プロジェクトリスク簡易診断サービス

リスクから導く企業戦略実現へのステップ

企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)とシステムのモダナイゼーションは、ビジネスの成長と競争力の維持に不可欠です。DXではビジネスモデルの変革や顧客体験の向上を、モダナイゼーションでは既存システムの更新を目指してプロジェクトが組成されます。しかしながら、急速に進展する技術の適用力不足、組織構造や慣習、レガシーシステム、複数部門との調整などが足かせとなり、投資に見合った成果を出せないプロジェクトが多く存在します。

こうした課題を乗り越え、プロジェクトの投資対効果を高めるためには、目的実現に向けた技術面の施策に加えて、組織と業務プロセスの側面からのアプローチも行い、全体的な最適化を図ることが求められます。社内外の関係者も多数関与することから、これらの関係者間での意思疎通と調整が重要になります。

このような複雑な状況下で投資対効果と企業戦略の実現を目指すことは、企業にとっての大きなチャレンジであり、同時に大きなチャンスでもあります。これらを実現するためには、プロジェクトの目的を明確にし、組織の壁を越えたすべての関係者を横断したリスク管理が欠かせません。

各関係者の視点で見る戦略実現の課題とリスク

経営者

高額な投資が長期的な利益につながるか慎重に評価しなければならないものの、戦略と技術のギャップ、プロセスの変革に伴うリスクなど、投資効果を棄損するリスクの全体が見えにくい

システム部門

新技術の活用による段階的なイノベーションを目指す一方、当面の既存システムの維持も必要であり、長期的なチャレンジとリスクのバランスの取り方に課題感がある

DX推進部門

将来ビジョンの実現に向けた組織内のコミュニケーションや複数部門との意見調整など、業務改革を目的とする取り組みへの賛同や協力体制の確保、プロジェクトの舵取りにかかる悩み・課題が尽きない

業務部門

業務効率化などプロジェクトの目的を理解する一方、業務プロセスを変更することへの抵抗、新技術と現場スキルのギャップの解消など、現業維持と業務変革への適応に課題・リスクを抱えている

リスクをどう戦略に変えるか? 次の一手への自問自答

ビジネスの成長ドライバーとしてリスク管理を効果的に実践している企業では、以下のような問いを繰り返しながらプロジェクトを推進・管理しています。

リスクマネジメントに不可欠な自問自答

問:モダナイゼーションの進展とともに次の段階(※)を目指して複数のプロジェクトが立ち上がるなか、目的達成に向けたリスク管理が設計できているか。例えば、潜在的なリスクが先送りされ、将来的に許容せざるを得ない取り組みになっていないか?
DXの実現、Fit to Standardによる業務プロセス刷新など

問:リスク管理の仕組みは整備されているものの、形式的なリスクコミュニケーションに留まっていないか。例えば、関係者のリスク認識を共有して認識のズレや歪み(※)を調整するなど、組織の目的達成に向けて立場や職責を越えた活発なリスクコミュニケーションが行われているか?
関係者間のQCDの優先度のズレ、期待ギャップなどの見えない歪み

問:プロジェクトデザインの確からしさを評価する機関(※)は有効に機能しているか。例えば、プロジェクトの体制・期間・ソリューション・推進方法は、目的を阻害するリスクの観点からも妥当性を評価しているか?
プロジェクト審査委員会、経営会議など

これらの問いに確信をもって答えるためには、プロジェクトのリスクと関係者のリスク認識を可視化することが不可欠です。PwC Japan有限責任監査法人はその第一歩をクイックに支援し、リスク管理の観点からプロジェクトの目的達成と企業戦略の実現へのステップを提示します。

リスクの見える化が成功に向けての行動を変える

リスクの可視化は、プロジェクト関係者の意識変化につながり、一人一人の行動を目的達成により近づくための行動に変容させます。結果として、プロジェクトおよび組織としてのリスクへの取り組みに次のような変化が表れます。

より協調されたリスク対策

プロジェクトのリスク管理において、可視化資料やリスク管理基盤を共有することにより、関係者間での透明性を高め、信頼を築くことにもつながります。この共通の認識を通じて、リスク対応戦略の策定、リスク低減措置の実施、およびリスク発生時の迅速な対応が可能になります。関係者が同じ情報に基づいて行動することで、リスクへの対応が協調し、効率化されます。仮に予期せぬリスクが顕在化した場合でも、既に共有されているリスク認識基盤を通じて、迅速に情報を共有し、協力して解決策を見出すことができます。

リスクプロファイルの変化への対応

リスクの可視化は、プロジェクトの進捗に応じてリスクプロファイルがどのように変化するかを追跡可能にします。プロジェクトマネージャーやチームメンバーは、現在のリスク状況に基づいて、プロジェクトの計画や戦略を適時に調整できるようになります。これにより計画の柔軟性と適応性を維持し、変化するビジネス環境やプロジェクトの要件に適切に対応することが可能になります。

次のプロジェクトへの学び

リスクの可視化を通じて得られるデータと情報は、プロジェクトのレビューと後続のプロジェクトの計画において貴重な学びとなります。過去のリスクイベントとその対応策を分析することで、将来のプロジェクトにおけるリスク管理の方法を改善し、より堅牢なリスク対応フレームワークを構築することが可能になります。

リスク管理は回り道ではなく目的達成への近道

リスク管理が十分に機能していない場合、その代表的な理由としてリソースとコミュニケーションの不足が挙げられます。リスク管理は、プロジェクトの初期段階や正常時には一見不要な作業と捉えがちであり、取り組みの優先度が下がり、形式的な対応になってしまう傾向があります。適切なリスク管理は目的達成への道筋を確かなものにするため、マネジメントのリーダーシップのもと、組織的に取り組む必要があります。

組織内のリソースと能力の不足

リソース(時間、人材、コスト)、専門知識が不足している場合、プロジェクトにおけるタスク管理にリソースが集約されるため、リスクの特定、評価、対応が適切に実施できなくなる可能性が高まります。

コミュニケーションと文化的障壁

コミュニケーションの不足や組織文化の問題も、リスク管理における障害になりえます。情報共有の欠如、文化的障壁、変化への適応の不足などが、リスクの正確な特定と適切な対応を妨げ、組織全体のリスク管理能力の低下につながります。

PwCのサービス

PwC Japan有限責任監査法人は、これまでに数多くのプロジェクト評価を通じて得た知見や経験を活用し、企業の多様な取り組みに内在するリスクを、特定の立場に偏らない客観的な目線からクイックに整理にします。これにより、プロジェクトに重大な影響を及ぼす可能性がありながら通常は容易には認識されないリスク要因を特定します。また、多岐にわたるステークホルダーのリスク認識を整理することで、期待値のズレやそれによって生じるプロジェクトの歪みの解消と未然防止、透明性のあるリスクコミュニケーションの確立を支援します。

本サービスでは、DXやモダナイゼーション、ウォーターフォール型の開発/アジャイル開発など、プロジェクトの目的や開発手法にかかわらず多様なプロジェクトに対し、リスク管理の阻害要因を踏まえ、有効なリスク管理を実現するための助言を提供します。プロジェクト推進に課題・懸念を抱える企業においては、ビジネス戦略の実現へのアプローチとして、本サービスを是非ご活用ください。

実施ステップとスケジュール

まず、企業における中長期のビジネス戦略・IT戦略、推進中のプロジェクトや今後予定されているプロジェクトの概要をインプットし、それぞれの背景・目的やプロジェクトの特性を把握します。次に、プロジェクトの特性から想定されるリスクを洗い出し、リスク対策の状況を評価し、改善施策を提案します。なお、単一のプロジェクトに限らず、複数のプロジェクトを同時に評価することで、プロジェクト横断的なリスク管理についても助言が可能です。リスクアセスメントは、およそ2〜3週間の範囲で以下の3ステップで実施します。ご要望に応じて実施期間の調整は可能です。

図表 1

オプション

上記で策定したリスクマップに基づき、プロジェクトにおけるリスク対策の具体的な実施状況に関する継続的な評価も可能です。プロジェクトメンバーやベンダーなど社内外の関係者とは異なる第三者の目線からプロジェクトの運営状況を評価し、認識した問題に対する助言を行うことで、プロジェクトを支援します。


インサイト/ニュース

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DXバリュードライバーの活用によるDX戦略の具体化──腹落ちしたDXを実現するために必要なデジタルガバナンスとは

多くの企業はDXに取り組む中で、その達成度を図る指標を設けていますが、指針や基準が少ないため、試行錯誤している状況です。DX成果指標にガバナンスを効かせるにあたっての課題や、DX戦略の蓋然性と実効性を高めるためのポイントについて解説します。

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主要メンバー

宮村 和谷

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

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高橋 卓也

ディレクター, PwC Japan有限責任監査法人

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桒野 拓麿

シニアマネージャー, PwC Japan有限責任監査法人

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