PwC Intelligence ―― Monthly Economist Report

「中央経済工作会議」からうかがえる中国経済の行方―2026年も楽観しがたい経済展望(2025年12月)

  • 2026-01-05

中国では、12月10日から11日に中国共産党の重要会議である「中央経済工作会議」(以下、会議)が開催され、2026年の経済運営の基本方針のほか、財政および金融政策や重要な取組事項が決定された。10月に開催された第20期中央委員会第4回全体会議(四中全会)で採択された「国民経済および社会発展の第15次五か年計画の制定に関する建議」では「2035年までに社会主義現代化を基本的に実現する」という中間目標も見据えた方向感が打ち出されたなか、今回の会議では「第15次五か年計画」の初年度となる2026年の経済政策の方針が示されたものである。

総じてみれば、2025年から継続する「より積極的な」財政政策と「適度に緩和的な」金融政策を維持しつつ、「内需拡大」を最優先課題と位置付けるほか、足元で直面する根強いデフレ圧力を踏まえ物価対策の位置付けも高めるなど、足元の厳しい経済環境を踏まえたスタンスもうかがえる。一方で、足元では長引く不動産不況や消費の伸び悩み、慢性的なデフレ圧力など、中国国内外で直面する課題に対しては抜本的な解決策に欠ける点も見受けられ、今後の動向が注目される。以下では、今回の会議で示された8つの重点任務の内容など踏まえつつ、2026年の中国経済の方向性を占う上で重要となるポイントについて筆者の見解を述べていく。

1.「中央経済工作会議」からうかがえる経済への現状認識と今後の基本方針

今回の会議では、「2025年は非凡の一年(今年是很不平凡的一年)」と指摘している。中国経済の現状については、「経済発展には旧来からの問題と新たな課題が依然として多く存在する。外部環境の変化の影響は深刻化し、国内では供給過剰と需要不足の矛盾が顕著となり、主要分野には多くの潜在的なリスクが潜んでいる」との厳しい認識を示した。後述するとおり、足元の中国経済は消費の先行き懸念や外需の不確実性に直面しており、引き続き楽観しがたい状況が続くとみられるなか、過剰生産や長引く不動産不況に伴う需要不足といった課題に加え、重要分野に各種リスクを抱えていることを政府当局として正しく受け止めているように思われる。

会議では、2026年の経済活動は「安定を維持しつつ前進を追求(穏中求進)し、質と効率を向上させる」という原則を堅持し、既存と新規の政策の統合的な効果を活用し、カウンターシクリカル(逆周期)とクロスシクリカル(跨周期)の調整を強化し、マクロ経済ガバナンスの有効性を高める必要があると指摘した。こうした基本的な政策スタンスの下で、マクロ経済政策については、2025年の「より積極的な」財政政策と「適度に緩和的な」金融政策を継続することが決定された。

まず財政政策については、「より積極的な」スタンスを継続する方針としている。2024年の会議で財政政策のスタンスは「積極的」から「より積極的」へ転換しており、財政赤字の対GDP比は3.0%(4.06兆元)から同4.0%(5.66兆元)へ引き上げられ、超長期特別国債と地方政府特別債の発行枠も増加させた。しかし、今回は「必要な財政赤字、債務総額、総支出を維持」する旨が明記されており、「科学的な財政管理を強化し、財政支出構造を最適化し、税制優遇措置と財政補助金の規範化を図る」としている。こうした認識を踏まえると、財政出動の規模はある程度拡大する可能性はあるが、量的な拡大に過度に依存することなく重点領域を中心に効果的に資金を配分する方針とみられる。


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執筆者

薗田 直孝

シニアエコノミスト, PwCコンサルティング合同会社

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