Worldwide Tax Summary 2026年1月号

  • 2026-02-20

PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問
岡田 至康 監修

Worldwide Tax Summary 2026年1月号トピックス

  1. 公開国別報告の作成に関するガイダンス案(オーストラリア)
  2. 財務省、自己株取得に対する消費税に関する最終規則を公表(米国)
  3. 国家予算法案(国際税務関連)(ウルグアイ)
  4. 新たな配当源泉税を導入(ブラジル)
  5. 簡易合併に係る改正案(ベルギー)
  6. 2025年改訂版モデル租税条約を公表:クロスボーダー勤務およびその他の課題に関する新たなコメンタリー(OECD)

公開国別報告の作成に関するガイダンス案

税務当局(ATO)は最近、公開国別(CBC)報告に関するガイダンス案を公表した。これには、公開CBC報告の作成方法および提出されるXMLファイルのスキーマに関するインストラクション案が含まれている(本ガイダンス案について、2025年11月28日まで意見募集)。2024年7月1日以降に開始した報告期間から適用される公開CBC報告制度では、一定の大規模多国籍企業グループに対し、オーストラリア、特定国・地域、およびその他のグローバル事業に関する一定の税務、財務情報の公表を義務付けている(本誌2025年9月号等参照)。なお、今回の新ガイダンス案によれば、開示に係る完全免除が認められた場合でも、最終親会社は、その旨を示す文書(statement)を提出する必要があるとされている。

公開CBC報告の作成に関するガイダンス

公開CBC報告は、セクションA(報告事業体の詳細および代理者(authorised representative)の宣言)、セクションB(居住地国・地域別のCBC報告グループの各メンバー事業体の特定、税へのアプローチ陳述書(Statement on Approach to Tax)等)、セクションC(オーストラリアおよび各特定国・地域(および全ての国・地域の個別開示を選択した事業体に係る各非特定国・地域)に係る国・地域別の開示情報等)、セクションD(セクションCに含まれていないCBC報告グループのメンバーに係る集約情報等)の4つに分けられる。本ガイダンス案には、公開CBC報告の提出方法や、提出後に重大な誤りが確認された場合の訂正方法の他、各質問やデータポイントの入力方法が含まれている。以下が、重要なポイントとして挙げられる。

  • 宣言(declaration)要件:提出情報が真実かつ正確であることを証明するために、事業体の役員(authorised officer)(または税務代理人)による宣言が求められる。
  • 用語:特定の定義に係る解釈について、限定的なガイダンスが示されている。一般に、ガイダンスの階層は①立法上の定義、②GRI207税基準、③OECDガイドラインの順となる。
  • コンパイル要件:公開CBC報告の入力に使用されるソースデータは、連結財務諸表に基づくか、連結財務諸表と照合可能な情報でなければならない。
  • 事業活動に係る開示:事業活動に係る記載について、OECDのCBC報告よりも詳細な記載が求められよう(最大4,000字)。
  • “税へのアプローチ”陳述書:これは、GRI207、特に「GRI207-1 税へのアプローチ」と整合させるべきであろう。本インストラクション案で陳述書記載例が示されている(最大5,000字)。
  • 納付税額と発生税額の差異:当年度の発生税額と、国・地域に係る適用税率を税前損益に適用した場合の税額との差額の説明が必要である。本ガイダンスでは、“重要な不一致(any material discrepancies)”について説明するとしているが、詳細な定義は示されていない。期間差異、税制優遇などの理由が含まれる可能性がある(最大4,000字)。
  • 他国・地域の関連者からの収入:国内関連者からの収入および支払者の国・地域で配当として扱われるグループの他のメンバーからの収入を除いて報告する。
  • 従業員数:年度終了時のフルタイム相当(FTE)従業員数に基づいて報告する。独立請負人は事業体の通常の業務に関与している場合は含まれる。

公開CBC報告の提出

XMLファイルを添付して電子メールで提出する。XMLファイルは、ATOが開発したXMLスキーマで定義された構造、ルール、データ型に準拠していなければならない。

公開CBC報告の訂正

重大な誤りは、認識してから28日以内に訂正しなければならない。修正後の詳細を記載したフォーム(approved form)を再度記入し、同様の報告手続きで提出する必要がある。

罰則

公開CBC報告要件を遵守しない場合、罰則(最大82万5千豪ドル)、および1953年税務執行法(Tax Administration Act)第8E条に基づく罰則(civil penalties)が科される可能性がある。

Voluntary Tax Transparency Code(VTTC)との連携

税務委員会(Board of Taxation)は最近、VTTCを見直した(2026年7月1日から適用開始)。VTTCは引き続き任意の税務事項情報報告枠組である。公開CBC報告の適用対象者に対して、公開CBC報告の開示日までに同期間のVTTCを開示することを推奨している。

Source:PwC Australia, Tax alert

財務省、自己株取得に対する消費税に関する最終規則を公表

2025年11月21日、財務省とIRS(内国歳入庁)は、2022年インフレ抑制法の一部として制定された自社株取得に対する消費税(Section 4501)の最終規則を公表した。本最終規則では、2024年規則案(本誌2024年6月号参照)に含まれる多くの規定を削除または縮小する。これらの規定は、多くの実務家や納税者から、過度の負担、あるいは本来の適用範囲より広範であるとみられていた。本最終規則では、これまで本税の課税対象となる自己株取得として扱われていた複数の取引カテゴリーに関する政府見解を見直す。特に、本最終規則では、2024年規則案について、以下の見直しが行われている。

  • 2024年規則案に含まれていた資金調達ルール(funding rule)を廃止する。これは、外資系多国籍企業の米国子会社が、自己株取得や本税の回避を主目的として国外関連企業に資金提供した場合に本税の適用対象となる可能性があるとするものであった。
  • 取得型組織再編成、レバレッジドバイアウト、その他の非公開化(take-private)取引、全ての清算を本税の適用対象から除外する。
  • Section 1504(a)(4)に係る優先株の自己株取得は本税の適用対象外とし、さらに、2022年8月16日前に発行された強制償還可能株式(mandatorily redeemable stock)の適用除外措置が追加された。
  • 国内の対象法人による特定の関連会社の非従業員サービス提供者に対する株式報酬(equity compensation awardに基づくもの)について、ネッティングルール(課税対象額の減額)の適用対象となる株式発行として扱うよう、その範囲を拡大している(2024年規則案では認められていなかった)。

本最終規則は一般的に、(i)2022年12月31日後に行われる適用対象法人の自己株取得、(ii)2022年12月31日後に終了する課税年度に発生した適用対象法人の株式発行(提供)に適用される。以前にForm 720(四半期の連邦消費税申告書)および関連するForm 7208(Excise Tax on Repurchase of Corporate Stock)を提出している納税者は、本最終規則で免除となる取引がある場合、Form 720-Xおよび修正Form 7208の提出を検討する必要があろう(本誌2024年9月号参照)。

Source:PwC, Tax Insights

国家予算法案(国際税務関連)

行政府(Executive Branch)は2025年8月31日、2025年から2029年の5年間に係る国家予算法案を議会に提出した。本法案には国際税務関連の改正案が含まれている。本法案は、原則として、2026年1月1日に施行される。

DMTT(国内ミニマムトップアップ税)

OECD第2の柱の枠組みに沿って、DMTTの導入を提案しており、大規模多国籍企業グループ(MNG)に対して、同国で最低15%の実効所得税率を支払うことを求めることになる。DMTTの規定はOECDのGloBEモデルルールに従い、OECDモニタリングセンターによる評価後に「適格」ステータスを満たすことを目的としている。本予算法案では、行政府に以下を求めている。

  1. IF(包摂的枠組み)がGloBEルールを廃止または停止した場合、DMTTを停止する。
  2. IF合意により、最終親会社がIIR(所得合算ルール)およびUTPR(軽課税所得ルール)の適用免除/除外となる国・地域に所在する場合、国内構成事業体に係るDMTTの適用免除/除外とする。

本予算法案ではまた、行政府に対し、既存の税制安定化条項(例:自由貿易地区)をDMTTと整合させる方法を決定することを求めている。

間接移転に係る課税

本予算法案では、非居住者である事業体の株式(またはその他の資本持分)の移転(transfer)およびそれらの権利持分に対する使用権の譲渡(assignment)による所得は、譲渡前の365日以内に以下のいずれかの要件を満たす場合、国内源泉所得として、法人所得税(CIT)や非居住者所得税(IRNR)の課税対象となろう。

  1. CIT規定による評価額に基づく事業体資産の50%超が直接/間接に国内所在資産である。
  2. 国内資産の価額が3,150万インデックス単位(約500万米ドル)超で、当該取引により国内所在資産の50%超を直接/間接に移転する。

なお、一定の要件を満たす場合、グループ内移転は適用除外となる。間接移転に係る現行の課税要件(移転対象となる事業体が軽課税/無税国・地域の居住者である等)は廃止されよう。

配当と利益分配

現行制度下では、IRNRは配当および利益の分配に適用される。ただし、分配される利益がCITの課税対象となる場合に限られ、CIT非課税所得に係る分配はIRNRから免除される。本予算法案では、これを補完し、配当/利益が受益者の居住地国で課税され、当該国でウルグアイでの支払い税額に係る税額控除がある場合、CIT納税義務がある国内事業体による配当および利益の支払い/未払いについて、IRNR源泉税の課税対象となろう。受益者に税務上の損失があり、税額控除を利用できない場合、配当や利益はIRNRから免除されよう。本免除の適用要件について、規則の策定が見込まれる。

経済発展への貢献と有能な労働力の誘致

行政府は、国内で経済発展に寄与する活動(多額の投資、雇用の創出、新技術の開発促進等)を行う法人に対して税額控除を付与する権限を有することになる。この恩典はクレジット証明書を通じて付与され、他の税や社会保障拠出金の支払いにも充てられる。付与後42カ月以内にクレジットを実質的に利用できない場合、現金で還付される。

Source:PwC, Tax Insights

新たな配当源泉税を導入

2025年11月5日、連邦上院は全会一致で法案(PL)第1,087/2025号を可決した。本法案では個人所得税に大幅な改正を加え、ブラジルに投資する非居住者に対する配当源泉税(WHT)を再導入する(2026年1月1日から適用)。本法案は今年初めに行政府(Executive Branch)によって提出され、最近下院で可決された。下院での可決文書は、実質的な変更なしに上院で可決された(その後、法律(Law No. 15,270/2025)として大統領の裁可を受け、2025年11月27日に官報に掲載された)。この新たな課税により、多国籍企業が事業利得(税引き後)を全額配当した場合の名目税率は、一般的な34%(金融サービスでは40%〜45%)から40.6%(金融サービスでは46%〜50.5%)に引き上げられよう。

クロスボーダーの配当に対する新たな10%WHTの導入

本新規定により、2026年以降の非居住者個人または法人に対する配当等(発生年度を問わず)について、受取人の国・地域に関わらず、10%のWHT課税対象となる。本税は、法人レベルで課される法人所得税(IRPJおよびCSLL)に加えて課される。なお、ブラジルの租税条約では従前最大15%の源泉税率を認めており、最近の条約では10%の税率上限が定められている(すなわち、この新たなWHTの適用を制限しない)。

例外と移行規定

本税は、(1)外国政府に特定の条件下で分配される場合、(2)国内法で定義されるソブリンウェルスファンド、および(3)外国の退職/年金事業体/取極め(関連規制法で規定)に係る配当等には課されない。移行規定として、2025年12月31日までに、関連法に従って配当等に係る株主決議が行われ、かつ、一定の要件を満たす場合、本税は適用されないであろう。ただし、本件、配当等については2028年12月31日までに支払う必要があるとみられる(なお、上場会社の場合は配当等の支払いを2028年まで延期できない可能性がある)。

税額控除(Credit)

配当等を受け取る非居住者には、配当等を支払うブラジル事業体の利益に対する実効税率(ETR)と配当に対する10%のWHTが、ブラジルの法人税(IRPJおよびCSLL)の名目税率(34%、40%/45%)を上回る場合、選択による税額控除(optional credit)が付与される(詳細は未規定)。

Source:PwC, Tax Insights

簡易合併に係る改正案

2023年6月16日、会社法および所得税法等において、新株発行を省略できる「簡易兄弟合併」(simplified side stream merger)が導入された。これは、(i)合併する法人の全株式を同一の者が保有する場合、または(ii)合併する法人の各株主が全ての合併する法人の株式を同比率で保有する場合が該当する。会社法上は間接所有で十分とみられるが、所得税上、課税取引とされないためには直接保有が必要で、間接保有の場合は、新株の発行が求められている。2025年10月23日、議会(Chamber)において、「簡易兄弟合併」に係る税中立性に関する法律が可決された。所得税法および登録税法が改正され、原則、税制中立性の維持のためだけに新株発行を行う必要はなくなった(本改正は、ベルギー官報での新法公表日の翌日に施行)。重要な改正点として、従前の規定では、新株発行がないとみなし配当(源泉)課税の可能性があったが、今後は、新株発行がなくても、税制中立の兄弟合併においてみなし配当は生じない(資本や準備金の引継ぎも可能になる)。また、新法では、新株発行がなくても、兄弟合併(および親子合併)における登録税の税中立性は損なわれないとされる。さらに、新株発行がない場合は株式交換比率を決定する必要がないため、株式交換比率に関する監査報告書も必要ない(公証人の関与は依然として必要)。

Source:PwC Belgium

2025年改訂版モデル租税条約を公表:クロスボーダー勤務およびその他の課題に関する新たなコメンタリー

2025年11月19日、OECD理事会は、モデル租税条約(MTC)の改訂とそのコメンタリーを承認した。この改訂では、以下を含むMTCのさまざまな条項を改訂および明確化している。(注1)

  • 自宅やその他の場所(premises)からのクロスボーダー勤務に係る恒久的施設(PE)(事業を行う一定の場所)の判定に関する第5条の新たなコメンタリー(注2)―自宅またはその他の関連場所が事業を行う一定の場所であるかどうかは、恒久性(permanence)、その場所が企業の自由になるか、非居住者の事業の遂行状況、活動の性質など、全ての事実と状況に依拠することを確認している。また、期間の要件について、時間ベースの指標が導入される。個人が自宅や関連場所で、企業の総勤務時間の50%未満を12カ月間にわたって勤務する場合、その場所は一般的に事業の場所とはみなされない(複数年にわたる場合、その場所の使用期間は当該複数年にわたる使用頻度を組み合わせて判定)。50%の閾値を満たさない場合は、さらなる分析が必要となる。コメンタリーでは「商業的理由」(commercial reason)テストを導入しており、これは事業を行う一定の場所を示す可能性があるが、個人の国内での物理的な所在が顧客、サプライヤーへのアクセス、時差の利点等、企業のビジネスを促進するかどうかに焦点を当てている。単に在宅勤務を許可してスタッフを維持またはコスト削減するだけでは、この基準には当てはまらない。同様に、断続的(intermittent)または偶発的(incidental)な商業的理由だけでは事業を行う一定の場所PEを構成するには不十分である。これに関して、5つの適用例を示している。本件に係る幾つかの国の留保や適用時期を含め、各国の法的枠組みや実務上の取扱いについて、慎重な検討が求められよう。
  • 天然資源の採取に係るPE―コメンタリーでは「その他天然資源を採取する場所」の解釈を広げている。探査活動は明示的にリスト化されていないが、特定の条約規定でカバーされる可能性があることを明確にしている。
  • 採取可能な天然資源の探査および開発に関連する活動に対する課税―新たな選択条項が導入され、二国間で合意された期間に基づくPE閾値を低くし、オフショア(沖合)およびオンショア活動の適用範囲にバリエーションを設けている。この規定には、キャピタルゲイン、契約分割禁止、選択的な給与所得の源泉地課税の拡大に係る規定が含まれている。(改定案について、本誌2024年1月号参照)
  • 移転価格に関する選択による簡略化および効率化アプローチ(利益B)に関するコメンタリーの改訂
  • 紛争解決、金融取引における移転価格、情報交換メカニズムに基づく情報の利用に関するその他の規定

(注1)改訂箇所は、序論、条文(25条)、コメンタリー(1~13条、15条~26条、29条)であり、25条の改訂では、GATS(General Agreement on Trade in Services)での紛争解決メカニズム上の事案が租税条約の対象となるかどうかの判定における権限のある当局の役割を確認(第6項を新設)。

(注2)代理人PEに係る閾値やコメンタリーの見直しはない。なお、OECDは、個人のグローバルモビリティー(データやトレンド、個人および法人所得税、その他の懸念事項等)に関して、2025年11月26日から12月22日まで意見を募集した(2026年1月20日にパブリックコンサルテーション会合を開催予定)。2026年以降も関連の見直しが進むとみられる。

Source:PwC, Tax Policy Alert

その他、海外税務ニュースを含む当法人発行ニュースにつきましては、https://www.pwc.com/jp/ja/about-us/member/tax/tax-news.htmlをご参照ください。

本ニュースは、各国の税制改正の動向をお知らせする目的で、各国のPwCメンバーファームが作成する速報ニュースや各国省庁等のホームページ掲載の情報等を翻訳してお伝えしています。税制改正案の段階の情報が多いため、最終的な法制度につきましては、専門家にご確認くださるようお願いいたします。

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