PwC Intelligence ―― Monthly Economist Report

「自立自強」「強国」を目指す中国の「第15次五か年計画」―次世代を見据えた中長期戦略(2025年11月)

  • 2025-12-01

中国では、10月20日から23日に中国共産党の重要会議である第20期中央委員会第4回全体会議(四中全会)が開催され、「国民経済および社会発展の第15次五か年計画の制定に関する建議」(以下、「建議」)が採択された。今後は、2026年3月の全国人民代表大会(全人代)で具体的な数値目標など含めた修正などを経て「第15次五か年計画」の要綱が最終決定される予定であるが、中長期的な目線を踏まえた政府当局の政策方針が示されたものである。

総じてみれば、現代的産業体系の構築や科学技術の自立自強といったキーワードの下で、次なる「第16次五か年計画」が終わる2035年まで中長期的に見据えつつ、今後中国が強国として発展していくための国家運営政策の方向性が打ち出されている。一方で、足元では長引く不動産不況や消費の伸び悩み、慢性的なデフレ圧力など、中国国内外で直面する課題に対しては具体性に欠ける点も見受けられ、今後の動向が注目される。以下では、「建議」で示された内容を踏まえつつ、「第15次五か年計画」からうかがえる観点を踏まえ、中国経済の今後の方向性を占う上で重要となるポイントについて筆者の見解を述べていく。

1.中国の「第15次五か年計画」の位置付け

中国の五か年計画は、1953年の「第1次五か年計画」以来、中国経済および社会発展を展望するための中期的な指針となるものである。四中全会が閉幕した後に公表された「国民経済および社会発展の第15次五か年計画の制定に関する建議」(以下、「建議」)では、冒頭に「第14次五カ年計画」の期間(2021~2025年)における成果が総括された。この期間の中国は、習近平氏を中核とする党中央の指導のもと、経済力や科学技術力、総合国力を高め、中国式現代化も新たな段階に進み、「複雑かつ不安定な国際情勢と困難な国内課題に直面しながらも顕著な成果を収めた」と評価している。経済は安定的に質の高い発展を維持しており、科学技術革新と新たな生産力育成が進み、改革深化と対外開放が拡大した。人民生活の保障と貧困脱却が強化され、グリーン転換と生態改善が進展したほか、国家安全保障と国防建設が向上し、外交と党の統率力が強化されたとともに、総合国力は新たな高みに達したとしている。「第14次五か年計画」が始まった2021年は中国共産党結党100周年であり、上述の観点を踏まえ、中国の近代化は第二の100年という目標に向けた歩みを好調にスタートさせたとしている。

これに続く「第15次五か年計画」(2026~2030年)は、これまでの成果と課題を引き継ぎ、中国が掲げている2049年の建国100周年に向けた「社会主義現代化強国」建設という長期目標達成のための重要な中間地点として位置付けられる。2017年の第19回党大会で「2035年までに社会主義現代化を基本的に実現する」という中間目標が設定されており、2021年から始まる「第14次五か年計画」から、2035年まで続く「第16次五か年計画」に至るまでに目標達成を目指す方向性にあるとみられる。足元では長引く不動産市場の低迷や内需の伸び悩みのほか、少子高齢化や地方財政の悪化に加えて、米中摩擦の長期化など内外のリスクが山積しているなか、中国政府当局が打ち出す政策運営の方向性が注目されている。中国の五か年計画は単なる経済成長の指標ではなく、社会の安定や国際的地位の向上、環境保護、技術革新など多面的な国家戦略の集大成となる。「第15次五か年計画」においても、経済成長の実現だけでなく、社会・環境・安全保障など多面的な発展を重視している。


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執筆者

薗田 直孝

シニアエコノミスト, PwCコンサルティング合同会社

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