【主要プラクティスについて語る:メンバー対談】 ESG/サステナビリティ関連法務

国内外の“ESG/サステナビリティ課題”に係る専門的知見を集約し、
企業経営の視点から
社会課題の解決に“One Team”で挑む

人権課題や環境課題を含むESG/サステナビリティ課題への対応は、今や企業経営におけるトップアジェンダです。PwC弁護士法人では、企業のサステナビリティ経営の実現をサポートするため、「ESG/サステナビリティ関連法務」にいち早く注力してきました。当該プラクティスのメンバーに、取り組み状況ややりがいなどについて聞きました。

メンバー

PwC弁護士法人
パートナー代表/北村 導人弁護士(53期)※写真中央
蓮輪 真紀子弁護士(71期)※写真右
加藤 勇太弁護士(73期)※写真左

※法人名、役職、インタビューの内容などは掲載当時(2023年1月)のものです。

ESG/サステナビリティ関連法務の先駆として

――ESG(環境・社会・ガバナンス)/サステナビリティ関連法務に関する取り組み状況を教えてください。

北村:PwC弁護士法人は、企業が抱えるサステナビリティ経営に関するさまざまなアジェンダについて、PwC Japanグループやグローバルネットワークのメンバーファームと密接に連携しながら、戦略的なコンサルティングサービスを提供し、その実行や個別対応についてもサポートしています。具体的には、①ビジネスと人権への取り組みに関するコンサルティングサービス、②サステナビリティ経営を実現するためのビジネスモデルの再構築、③サステナビリティ経営のためのコンプライアンス体制の設計・運用、④サステナブルファイナンスに関する法的支援、⑤その他ESG関連の法的助言および争訟の支援ですが、これらに限らず、企業や社会のニーズに応じた効果的・効率的なサービスを提供しています。中でも、近時、私たちが力を入れているのは“ビジネスと人権”に関する支援です。企業が人権尊重責任を果たせるよう、経営者や各部署の方々と協議を重ねながら、人権方針の策定、人権尊重のための取組体制の構築、人権デューデリジェンス(DD)、グリーバンスメカニズムの構築、ステークホルダーエンゲージメントなどを支援しています。

――PwC弁護士法人における当該プラクティスの強みはどのようなところにあるのでしょうか。

北村:企業がサステナブルな経営を実現するためには、ESGを含めた多角的な視点で課題に向き合い、統合的に解決していく必要があります。一般に法律事務所は法的課題をサポートすることになりますが、PwC弁護士法人の所属弁護士は法的課題はもちろんのこと、それに限らず、プロフェッショナルとして経営者と同様の視点でさまざまな課題を統合的・多角的に解決することに重きを置いて支援を行うという点に特長があります。私たちはPwC Japanグループのコンサルティング、アドバイザリー、フォレンジック、アシュアランスなどサステナビリティに関する多様なプロフェッショナルとともにクライアントが抱える課題を解きほぐし、その解決に向けて“One Team”でアドバイス提供や実行支援を行っています。このように各分野のプロフェッショナルとスクラムを組み込みながら企業の課題解決に取り組める法律事務所はあまりないのではないでしょうか。私たちはその強みを生かすことで、この分野における国内リーガルマーケットの先駆的存在になりたいと考えています。

各国・各地域の法制やソフトローを加味

――具体的な取り組み事例を教えてください。

蓮輪:ある企業の「ビジネスと人権に関する対応支援」を行いました。人権方針の策定および人権DDの実施など、ビジネスと人権に関する取り組みをさらに高度化させていきたいというご依頼があり、PwC弁護士法人でサポートさせて頂きました。ビジネスと人権に関する取り組みの初期段階から、クライアントと毎週ディスカッションをしながらプロジェクトを進めたことで強い信頼関係を構築できたことなど、非常に手応えのある印象深い案件となりました。また、クライアントへの綿密なヒアリングによって、事業内容や企業の全体像を把握することができ、ビジネスの理解も深まりました。このほか、エネルギー企業や小売企業など、さまざまな業種の企業に対する人権尊重の取り組み支援、サーキュラーエコノミーのためのビジネスモデル構築、環境改善のためのベンチャー支援などのアドバイスも提供しています。

加藤:私も、同じ企業のプロジェクトに参加しました。未経験分野でしたが、興味があることを北村代表に伝えたところ、すぐに参加させてもらいました。

北村:加藤弁護士の経歴はユニークで、大学卒業後、テレビプロダクションや大手外資系IT企業に勤務し、弁護士資格取得後はフランスの外資系法律事務所での勤務経験もあります。ESG/サステナビリティ関連のサービスは、クライアント企業のビジネスやクライアントを含むステークホルダーの課題などを十分に理解した上で、取り組みの目的達成を支援する必要があるため、加藤弁護士の事業会社での勤務経験が実際のプラクティスにおいても生きているように思います。このプラクティスは“抜きんでた専門家”がいるわけではなく、メンバー全員がフラットな関係であり、それぞれ役割を分担して、その役割の範囲内で各自の強み・ノウハウ、知見の集積をしてもらっています。ですから入所年次も修習期も関係なく、「こういうことをしてみたい」と思える仕事には、誰もがすぐ取りかかれる状態にしています。

蓮輪:プラクティスメンバーはそれぞれ、日頃から、ビジネスと人権に関する取り組みを含む、ESG/サステナビリティに関連する国内外の動きについて情報を収集し、ニュースレターや外部セミナーなどでの発信を積極的に行っています。それにより、クライアントの現状や課題の把握、対応方法などを迅速に判断し、的確なアドバイスを行うことができると考えています

――幅広い分野にまたがるプラクティスでの苦労は何でしょうか。

加藤:国内に先行事例が少ないため、調査してもなかなか見つけられないという苦労がありますが、逆に言えば最先端の分野を開拓していく面白さを味わえます。

蓮輪:確かに「正解がない」のが大変なところかもしれません。だからこそ、クライアントの懸念や不安などを丁寧に拾い上げ、企業の課題を把握し、あるべき姿に近づけていく必要があります。ビジネスと法制・ソフトローの両面を見ながら、PwC Japanグループの各法人のプロフェッショナル、そしてクライアントと一緒にそのゴールを目指す――そのようなプロセスにも、やりがいを感じています。

北村:企業においても、専門家の間でもプラクティスは確立されておらず、また「ここまで行えば十分」というものではないので、アジャイル型で提案し、クライアントに伴走しながら体制構築や取り組みを推進させていくことは簡単ではありません。また、グローバルに広がるサプライチェーンが対象になると、各国・各地域の法制やソフトロー、さらには地政学的要素などの関連情報をタイムリーに収集し、それがクライアントの課題にどのように影響するかを迅速に検討していく必要もあります。法務面だけでなく、経営に深く関係する課題ですから、ビジネス全般の理解が必要なこともあり、通常の法務業務とは異なる難しさがあるでしょう。

伝統的な弁護士業務以外の能力も身に付く

――このプラクティスでの経験を今後どのように生かしていきたいですか。

蓮輪:このプラクティスはコンサルタント的な色彩も強く、伝統的な弁護士業務とはやや毛色が異なる側面があります。しかし、ESG/サステナビリティの領域自体が幅広い分野を横断するため、例えば環境系のファンドの設立・運営に関する案件では、これまで私が取り扱ってきたM&Aやコーポレート分野での知見を生かすことができました。最近は、経済安全保障や地政学的リスクの分野にも関心を持って取り組んでいますが、これらはビジネスと人権の分野に関連します。このプラクティスで経験を積むことで、複数の分野を横断する問題が出てきた場合にも柔軟に対応できる力が身に付くのではないかと思います。

加藤:AIを含めたテクノロジーの発展によって、ビジネスのあらゆる場面で人権侵害のリスクが認識されるようになりました。そうした新たに生じる人権侵害などのさまざまなリスクについて、企業に勤務していたバックグラウンドを生かしつつ、法的分析がきちんとできる専門家になるため、より知見を深めていきたいと思います。

――PwC弁護士法人の働きやすさについてはいかがでしょうか?

蓮輪:北村代表をはじめ、パートナーや先輩弁護士が細やかに目配りをしてくれていて、悩んだ時にはすぐに相談できる風通しの良い環境です。また、このプラクティスではPwC Japanグループのプロフェッショナルと協働する機会も多く、そのつながりが強固なことや、グループ内のコミュニケーションが取りやすいことも働きやすさにつながっていると思います。

加藤:分野横断的な案件に携わることが多く、従来の弁護士の職域を越えた経験ができる面白さがあります。一方で、リーガルオピニオンの作成などオーソドックスな弁護士の専門性を求められる場面も日常的にあります。その際には、必ず先輩弁護士が丁寧にレビューをしてくれますし、弁護士の基礎的なスキルを研鑽する機会が多いことも安心材料です。このように、盤石な基礎固めをしながら、新しい分野にも取り組めるというのは、得難い環境だと思います。

変容するESG/サステナビリティの課題をともに考え続ける

――当該プラクティスの今後の展望を教えてください。

北村:ESG/サステナビリティ関連法務は、PwCのパーパスである「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」ことに直結する重要なプラクティスです。今後、企業経営においては必ず向き合わなければならない問題ですが、業務領域は広範です。現在主要なプラクティスの1つである、ビジネスと人権に関する取り組み支援はさらに幅広くグローバルにも展開していきますし、環境に関する支援ではネットゼロに向けたトランスフォーメーション支援やファイナンス支援、ESGと会社法では善管注意義務、KPI設定、役員報酬など、さまざまなESGアジェンダを相互に連携させつつ解決を図ることが求められていくでしょう。その解決のために、経営者が有する課題に向き合い、私たちにできることを見極め、新たに生じた課題には新たな対応方法・サービスをつくり上げて解決に導く。これが当プラクティスの強みであり、プラクティスのメンバー全員で、真摯に対応していきます。

――どんな方に参加してほしいですか。

加藤:最先端の分野に積極的に取り組める環境が整っていて、なおかつコンサルティングや税理士法人などグループ関連法人とタッグを組んで仕事に臨める環境はほかにはなかなかないでしょう。そもそも、ESGに限らず企業が抱える課題は、法的な問題だけではありません。法務、税務、コンサルティングなどワンストップでサービスを提供できる経験はPwCでしか得られないものだと思います。そうした幅広い分野や、他のプロフェッショナルとの協働に関心のある方と切磋琢磨していきたいですね。

蓮輪:加藤弁護士が話したように、他のプロフェッショナルとの協働はもちろん、PwCのグローバルネットワークを活用した協働の機会も多くあります。PwCのメンバーと積極的にコミュニケーションを取りながら、ビジネスや社会的課題など、さまざまな事柄にアンテナを張り続けられる方と一緒に仕事をしていきたいです。

北村:企業活動がさまざまなステークホルダーの人権・環境などにどのような影響を与えているのかという点について、ビジネスの観点や法的バックグラウンドを生かした多角的な観点から分析・検討し、クライアントとディスカッションしていくことは、若手弁護士にとって今後の長い弁護士人生における大きな糧となるはずです。そのような仕事を通じて、弁護士個人としての成長はもちろん、社会課題や企業課題を解決するためのプロフェッショナル、そしてその集団であるファームとはどうあるべきかといった、個人および組織の将来を見据えて語り合える方と出会いたいです。「弁護士はこういう仕事をするもの」という固定観念を取り払い、プロフェッショナルとして何ができるかという視点で視野を広げていただきたいと思います。PwC弁護士法人はそれが実現できる場ですので、ぜひそのような意欲のある方に参加していただきたいです。