PwC Intelligence ―― Monthly Economist Report

「+5.0%前後」の経済成長は射程圏内としつつも、先行き楽観しがたい中国経済(2025年10月)

  • 2025-10-29

2025年第3四半期の中国経済指標を踏まえた今後の展望

中国国家統計局が発表した2025年第3四半期(7-9月)の実質GDP成長率は前年同期比+4.8%で着地した。政府当局の景気刺激策に支えられた最終消費のほか、トランプ関税の影響から大幅減少している米国以外のアジアなど他地域向け貿易の伸びに伴う純輸出が寄与したものである。2025年1-9月通算では前年同期比+5.2%となり、政府当局の目標である「+5.0%前後」の経済成長は射程圏内に入っていると言えよう。しかし、2025年の中国経済は減速傾向を辿っており、2025年9月単月の動きをみると、消費小売や固定資産投資など内需の動向を示す主要指標には鈍化傾向が顕在化している。さらには、トランプ大統領は中国によるレアアースの輸出規制強化に端を発した対抗策として、2025年11月より中国に対して100%の追加関税を賦課する方針を打ち出しており、今後は米中貿易摩擦の激化のほか、その他各国との貿易動向にも注意しておく必要がある。

このような状況下、今後の中国経済は消費の先行き懸念や外需の不確実性に直面し、引き続き楽観しがたい状況が続くとみられ、政府当局による景気刺激策の効果も含めた中国の景気回復の持続性や先行きを見極めていく必要がある。以下では、先般公表された2025年第3四半期の主要経済統計に基づき、中国経済の現況および2025年を通じた今後の展望について筆者の見解を述べていく。

1.減速基調を辿りつつも、「+5.0%前後」の成長は射程圏内に入った中国のGDP成長率

まず以下の図表1で四半期ベースの実質GDP成長率をみると、2025年第3四半期(7-9月)には前年同期比+4.8%となり、第2四半期(4-6月)の同+5.2%から0.4%ポイント減速した。2025年の中国経済は減速傾向を辿っているが、2025年1-9月通算では同+5.2%で着地している。第4四半期(10-12月)の実質GDP成長率が同+4.4%程度を達成すれば、政府当局の目標である「+5.0%前後」の経済成長は実現可能の水準である。また、前期比(季節要因調整後)ベースでみると、第3四半期の伸びは+1.1%(年率換算ベース:+4.5%)となり、第2四半期(同+1.0%<年率換算ベース:+4.5%>)から加速した。

また、名目ベースのGDP成長率をみると、2025年第3四半期(7-9月)通算では前年同期比+3.7%と前四半期(同+3.9%)から鈍化しており、実質GDP成長率を下回る水準で推移している。GDPデフレーターの伸びはマイナスで推移し、名目GDP成長率が10四半期連続で実質GDP成長率を下回る名実逆転の状態が続いている。詳細は13ページ以降で述べるが、足元の物価動向をみると、2025年1-9月通算では消費者物価指数が前年同期比-0.1%とマイナス推移しているなど、根強いデフレ圧力に直面する状態が続いているだけに、実態的な物価動向の把握に努めていく必要があろう。


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執筆者

薗田 直孝

シニアエコノミスト, PwCコンサルティング合同会社

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