中国国家統計局が発表した2024年第3四半期(7-9月)の実質GDP成長率は前年同期比+4.6%(1-9月通算では同+4.8%)となった。四半期ベースでみても、2024年第3四半期は、第2四半期(4-6月、同+4.7%)から伸びが鈍化しており、経済減速の状況に直面している。足元の中国経済は、主に生産と外需の堅調な伸びに牽引されているが、中国国内では長引く不動産不況に加え、雇用不安もあり個人消費は勢いに乏しい。さらには、欧米諸国ほか主要貿易相手国・地域では中国の過剰生産に端を発する貿易摩擦の問題もあり、対中スタンスを厳格化する動きもあるなか、外需環境も楽観しがたい状況にある。
一方、ここ最近政府当局が相次いで打ち出している景気刺激策の効果も奏功しているとみられ、2024年9月単月の動きをみると、消費小売や固定資産投資、鉱工業生産などの主要指標には底打ちの兆しもうかがえる。ただし、政府当局が掲げる2024年通年の目標である「5%前後」の経済成長の実現はかなり厳しい状況にあり、中国の景気回復の先行きや持続性が注目される。以下では、先般公表された2024年第3四半期の主要経済統計を踏まえつつ、中国経済の現状および2024年を通じた今後の展望について筆者の見解を述べていく。
まずは図表1で四半期ベースの実質GDP成長率をみると、2024年第3四半期(7-9月)には前年同期比+4.6%となり、第2四半期(4-6月)の同+4.7%から0.1%ポイント減少した。2024年1-9月通算では同+4.8%となり、政府当局が掲げる2024年通年の経済成長率目標である「5%前後」に届かない水準となった。前期比(季節要因調整後)ベースでみると、第3四半期の伸びは+0.9%(年率換算ベース:+3.6%)となり、2024年第2四半期(同+0.7%)から加速している。その一方で、名目ベースのGDP成長率をみると、2024年第3四半期(7-9月)は同+4.0%と第2四半期(同+4.0%)から横ばいとなった。2023年第2四半期(4-6月)から6四半期連続で実質を下回り名実が逆転しており、根強いデフレ圧力が示される状況が続いている。
ここで実質GDP成長率の需要項目別の寄与度をみると、2024年第2四半期(4-6月)の実質GDP成長率(前年同期比+4.6%)のうち最終消費が2.3%ポイントを占めた。総資本形成(1.2%ポイント)と純輸出(1.1%ポイント)を大きく上回っており、最終消費を牽引役として経済成長を実現していると言える。ただし、詳細は後述するが、不動産需要の長引く低迷が耐久消費財の需要の足かせとなる状況は続いている。2023年第2四半期(4-6月、5.3%ポイント)を直近のピークとして最終消費の寄与度は5四半期連続で低下しており、これを総資本形成と純輸出の伸びでは支えきれず、足元の経済減速を余儀なくされている。
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