていたのです。
こうした状況から、グループ全体で掲げるコストダウン目標の達成には至っておらず、加えて人的リソースの調達も年々困難になっていることから、本クライアントは将来の事業運営に対する強い懸念を抱いていました。
営業部門の抜本的な改革に向け、サイロ化・複雑化していた業務プロセスを全社的な視点で再整理し、効率化余地の大きな領域を特定した上で、As-Is業務プロセスの可視化とTo-Be業務プロセスの検討を推進しました。
結果として、営業部門では業務構造を全体最適の観点から見直すことが現場を含めて共有され、部門横断で抜本的課題解決に取り組むための土台が形成されました。現在は可視化された業務プロセスおよび整理された課題を起点に各領域で改善活動が開始されるなど、順次、段階的な施策の実行推進が行われています。
ある通信キャリアはこれまでの通信ビジネスから非通信ビジネスへと事業領域を拡大させていました。その中で、顧客の大きな課題の1つであるGX(グリーントランスフォーメーション)については、自社サービスの脱炭素化に加え、顧客のGXを支えるサービスを直接的に提供することで貢献することを模索していました。
そして通信およびICTの強みを活かしつつ、顧客のCO2排出量の可視化・削減に直接的または間接的に寄与できる事業やサービスを立ち上げるために、ESGやSX(サステナビリティトランスフォーメーション)の領域の深い知見や、新規事業開発の知見を必要としていました。
PwCはこの通信キャリアを支援するにあたり、短中期的なGX市場のトレンドを国内外の動向を踏まえて可視化し、どの領域で戦うべきか、戦いたいか、戦うことができるか、を多角的な視点から検討しました。
具体的には、PwCのグローバルネットワークが有するSXに係る知見および事例、国内の規制、各業界の主要企業のニーズ、各領域の主要プレイヤーの動向と市場規模推移、業界ごとのエコシステム形成の可能性を踏まえ、勝ち筋のオプションを導出しました。
結果として、新規事業として大切な「クライアントのWill(やりたいビジネス)」も加味して、今後5年間の成長戦略を描くとともに、直近1年間のアクションプランを策定しました。
この通信キャリアは現在、当該アクションプランに基づいた取り組みを推進するとともに、戦略・戦術のアップデートを行っており、GXビジネスを事業の柱とすべく、収益化に向けて全社的な活動に取り組んでいます。
世界的にSDGsやESG、サステナビリティに関する取り組みが推進される中、環境・社会課題を解決しながら、自社の財務・非財務面の持続的な成長を実現させるサステナビリティ経営が注目されています。
これを背景として、PwCのあるクライアント企業はサステナビリティ経営を中期経営計画の軸に位置付け、本格的に取り組むことを決定しました。その計画を推進するにあたり、自社の強みや弱みを把握・理解し具体的な施策に落とし込む必要がありました。
課題解決に向けては、PwCコンサルティング合同会社とPwCサステナビリティ合同会社が連携してクロスファンクショナルチームを組成しました。その上で、クライアントのサステナビリティ経営の現状や国内外の競合企業の情報を元に、PwCサステナビリティ合同会社が開発した成熟度診断ツール「Lights」を用いて、クライアントの現状を短期間で評価。導出された結果に基づき、対応方針の策定と具体的な施策への落とし込みを支援しました。
具体的には次のようなアクションを実施しています。
このクライアント企業は策定したアクションプランを実行フェーズに移し、サステナビリティ経営の強化を推進しています。
調達・購買、法務など企業のコーポレート部門は、デジタル技術を活用することで従来の属人化した業務プロセスを抜本的に改革し、コストダウンや働き方変革を通して、リソースを戦略的に配分することが求められています。
本クライアントは、年に一度対象となる発注先取引に対して、下請法対象取引に該当するか否かの判定を行っていますが、およそ10万件の取引からマクロツールで絞込み、その結果を購買部員の目視により確認しているため、業務工数の多さが課題となっていました。
購買部員が目視で判定した下請取引結果を教師データとしてAIモデルを構築することで、対象取引全件を下請対象取引か否かを判定し、当該取引が支払遅延などの法令違反にあたらないかをチェックするAI判定ツールをクライアントの購買部門とともに開発、実装しました。
具体的には、過去の判定結果を教師データとするAIモデルを3カ月間のPoCで構築しました。その後は学習とチューニングにより判定精度を9割以上にまで向上させ、支払遅延などの法令違反チェックをはじめとする基本機能の開発・実装を実施しました。
運用の初期段階では、月次での下請判定と法令違反チェック実現に向けた課題対応として、運用の効率化を目的とした目視時間削減などの追加機能を開発しました。また、違反チェック結果を分析することで違反傾向を把握し、対応方針をクライアントと繰り返し検討することで、効率的かつ実効性のある運用体制を整備しました。結果として、AIによる判定結果をBI(Business Intelligence)ツールで可視化することで、法令順守・注意喚起の啓発、AIツールのクライアント子会社への展開、購買部員に蓄積されたAIスキルの他の業務への利活用などにつながりました。
本クライアントはトップの強いリーダーシップの下、積極的なM&Aを通じて大きく業容拡大を図っており、IT環境もビジネスの拡大スピードに追従すべく、長年、デリバリースピード(納期)優先でシステム開発を行っていました。その結果、長年の関係性から融通の利く委託先を優先的に選定することでシステム開発の品質が低下し、問題となることもたびたびありました。
このような問題を根本的に解決するための仕組みとして、システム開発におけるリスクを加味した上で委託先を適切に選定し、委託先と戦略的な関係を構築することが必要だと考えていました。
委託先との戦略的な関係を構築するために包括的な枠組みを提示し、クライアントが目指す委託先との関係性の実現にむけた構想・計画の策定を行いました。
その上で、まずは既存のベンダーの中から自社にあった委託先を見極め、また委託先の活用を検討する上でのインプットとなる委託先を見出すためにパフォーマンス評価を実施しました。さらに、半年間のパフォーマンス評価結果をもとにベンダーポートフォリオを作成しました。
本クライアントのIT環境に導入された戦略的なベンダーマネジメント体制は、現場・経営層の双方に大変好評であり、ビジネス部門も含めた全社への拡大が期待されています。