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※本コンテンツは、Tech Translated: Quantum Cryptographyを翻訳し、日本企業への示唆を追加したものです。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。
サイバーセキュリティは、今日の企業が直面している最大の課題の一つだが、量子物理学を利用して問題解決を行う量子コンピュータの台頭により、既存のセキュリティシステムは前時代的なものになる恐れがある。現在の暗号化技術は、基本的には、非常に難しい数学の問題にすぎない。とはいえ正しいパスワードがない場合、現状で最も強力なコンピュータでさえ、その暗号を解読するために必要な何十億もの計算を行うには、数十年、場合によっては数百年かかると言われている。しかし大幅に向上した処理能力を持つ量子コンピュータが、この状況を一変させる可能性がある。PwC英国法人のエマージングテクノロジーアドバイザリー シニアマネージャーであるKei Kumarは、「今日の初期段階の実験から、量子コンピュータが現時点で最高レベルの暗号を数時間、あるいは数分で解読できるようになるのは時間の問題であることがわかっている。そうなれば、オンラインコマースやコミュニケーションを成り立たせている現状のセキュリティフレームワークは完全に弱体化してしまう」と述べている。
量子コンピューティングは、ユーザー名とパスワードでアカウントにログインするといったインターネット上のあらゆる安全な通信を脅かす。現時点では解読不能な暗号技術に依拠した分散型アーキテクチャで構成されている、暗号通貨セクターに対する脅威にもなる。また、個人のクラウドドライブから病院のデータベースまで、あらゆる種類の保存された情報にも影響を及ぼす。
新興分野である量子暗号技術は、今日のデジタル情報がいかに脆弱であるかを明らかにするものだ。それと同時に、量子コンピュータによるハッキングに対抗するための技術の構築を目指している。
今日の初期段階の量子コンピュータでさえ、特定の種類の問題に関しては、最高性能のスーパーコンピューターよりも指数関数的に高速に結果を導くことが可能だ。これは、人類が複雑な課題を解決する能力に革命をもたらすと期待されるが、それと同時に、新たな課題を生み出す可能性もある。Kumarは、「これまで暗号化されたデータは、コンピュータの性能向上により古いアルゴリズムが解読可能になるまで、少なくとも平均30年間は安全だと想定されていた。しかし、量子コンピューティングが成熟すれば、そのバッファが完全になくなる可能性がある」と指摘する。
量子コンピューティングが暗号化に及ぼす脅威は、長らく理論上のものであったたが、2023年にはそれが現実になったとの研究が報告された。
PwCのサイバーリスクに関する調査(Global Digital Trust Insights)2024年版の結果では、サイバーセキュリティがすでにシニアITリーダーたちの最大の懸念事項の1つとして挙げられている。量子コンピューティングの進化に伴い、将来的にサイバー脅威の中核になっていくはずだ。時代の流れに遅れることなく耐量子暗号が進化すれば、これらの脅威への対抗策になるだろう。
「量子コンピューティングによって何らかの影響を受けない業界はほとんどない」とPwC米国法人の量子コンピューティング研究ディレクター、Arit Kumar Bishwasは説明する。「良いニュースは、量子研究者がこれらの脅威を研究する中で、脅威を軽減する優れた方法を見つけただけでなく、そのプロセスの中でセキュリティを保証するまったく新しい方法も発見していることだ」
量子暗号技術は2007年にジュネーブの地方選挙の公正性を確保するために初めて導入された。その後、通信や金融などの分野で試行が続けられ、新しい情報セキュリティの可能性を秘めつつ成熟を続けてきた。量子技術への民間投資は急増しており、2021年と2022年には20億米ドルを超えるベンチャーキャピタルの資金が市場に投入された。また、業界と政府関係者の双方が「Y2Q」へのカウントダウンが始まったことを認識しており、新しい耐量子暗号標準の提案・交渉はすでに始まっている。
「既存のデータセキュリティフレームワークからの移行と、耐量子暗号時代におけるまったく新しいテクノロジー・プラットフォーム・システム導入の複数の側面で混乱が生じるだろう」とBishwasは指摘する。「Y2Qは、Y2Kバグと同様の重大な脅威だが、より規模は大きくなる。そしてY2Qに必要な移行を円滑にナビゲートできる企業には、Y2Kの際と同様のビジネス機会が訪れる可能性がある」
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