PwCIntelligenceは今般6月に中国の北京、上海に出張し、現地に進出する日系企業各社への訪問を重ね、足元の事業環境および今後の展望について意見交換した。ここ数年中国経済は不動産不況や消費の伸び悩みが続き、国内外の厳しい経済環境下、足元では減速感が顕在化しており、先行き楽観しがたい状況にある。こうした需要不足や根強いデフレ圧力に加えて、中国で事業展開する企業各社は「内巻(ネイジュアン)」と呼ばれる厳しい過当競争にも直面している。また、近年は中国企業のプレゼンスが中国国内に止まらず、アジア各国ほか海外諸国でも拡大するなど業界内の競争が激しくなっており、日系企業各社は中国経済および産業の実態把握を進めつつ、海外拠点の目線も加えながら中国企業の競争力、海外進出の動向とそのインパクトを分析し、自社の事業上の打ち手を考えていくことが求められる。
こうした状況下、太陽光パネルやEVなどクリーンエネルギー分野の産業が、中国経済のなかで重要性を増している。これらの製品は、中国における大気汚染などの環境問題やCO2排出の削減など国家的な課題の解決に貢献するとともに、製造業の活性化や高度化に繋がっている。さらには、世界市場においても高いシェアを占める中国の代表的な輸出品となり、世界のエネルギー転換を実現するための確固たる地位を築いている。こうした領域での中国のプレゼンス向上は欧米諸国からも警戒されているが、自社の事業機会とするべく大胆に戦略を見直し始めている在中国日本企業も相当数あることが、今回の中国訪問で見えてきたところである。
本稿では、日系企業各社が現地で感じている問題意識を踏まえつつ、足元で中国経済が直面している構造上の変化や特徴および中期的な展望に加えて、これまで中国の気候変動対策がどのように発展してきたのか、その背景と最新の動きを俯瞰する。さらに、エネルギー分野の「第15次五カ年計画」を分析することで、日本企業のオポチュニティについて議論していく。
まず足元における中国経済の状況を確認するため、鉱工業生産、固定資産投資および社会消費品小売総額(小売売上高)の動向についてみておく。図表1のとおり、前年同月比ベースでは、鉱工業生産が2026年5月には前年同月比+4.5%となった。昨年から総じて穏やかな減速基調はうかがえるが、+4.0%強の水準を維持しつつ推移している。長引く不動産不況の影響などからセメントや板ガラスなどマイナス推移を続けている一方、コンピュータや通信ほか電子設備、新エネルギー車などクリーンエネルギー関連の分野を主体に、全体として総じて堅調に推移している。一方で、固定資産投資は不動産開発投資の不振を主たる要因として2026年1-5月には前年同期比-4.1%と水面下に落ち込んでいる。社会消費品小売総額も2026年5月には前年同月比-0.6%とマイナスに転じた。2026年1-5月通算でみても前年同期比+1.4%となり、2025年通算の伸び(前年比+3.7%)を下回った。このように投資と消費が減速感を強めるなか、根強い生産が続いている。
続いて、図表2で前月比(季節要因調整済)ベースの推移をみると、2026年5月には社会消費品小売総額が-0.38%と3か月連続でマイナス推移したほか、固定資産投資も-1.91%と3か月連続でマイナス推移した。一方で、鉱工業生産は前月比+0.40%となり、2024年4月以降26か月連続でプラス推移を続けている。上述のとおり、中国の国内外を取り巻く経済環境は楽観しがたいなか、根強い生産活動が続いており、企業各社が最終製品の価格に転嫁しきれない状況は当面続くとみられる。
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