{{item.title}}
{{item.text}}
{{item.text}}
PwCコンサルティング合同会社は2026年1月28日、コニカミノルタ株式会社主催の『カーボンニュートラル最前線:サプライチェーン対応の実践と展望』と題したセミナーに講師として登壇いたしました。
自動車業界では、カーボンニュートラルに向けた取り組みが他産業と比較しても早期から進展しています。また、これらは完成車メーカーのみを対象とするのではなく、サプライヤーも含めたサプライチェーン全体での対応が求められています。このような自動車業界における、GX(グリーントランスフォーメーション)の先進的な取り組み概況および今後の実務対応について、自動車業界内外の幅広い企業に向けて解説しました。本稿ではその概要をお伝えします。
本セミナーは2部構成で行われ、第1部ではPwCコンサルティング合同会社ディレクターの金子多希が、自動車業界における脱炭素化動向とサプライヤーの対応策について解説を行いました。
登壇者
PwCコンサルティング合同会社 ディレクター
金子 多希
世界の温室効果ガス(GHG)排出量は産業革命以降増加を続け、現行政策が維持された場合には大幅な気温上昇が想定されるなど、「1.5℃目標」の達成には一層の排出量削減が不可欠となっています。一方、欧州ではエネルギー価格高騰や地政学リスクなどによる経済成長の鈍化を背景に、環境規制の方向性は維持しつつも、乗用車・バンに関しては2035年のCO2排出削減目標の達成手段に一定の柔軟性を持たせる動きが見られ、経済との両立を意識した政策調整が進んでいます。そして米国では、政権交代に伴う排ガス・燃費規制やEV(電気自動車)関連政策の見直しが議論されており、BEV(バッテリー式電気自動車)の普及ペースについては短期的な不透明感が高まっている状況です。
このような背景もあり、米国・日本ではBEVが伸び悩み、欧州でも急拡大には至らないなど、BEV化を軸とした脱炭素戦略は短中期で不確実性が高まっています(図表1)。そのため、走行時だけでなく製造段階を含むライフサイクル全体での排出削減の重要性が相対的に高まっています。
図表1:主要市場の直近3年における電動車販売比率推移
※PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle、HEV:Hybrid Electric Vehicle
モビリティ分野のカーボンニュートラル実現に向け、従来のリニアエコノミーによる電動化・製造効率化・クリーンエネルギー導入に加え、サーキュラーエコノミーの視点を組み込むことが従来の施策を補完・強化する打ち手となります。サーキュラーエコノミーとはバリューチェーン全体にわたる取り組みを指しており、自動車をめぐっては、製品使用の最大化に向けたカーシェア、ソフトウェアアップデートによる車両長期利用、部品再利用や、再資源化・再生材の活用に向けたリサイクル・リサイクル材再適用の取り組みなど、多様なユースケースが存在します(図表2)。また、サーキュラーエコノミーは環境対策に留まらず、ビジネスチャンスにもなり得ます。新車販売だけに依存しない中古車、アフターサービス、リサイクル、モビリティサービスなどの新たな収益機会を生むと考えられます。
図表2:自動車におけるサーキュラー概観
※MaaS:Mobility as a Service、SW:Software、V2G:Vehicle to Grid、BAT:Battery
また、中期的にはBEV化による環境負荷低減が不可欠である一方、ビジネス戦略の観点からは、ICEV(内燃機関自動車)・HEV(ハイブリッド車)でも実現可能なサーキュラーエコノミーを短期の目線でも推進することが重要です。実際に欧州の気候変動関連政策では、資源循環経済の実現による自動車業界のGX推進にもフォーカスを当てています。日本においても、環境省主導で自動車向け再生プラスチック市場構築に向けた官民コンソーシアムが発足し、再生プラスチック集約拠点の検討が進むなど、サーキュラーエコノミー促進のための制度設計とインフラ整備が進んでいます。
自動車業界を取り巻くサステナビリティ開示は、「構想段階」から「具体的実行フェーズ」へと着実に移行しています。まずGHG排出量の開示制度面では、ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)基準を起点に、欧州CSRD(企業サステナビリティ報告指令)・ESRS(欧州サステナビリティ報告基準)が詳細な開示義務化を先行し、日本でも金融商品取引法などを通じて上場企業を対象に、IFRS(国際財務報告基準)S1/S2ベースの気候関連開示が段階的に開始されています。一方で、米国ではSEC(米国証券取引委員会)ルールの適用を一時停止し、欧州でもオムニバス法案によって適用時期や保証レベルが見直されるなど、経済負担を踏まえた調整も進んでいます。並行して、GHG排出管理は企業単位から製品単位のCFP(カーボンフットプリント)へとシフトし、SBT(科学に基づく目標設定)改定案やブラジルの環境関連税制、EU CBAM(炭素国境調整措置)・バッテリー規則など、原単位ベースの基準や課税が拡大しています。これにより、一部の自動車メーカーではサプライヤー選定において、価格・品質に加えCFP値を考慮されるケースもあり、サプライヤー側にはGHGの算定と削減が強く求められるようになっています。
このような潮流を踏まえたサプライヤーの実務対応としては、GHGプロトコルに準拠した排出量算定を起点に、算定プロセスの効率化・システム化、一次データ化による精度向上などGHG算定高度化に向けた対応と、全社目標・戦略策定、データ分析、各削減施策検討などの具体的な削減アクション、そして両者をつなぐPDCA体制の構築が必要となっています(図表3)。また、サプライヤーからの一次データ取得に当たっては、コミュニケーション難易度と自社に占める排出比率で優先順位を付けること、依頼データ明確化やサプライヤーのケイパビリティに応じたデータ提供オプションの整理など、テータ提供者の負担軽減が重要です。
図表3:GHG算定・削減ロードマップ
また、グローバルでは、データ流通基盤を活用した一次データ取得について、一部用途で実運用・実証が進みつつあります。これらは製品単位のCFP以外でもすでに法規対応やトレーサビリティ領域等で実運用されており、標準策定やソリューション提供により、今後さらに拡大していくと考えられています。
{{item.text}}
{{item.text}}
{{item.text}}
{{item.text}}