コロナ禍の出社状況可視化システムを構築――若手中心のプロジェクトチームがわずか2週間で実現

迫られた働き方変革

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の急速な拡大により、企業は事業継続のために働き方を迅速に変革することを迫られました。その中でPwCコンサルティング合同会社(以下、PwCコンサルティング)では、若手のメンバーを中心に従業員の出社状況を可視化するシステムを構築しました。プロジェクトの立ち上げから要件定義、開発、リリースまでをわずか2週間の速さで断行した、その取り組みについてご紹介します。

図表1 クラウドサービスサプライチェーンのイメージ

急変したワークスタイル

COVID-19の感染拡大を受け、企業は政府の要請、従業員のニーズ、また社会的責任を考慮しながら在るべき働き方を模索し、適応することが求められています。PwCコンサルティングも例外ではありません。政府は昨年4月7日に緊急事態宣言を発出し、企業に対して「出勤者数7割削減」を要請しましたが、それに先駆けて、2月末には従業員の安全管理のため原則リモートワークとしました。

一方、業務上、出社せざるを得ない従業員もいることから、オフィスで業務する際は事前に出社の目的や使用する座席の位置をメールで申請し、承認を得た上で出社するという制度が導入されました。

これは暫定的な制度としては機能していたものの、リモートワークの恒常化に伴い、人事・総務部門では全社的な出社状況をより正確に把握する必要が出てきました。また、3,000人以上にも及ぶ従業員の出社状況を把握する必要があるため、使い勝手が良く、簡便なシステムの構築が求められました。

COVID-19の対応として管理部門の課題を早期に解決することが求められる中、開発タスクフォースチームの中心となったのはテクノロジー部門のコンサルタント。特に、機動力がありアジャイル開発の経験がある20代から30代前半の若手メンバーが開発を推進しました。

PwCの若手プロジェクトメンバーがとった変革のアプローチ

インソーシング

外部のベンダーに発注するとなるとRFP(提案依頼書)作成から始まり、数カ月を要するところを、チームの立ち上げおよび要件整理に1週間、開発・テストに1週間という短期間でのリリースを実現しました。自社のケイパビリティを十分に生かした結果と言えます。

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アジャイル開発のアプローチ

人事、総務、ITといった管理部門からの要求は状況に応じて刻々と変化していきます。それらに対応可能な新たな業務フローやシステムを開発するため、本プロジェクトではアジャイルアプローチを採用しました。システムの機能単位で要件定義、開発、テストを高速で繰り返すことで必要最低限の機能を早期にリリースし、管理部門の負担軽減に成功しました。

結果として、出社申請の受付や座席の割り当てのシステム化を実現し、業務負荷の軽減と同時に社員の安全を確保することができました。

関連オファリング:アジャイル開発支援

強力なリーダーシップと迅速な意思決定

開発チームの若手メンバーとテクノロジー部門のマネジメント層がフラットに議論し、最終的にはマネジメント層の強力なリーダーシップによって要件および実現方針を確定することで短期間でのリリースが実現しました。

一方で、リリース後のアップデートにおいては複数の部門からの追加要件を受け入れることとなり、オーナーシップが不明確となり要件確定スピードが遅くなる場面もありました。その際はテクノロジー部門から人事部門へオーナーシップを移譲することで意思決定の権限者をクリアにし、開発スピードを早めることができました。

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ワークスタイル変革支援

勤務場所の可視化を実現したシステムおよびノウハウ

PwCコンサルティングは、このプロジェクトにより、COVID-19感染拡大の抑止を目的とした出退勤管理システム「Daily Log Management」の開発に成功しました。現在は従業員にこのシステムを利用して日々の出社状況を申請させることで、管理部門は出社率と出社申請率の推移を簡単に管理することができています。また、オフィスへの出社率をコントロールし、目標である30%以下に抑えることにも成功しています。

今後も同プロジェクトではアジャイルアプローチを継続し、勤怠管理システムとの連携や、オフィス混雑度のリアルタイム管理機能など、新たな機能を導入する予定です。

PwCコンサルティングは、本プロジェクトで開発したシステムおよびコロナ禍におけるワークスタイル変革のノウハウ導入を支援します。

プロジェクト参画者

八木 大樹(マネージャー)
大手製造会社を経て現職。システム企画を中心に、先進テクノロジーを活用したデジタル戦略に関するアドバイザリーサービスを提供。UX戦略を策定し、速やかにUI(デザイン)に落とし込むことで、意思決定層を含むステークホルダーを巻き込みながら、短期で開発するアジャイル式のリード方法を強みとしている。

【コメント】
本取り組みはクライアントのDX推進を支援するテクノロジーコンサルタントが、自らDXを実践した事例です。私たちはこうした実践を繰り返しながら得た知見を武器に、今後もクライアントのDX推進を強力にサポートして参ります。

霜田 理沙(シニアアソシエイト)
国内大手SIerの営業部門を経て現職。官公庁、金融業、製造業を中心にIT 戦略策定やシステム化構想立案、DX戦略策定といったプロジェクトへの参画経験を有する。

【コメント】
プロジェクトチームは実行力のある若手が中心となり、活発な議論を通じて素早いシステム開発を実現しました。自らアジャイル方式での開発を実践することは、クライアントを支援する上で価値ある体験となりました。こうして得たノウハウを活用し、今後はクライアントのワークスタイル変革の力になりたいと考えています。

菅 勇一郎(アソシエイト)
新卒で入社後、電機メーカーのガバナンス策定・クラウド移行支援、大手自動車メーカーの国外におけるコネクテッドサービスの開発支援を経験し、本プロジェクトに参画。

【コメント】
米国研修で学んだアジャイルの方法論とマインドセットを基に開発を進めました。困難な場面では研修で知り合った米国PwCのメンバーとのつながりや社内のオンラインコミュニティーなど、PwCのグローバルネットワークを生かすこともできました。役職、所属、社歴関係なくフラットなコミュニケーションのもと作業を進められたことも、2週間という短期間で運用開始できた勝因だったと思います。

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