中国国家統計局が発表した2023年上半期(1-6月)の実質GDP成長率は前年同期比+5.5%となった。今年3月に開催された第14期全国人民代表大会で政府当局が掲げた2023年通年の目標である「5%前後」を超える経済成長を実現した。もっとも、こうした“高成長”は昨年の上海ロックダウン(都市封鎖)に伴う経済の大幅な落ち込みの反動によるところが大きく、年初には同+6%超を見込む声もあったことを振り返ると期待外れの結果と言わざるを得ない。実際、中国国内の個人消費は足元では伸び悩み、不動産市場の低迷も続いているうえ、若年層を中心に雇用不安も払拭されない。さらには欧米景気の先行き不透明感が増すなかで外需を取り巻く環境も厳しい状況が続いており、中国経済は内憂外患の様相を呈している。
特にここ数か月は景気回復の息切れ感が鮮明となるなか、政府当局による景気刺激策を期待する声も増しており、これらの政策効果も含めた中国経済の行方が注目されている。以下では、先日公表された2023年上半期の主要経済統計を踏まえつつ、中国経済の現状および2023年を通じた今後の展望について筆者の見解を述べていく。
まずは図表1で四半期ベースの実質GDP成長率をみると、2023年第2四半期(4-6月)には前年同期比+6.3%となり、第1四半期(1-3月)の同+4.5%から1.8%ポイント増加して着地した。今年初頭を振り返ると、2023年第2四半期(4-6月)には上海ロックダウンに伴う経済落ち込みの反動に伴い同+8.0%超の成長を期待する声も聞かれていた。もっとも、詳細は後述するが足元では消費、投資、外需それぞれに失速感が顕在化したため、大方の市場予想は同+7.0%内外に引き下げられたなか、結果的にはそれも下回る水準に止まった。また、前期比(季節要因調整後)ベースでみると、第2四半期の伸びは+0.8%に止まり、第1四半期(+2.2%)から大幅に鈍化しており、足元の中国経済には早くも息切れ感がうかがえる。
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