PwC Intelligence ―― Monthly Economist Report

「内需の減速」と「外需の下支え」に直面し、正念場を迎える中国経済(2026年7月)

  • 2026-07-24

2026年上半期の中国経済指標を踏まえた今後の展望

中国国家統計局が発表した2026年第2四半期(4-6月)の実質GDP成長率は前年同期比+4.3%となり、政府当局が掲げる2026年のGDP成長率目標である「+4.5~5.0%」の下限を下回って着地した。足元の中国経済は長引く不動産不況や雇用不安を抱えつつ需要不足に直面しており、内需は厳しい状況が続いている。国外に目を向けると、米中貿易の動向が注目されるほか、その他の主要貿易相手国・地域においては中国の過剰生産に端を発する貿易摩擦の問題を抱えるなど、外需環境も不確実性に直面している。加えて、緊迫した中東情勢が長期化した場合には、中国の貿易や物価動向に与える影響も懸念される。今後は、7月末に開催予定の共産党中央政治局会議で示される方針など、政府当局の政策動向とその効果を確認しつつ、中国の景気回復の持続性や先行きを見極めていく必要がある。以下では、先般公表された2026年上半期の主要経済統計に基づき、中国経済の現況および2026年を通じた今後の展望について筆者の見解を述べていく。

1.政府当局の成長目標「+4.5~5.0%」の下限を下回った中国のGDP成長率

図表1で四半期ベースの実質GDP成長率をみると、2026年第2四半期(4-6月)には前年同期比+4.3%となった。2026年第1四半期(1-3月)の前年同期比+5.0%から減速感を強めており、2026年の実質GDP成長率の目標である「+4.5~5.0%」の下限を下回って着地した。前期比(季節要因調整後)ベースでみても、2026年第2四半期の伸びは+0.9%(年率換算ベース:+3.6%)となり、2026年第1四半期の同+1.3%(年率換算ベース:+5.3%)から鈍化した。ここで名目ベースのGDP成長率をみると、2026年第2四半期(4-6月)は前年同期比+5.9%と前四半期(同+4.9%)から上昇した。3年ぶりに実質GDP成長率を上回り、「名実逆転」が解消された格好となっている。しかし、詳細は14ページ以降で述べるが、足元の物価動向をみると、原油など資源価格の上昇に伴うコストプッシュ型の物価上昇が見受けられるが、最終製品への価格転嫁は容易には進まず、根強いデフレ圧力に直面する状態が続いているだけに、実態的な物価動向の把握に努めていく必要があろう。

ここで実質GDP成長率の需要項目別の寄与度をみると、2026年第2四半期(4-6月)の実質GDP成長率(前年同期比+4.3%)のうち最終消費が1.9%ポイントとなった。前四半期(2.3%ポイント)から減少したが、全体の半分弱を占めている。総資本形成(1.5%ポイント)は、インフラ投資の伸びが一服するに伴い前四半期(1.9%ポイント)から0.4%ポイント減少した。一方で、純輸出(0.9%ポイント)は、後述のとおり、輸出が堅調に拡大したが、輸入が輸出を上回る伸びを示し、ネット貿易収支の伸びが鈍化したことから、前四半期(0.8%ポイント)から0.1%ポイントの微増となった。このように最終消費と総資本形成が落ち込むとともに、純輸出の下支え効果も限定的となり、GDP成長率全体の伸びは低下を余儀なくされている。

続きはPDF版をご覧ください。

レポート全文(図版あり)はこちら

( PDF 1.03MB )

執筆者

薗田 直孝

シニアエコノミスト, PwCコンサルティング合同会社

Email

PwC Intelligence
――統合知を提供するシンクタンク

PwC Intelligenceはビジネス環境の短期、そして中長期変化を捉え、クライアント企業が未来を見通すための羅針盤となるシンクタンクです。

PwC米国の「PwC Intelligence」をはじめ、PwCグローバルネットワークにおける他の情報機関・組織と連携しながら、日本国内において知の統合化を推進しています。

詳細はこちら

本ページに関するお問い合わせ