株主の権利保護に主眼を置いたコーポレートガバナンス改革の進展を通じて、株式の保有構造や株主の協調行動が注目を集めている。前者については、インデックス投資の浸透とともに、産業におけるコモンオーナーシップ(共通株主)と呼ばれる、同一の株主が産業内で競合する企業の株式を共通して保有する現象への関心が高まっている。後者については、今月1日に施行された金融商品取引法の改正を契機として、従来は限定的に捉えられていた感のある株主の協調行動が、むしろ積極的に位置付けられる状況となっている。企業経営においては、投資家による日常的なエンゲージメント活動への対応から企業再編のような重要な判断に至るまで、さまざまな判断が求められるが、各社固有の情報やリソースに基づく意思決定もさることながら、広範な投資ポートフォリオを運用する株主や、協調行動を取る複数の株主のインセンティブを理解し、自らの事業ポートフォリオの見直しや再編の動きを念頭に置いた備えが重要である。
まず、日本における株式保有構造を見ておこう(図表1)。上場企業の株式の保有構造の変化は、コーポレートガバナンス改革のひとつの背景ともなっているからである。持ち合い解消の流れも受けて、伝統的な株主層であった銀行などや事業法人の保有比率が低下する一方、機関投資家を中心とする外国法人等のウェイトが安定的に30%を超える水準に高まり、直近では過去最高の32.4%となっている。外国の機関投資家とは、典型的には、大手のインデックス投資家に象徴される、グローバルな分散投資のポートフォリオを運用する機関投資家である。個人による直接保有も安定的に推移しているが、株式保有の機関化(機関投資家や投資信託を通じた間接的な保有)の長期的な傾向や、後述する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や日本銀行による保有を反映して、信託銀行の保有比率も増加している。内外で株式保有の機関化が進行していることは、総じて、大手の機関投資家による株式保有が進展していることを意味する。
グローバルに投資を行う機関投資家の保有比率の増加は、ひとつの投資家が、各国の制度や慣行、文化を理解するという前提に立ちつつも、各国の制度を俯瞰した上でのベストプラクティスを念頭に置いて、株主の権利保護を要望することにつながる。そこで、日本でいえば会社法や金融商品取引法、証券取引所規則(有価証券上場規程)などに相当する制度設計に対しては、各国の制度と比較しつつ、一定の均質化を念頭に置いた要望が行われる。日本のコーポレートガバナンス改革は、2014年の日本再興戦略に基づくスチュワードシップ・コードの導入と翌2015年のコーポレートガバナンス・コードの導入が契機となっている。一方でそれに先立つ1999年に、既にOECDはコーポレートガバナンス原則を公表するなど、各国の関心や問題意識を先取りしながら集約し、グローバルな議論の場づくりの役割を果たしてきた。なお、図表1で見た、外国投資家の保有比率の安定的な増加が始まったのも、21世紀に入ろうとしていたこの時期のことである。改革の機運の高まりは、株式保有構造の変化と軌を一にしている。
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