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スピーカー
PwCコンサルティング合同会社
パートナー
山崎 幸一
PwCコンサルティング合同会社
マネージャー
北崎 陽三
※本セミナーの内容は2024年12月6日時点の情報に基づいています。本セミナー後、2025年2月26日、欧州委員会は、「オムニバス法案」を公表し、CSDDDに関する修正の提案をしており、当該法案審議の動向にも留意が必要です。
EUのコーポレート・サステナビリティ・デューディリジェンス指令(以下、CSDDD)をはじめとする規制強化を背景に、各規則への法的対応と合わせて、ESGや人権リスクへの対応を効率化する管理ツール導入・運用の必要性が高まっています。近時のESGリスクを取り巻く状況を踏まえ、企業はどのように対応していくべきでしょうか。本セッションでは、PwCコンサルティング合同会社のパートナー・山崎幸一が、「ESGリスクのトレンド」や「欧州における規制の動向」といった概観について、PwCコンサルティング合同会社のマネージャー・北崎陽三が、「人権・環境リスクの管理ツールに関する概要」と「操作イメージ」について説明しました。
ESGリスクとは、環境(Environmental)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の各要素に関連するリスクを指しますが、これらのリスクは企業の持続可能性や長期的な成功に大きな影響を与える可能性があります。山崎は、「環境・社会・ガバナンスの各要素に関連するリスクは非常に幅広いテーマでの対応が必要になります。また、自社内で閉じたものではなく外部環境の影響を受けるものが多く、企業全体でより戦略的・中長期的な目線で取り組むべき課題です」と、強調しました。
ESGリスクのトレンドとして、企業活動に関わる多様なステークホルダー(クライアント、サプライヤー、金融機関投資家、従業員、各国政府、国際機関、経済団体、ESG基準策定団体など)からの要請が強まっていること、ESGリスクが事業活動に与える影響が増大していることを、山崎は解説しています。
「サプライチェーンのグローバル化が進む中で、企業の持続可能な成長と社会的信頼確保のためには、サステナビリティ実現に向けたESGリスクへの対応が不可欠です。企業活動に関わるさまざまなステークホルダーは、それぞれの観点から、企業に対してサステナビリティ/ESGリスク対応を要請しています。例えば、クライアントはサステナブル調達の観点で取引先を選ぶ視点が強まっていますし、金融機関ではサステナビリティを毀損する事業から投資を引き上げる動きが拡大しています。従業員目線では、サステナビリティに取り組む企業・団体への就職・転職意向が上昇するといった流れが見られます。また、各国政府の規制強化やグローバル企業における自主的な取り組みが進み、企業に対するESG関連訴訟も増加傾向です。具体的には、企業に対するESG関連訴訟が過去30年間で25%増加、特に直近10年間で急増しています。その内容は、子会社やサプライヤーに起因する訴訟、ESG関連リスクのデューディリジェンス(以下、DD)の不備などを問う訴訟が目立ちます。適切な対応と情報開示を行わなければ、事業活動や企業のレピュテーションに悪影響を及ぼす恐れが高まるでしょう」
国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」(以下、国連の指導原則)成立後、米国・欧州を中心に、国・地域レベルで企業の人権に対する取り組みを義務化する動きが広がっています。また、サステナビリティに関する規制強化の大きな動きとしては、2027年7月1に適用が開始されるCSDDDがあります。山崎は、CSDDDの適用範囲、対象領域、DDの対象が従来の規制と比較して非常に幅広いものであり、多くの企業が対象となることを説明しました。
こうしたESGリスクの幅広い課題について、グローバル企業が網羅的かつ効率的に対応していくためには、どのような方法があるのでしょうか。PwCでは、2023年にPwCドイツが発表した新たなツール、「Check Your Value Chain」を提供しています。このツールの導入メリットや活用シーンを、北崎が紹介しました。
「Check Your Value Chain」は、全てのビジネスパートナーを包括的に把握できる統合ソリューションです。詳細なリスク分析を通じて段階的に、リスクのあるビジネスパートナーを特定します。はじめに北崎は、ESG管理における3つの課題として①データ管理、②最新情報の把握、③リソース配分を提示しています。
「ESGリスク管理においてはサプライチェーン全体で取り組む必要がありますから、取引先まで含めると、大量のデータを取り扱うことになります。そのデータの項目や粒度が不揃いだと、データ管理・分析の際に膨大な工数がかかってしまうということが1つ目の課題になります。また、各国において新たな法規制化が進展する中、多くの国・分野を対象とした情報収集も課題です。そうしたデータの収集や法規制の情報収集にあたっては、多くの関係者との煩雑なコミュニケーションが生じます。とはいえESGリスク管理においては、短期的な利益や事業への直接の影響が表れにくい性質のものなので、リソース配分の割合が低いという点が課題となっています。こうした課題を解消するツールが、「CheckYour Value Chain」となります。本ツールは、人権・環境リスクに関する法規制やガイドラインに対応するためにPwCドイツが開発したもので、汎用性が高く、自社のグループ会社や取引先におけるESGリスク管理の相当部分を自動化することができます」
現状、手作業で行っていたり、膨大な工数がかかっていたりするDDを自動化する「Check Your Value Chain」は、人権・環境リスクの特定・評価・対応の優先順位付けから、予防・是正措置の進捗管理・報告まで、ワンストップで対応可能なシステムソリューションです。北崎は、「本ツールでDDプロセスのどの部分をカバーできるのか」といったことや、標準搭載されているリスク項目、仕様や実際の操作イメージを詳細に紹介しました。
1オムニバス法案では、適用開始時期について、第一段階の適用企業(2027年7月26日開始予定)の適用時期を1年間延期し、2028年7月26日に変更することが提案されています。