PwC Intelligence ―― Monthly Economist Report

不可逆的に進行する中国の人口減少と少子高齢化-持続的な成長の方向性が問われる中国経済(2026年2月)

  • 2026-02-26

近年は中国(台湾、香港、マカオを除く)の総人口が減少を続けている。2021年(14億1,260万人)をピークに4年連続で減少しており、2025年末時点では前年末から339万人減少し、14億489万人となった。中国の人口減少は毛沢東時代の大躍進期に大飢饉が発生した1961年以来60余年ぶりであるが、総人口がこうした特殊要因によらず予想以上に速いペースで減少局面に突入している。

これまで中国は豊富な総人口や生産年齢人口を背景に経済発展を実現し、今や一人当たりGDPは1万米ドル超に達しており、中所得国から高所得国へ向かう段階にある。こうしたなかで、近年は結婚や出産に対する価値観が変化し、晩婚化や未婚化の傾向も顕在化しており、中国の人口減少と少子高齢化は不可逆的に進んでいる。中長期的に安定的な中国経済の成長を展望した場合、生産年齢人口の減退のほか、高齢者を取り巻く経済的・社会的環境の変化、さらには産業構造の変化や消費マーケットへの影響等、企業各社が事業戦略を検討するにあたって論じるべきポイントは多く、今後の動向が注目される。以下では、中国の人口に関連する統計を踏まえつつ中国経済や社会への影響のほか、今後注目すべき方向性などについて筆者の見解を述べていく。

1. 4年連続で減少を続ける中国の総人口

まずは図表1で1949年の建国以来の総人口の推移を振り返ると、大飢饉の影響で大量の餓死者を出した1960年および1961年を除いて総じて増加基調を辿り、現在の総人口は1949年の中華人民共和国建国時(5.4億人)の約2.6倍に達している。1962年からは出産が奨励されベビーブームとなり、1960年代から70年代前半は年間の人口増が2,000万人内外で推移したものの、詳細は後述するが、人口増加に伴う食糧不足に備えて1979年に導入した「一人っ子政策」により人口増加のペースは大分緩和された。

その後も中国の総人口は1990年代までは毎年1,000万人超のペースで増加したが、2000年代に入り毎年の人口増が700万人前後の水準で推移するようになった。国や地方政府当局はこうした人口減少に向かう流れに歯止めをかけるべく、2015年以降は「一人っ子政策」を解除し、2人目や3人目の出産を認め、補助金の支給など対策に取り組んだことで、人口増加のペースは一時的に盛り返した。ただし、中国社会の中には長年に亘って一人っ子が定着しており、婚姻件数の伸び悩みや晩婚化も進展している。ここ数年は厳しい経済環境が続いたなか、雇用不安、教育費など生活費の高騰に直面しており人口減少に歯止めがかからない一方、足元では人口増加のペースは急速に減退しており、中国の総人口は2022年にピークアウトするに至った。なお、2019年の国連中位推計では、中国の総人口のピークは2031年の14.64億人と予想されていたが、人口減少の段階は9年ほど早く到来している。

2. 出生率の急落に伴いマイナス推移を続ける自然増加率

このように建国以来の中国の総人口の動きを振り返ってみたが、以下では出生数や死亡数、および年齢別の人口動態など個別の項目を確認していく。主なポイントとしては、①出生数の減少は構造的な問題、②出生率低下は政府当局の政策では反転しにくい、③高騰する教育・住宅コストが最大の制約要因、の3点であるが、まずは足元で人口減少局面に至った要因や背景について詳細を述べていこう。


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執筆者

薗田 直孝

シニアエコノミスト, PwCコンサルティング合同会社

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