中国はこれまで経済改革開放やWTO加盟を経るなかで「世界の工場」としての位置付けを確立し、今では世界貿易総額の4分の1を占める世界最大の貿易大国としての地位を確立している。欧米はじめ先進諸国のほか、近隣のASEAN諸国やその他新興諸国とも緊密な産業サプライチェーンを構築しているため、中国の動きは中国依存度が高い国・地域のみならず、世界経済全体へも影響を与えることとなる。
こうしたなか、足元では欧米など主要諸国の需要は伸び悩んでいるうえ、中国国内をみてもゼロコロナ政策の解除後に期待されたほどに経済回復は実現しておらず、内・外需双方の先行きが相変わらず不透明な状況が続いており、今後の趨勢が注目されている。以下では足元における中国の貿易を取り巻く現況および今後の展望について、国・地域別および品目別の観点も踏まえつつ筆者の見解を述べていく。
まずは図表1、図表2で2001年のWTO加盟以降の中国の貿易総額をみると、2022年の貿易総額は6.3兆米ドル(輸出3.6兆米ドル、輸入2.7兆米ドル)に達し、この20年で10倍となり、10年前の2012年と比較しても1.6倍に増加している。過去を振り返ると、2008年からはリーマンショックに端を発した世界金融危機の影響を受けたほか、2015年以降は長年の人件費高騰による輸出競争力の低下や企業各社の現地生産・現地調達化の進展に伴い中国の貿易総額は減少を余儀なくされた時期もある。ただし、ここ数年は新型コロナウイルス感染症流行に伴い世界経済が影響を受けたなかでも堅調に増加しており、2022年時点での中国の貿易総額は世界貿易総額の25.3%を占め、第2位の米国(5.4兆米ドル、同21.8%)を押さえて世界最大の貿易大国となっている。
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