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2024-10-28
2024年7月23日、財務相は、2024-25年度連邦予算案を公表した。成長率見通しは6.5%から7%としており、2047年までに、同国が先進国になるための詳細なロードマップを示している。本予算案では、インフラストラクチャー、技能開発、製造業、エネルギー安全保障、都市開発、技術革新と研究開発、ならびに労働、土地、外国直接投資をめぐる次世代改革などに重点を置いている。なお、税制面では、安定性と確実性が引き続きテーマとなっている。本予算案における税制案には、現行法を簡素化、合理化し、ビジネス活動を容易にし、コンプライアンス負担と税務争訟を軽減し、法律に確実性をもたらすことを意図した措置が含まれている(8月中にも法案成立の見込み)。また、財務相は、新税法を6カ月以内に公表する見込みとしている(政府は、本新税法を、簡潔、明瞭で、読みやすく理解しやすいものにすることを目指している)。
外国法人の税率改正 – 2024-25事業年度より、特定所得(ロイヤルティーや技術サービスフィー等)を除く外国法人の所得に対する法人所得税率が40%から35%に引き下げられる。サーチャージ、健康教育目的税を含め、その他の税率に変更はない。
平衡税(Equalization Levy)の廃止 – 現在、国外事業体による電子商取引やサービスに対して、2%の平衡税が適用されている。本予算案では、本税を2024年8月1日より廃止することを提案している(オンライン広告に対する6%の平衡税は引き続き適用)(注)。
株主への株式発行に係る濫用防止規定の廃止 – 現在、税法上の濫用防止規定として、非公開会社が株主から時価を超える株式を発行する際に受領する額に課税されることになっている。本予算案では、本規定を2024年4月1日から廃止することを提案している。
租税紛争解決に係る恩赦制度(Tax Amnesty Scheme)の再導入 – 2020年に実施された税恩赦制度(2021年終了、約14万7千件を解決)を受け、また税務訴訟の削減という税務アジェンダを推進するため、本予算案では税恩赦制度を再導入する。2024年7月22日時点で係争中のものについて、利子とペナルティーの免除が提案されている。なお、同様の恩赦制度が物品サービス税(GST)法にも導入され、GST実施の初期(2017-18~2019-20年度)に生じた様々な解釈上の問題を解決する。
自己株買戻しに対する課税の仕組みの改正 – 現在、インド法人は、自己株買戻しの際、その買戻しに伴う分配所得に対して20%の税率で課税されている。本予算案では、2024年10月1日より、株式買戻しに対する課税の仕組みを、現在の配当に対する課税の仕組みと同様に改正することを提案している。買戻し収入は、みなし配当(総額ベース)として株主レベルで課税対象となる。なお、取得費用はキャピタルロスとして扱われ、キャピタルゲインと相殺できる。
個人またはヒンズー合同家族(Hindu Undivided Families)以外の贈与等は免税対象外 – 現在、法人による贈与がキャピタルゲイン税免除の対象となるか否かについて訴訟が続いている。本予算案では、個人およびヒンズー合同家族以外の者による贈与等はキャピタルゲイン税の免除の対象外である旨の明確化を提案している。
キャピタルゲイン税制の合理化と簡素化 – インドのキャピタルゲイン税制は、複数の資産区分と税率があり複雑なものとなっている。資産区分や新たな金融商品の追加により、複雑さと混乱を招いている。この問題に対処するため、本予算案では、キャピタルゲイン税制(長期短期の判定期間や適用税率など)の簡素化を提案している(株式譲渡益(居住者および非居住者)について、長期は12.5%(国外ポートフォリオ投資家の保有する一定の証券を除く)、短期は証券取引税の対象となる上場証券について20%の税率になる(長期の場合の取得価額に係るインフレ調整の廃止や、為替変動に係る調整なども提案されている)。
国際金融サービスセンター(IFSC)内の金融会社に対する利子制限 – 現在、非居住者である関連会社に対する利子控除は、EBITDAの30%に制限されている。本予算案では、2024-25事業年度より、一定の条件のもと、IFSC内の金融会社についてこの制限を適用しない。
クルーズ船を運航する非居住者に対する新税制 – 本予算案では、クルーズ船を運航する非居住者に対する新税制の導入が提案されている。非居住者がクルーズ船を運航する場合、みなし所得税制により、収入額の20%が所得として扱われる(グループ会社へのリース料支払いに係る若干の緩和措置がある)。
連絡事務所(liaison office)による所定の書類の不提出に対するペナルティーの導入 – 本予算案では、連絡事務所が税法上の所定の書類を提出しなかった場合、ペナルティーを課すことを提案している。ペナルティーは、不提出が3カ月以下の場合、毎日1,000インドルピー(その他の場合は10万インドルピー)である。
(注)本予算案の公表前の2024年6月28日、米国とインドは、2021年11月24日の共同声明で示された政治的妥協案を2024年6月30日まで延長する旨を公表した。インドは、第1の柱(利益A)の一部に留保を表明しているものの、既存の平衡税から「新たな多国間解決策」(利益A)へ、そして「建設的な対話を通じて本件に関する議論を継続する」意向があるとみられる。本合意では、延長された「暫定期間」(2022年4月1日から2024年6月30日まで)において、第1の柱の適用範囲に含まれる米国企業が負担する税額の大部分は、利益Aの下で将来発生する税額から控除できる。これに対応し、米国はDST(デジタルサービス税)に係る301条調査で採用された現在停止中のインド製品に対する追加関税を解除することに合意している。なお、2024年3月31日に失効した前回の合意においては、電子商取引に対する2%の平衡税(2020年創設)のみが対象であったため(インド財務省の2021年11月の声明にその旨記載)、本暫定合意の延長は、オンライン広告に対する6%の平衡税(2016年創設)には影響しないとみられる。しかしながら、インドの平衡税はいずれも、第1の柱のMLC(多国間協定)草案の附属書Aに、利益A協定が締結された場合、撤廃の対象となるユニラテラル措置として記載されている。米国、オーストリア、フランス、イタリア、スペイン、英国は以前、DSTに関する妥協案について同様の延長を公表している(その後、同じ条件がトルコのDSTにも適用されることが合意)。これらの協定はすべて2024年6月30日に失効しており、現在の状況を考えると延長されるかどうかは不明である(Source: PwC, Latest digital tax byte)
出典:PwC, Tax Insights
「月刊 国際税務」2024年9月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修
2024年7月2日、税務当局は、ベルギーにおける第2の柱の法律に基づく登録義務の適用範囲となる特定の納税者の期限(本誌2024年7月号参照)を延長する「執行上の猶予」を公表した。延長された期限は、ベルギー国内のトップアップ税または所得合算ルール(IIR)に関して、2024年に前払い(advance payments)(注)をしない(その予定がない)多国籍企業グループおよび国内大規模グループに適用される。これらのグループは、2024年9月16日の延長期限までに、「Crossroads Bank for Enterprises(CBE)」のデータベースに登録届を提出することが求められる(2024年8月17日以前の開始会計年度に適用)。
(注)国内のトップアップ税やIIRに係る納税額がない場合、前払いなしでも実質的な影響(surchargeの賦課)はないとみられる。
出典:PwC , Tax Insights
「月刊 国際税務」2024年9月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修
2024年6月20日、デジタルサービス税法(DSTA)を実施するカナダの法律(法案C-50に含まれる)は、国王の裁可を得た。その後、2024年7月3日に、2024年6月28日付のカナダ総督の命令が、ウェブサイトで公表された。同命令では、DSTAの発効日を2024年6月28日と定めている。したがって、デジタルサービス税(税率3%)は2024暦年から適用され、2022年1月1日以後に稼得された対象収入に遡って適用される。なお、本デジタルサービス税が実際に課されるかどうかについては不透明な点もあり、今後のOECD第1の柱(利益A)に係る進展や、米国の動向なども見守る必要があろう(注)。
(注)政府は、デジタル経済に対する課税について、OECDの第1の柱(利益A)を一貫して支持しており、多国間アプローチを優先することを確認している。一方で、第1の柱を実施するための多国間条約(MLC)が2023年末までに発効しなければ、DSTAは早ければ2024年1月1日にカナダで実施されるとしていた。カナダは、OECD/G20の2023年7月11日の成果声明への合意を拒否しており、クリスティア・フリーランド副首相兼財務相は、その声明の中で、カナダはMLCを全面的に支持するものの、新たなデジタルサービス税の停止について、1年の延長は支持しないとしていた(本誌2023年9月号参照)。米国を含む数カ国は、第1の柱のMLCの現行案に異議を唱えており、早期の批准がさらに見通しにくい状況となっている。
出典:PwC, Tax Insights
「月刊 国際税務」2024年9月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修
2024年6月28日、財務省とIRS(内国歳入庁)は、自社株取得に対するSection 4501消費税(Excise Tax)の申告と納付に関する最終規則(TD10002; RIN 1545-BQ60)を公表した(注)。本規則は、Form720(四半期の連邦消費税申告書)、および関連するForm7208の提出と、その納付に係る手続き規則を扱っている。なお、RICとREITはForm7208を提出する必要はないが、記録を保存する必要があるとしている。米国上場企業(または外国上場企業の特定関連会社)である納税者は、2022年12月31日後、2024年6月28日以前までに終了する課税年度について、2024年10月31日の期限までに申告および納付を行う必要がある(買戻しを行う(または買戻しを行うとされる)対象法人または対象法人として取り扱われる者(person)に係るものであり、納税がない場合も申告は必要)。なお、文書化要件について、本規則では、手続きに係る規則案に含まれていた文書化要件を維持しており、取得額、例外、または申告書要記載の調整額を正確に立証するのに十分で、完全かつ詳細な記録を保管する必要がある(RIC と REITも同様)。
(注)2024年4月12日、Section 4501(特定の自社株買戻しに対する1%の消費税)の適用に係る2つの規則案が、連邦官報で公表されていた(本誌2024年6月号参照)。本最終規則では、そのうち、申告と納税に関する手続き規則案のみが含まれている。
出典:PwC, Tax Insights
「月刊 国際税務」2024年9月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修
2024年7月17日、財務省とIRS(内国歳入庁)は、Section 367(b)に基づく最終規則を公表し、クロスボーダーの三角型組織再編成と関連取引への課税に関するガイダンスを提示している(濫用防止規定や超過資産ベーシス(EAB)規定に係る「外国子会社」の定義の明確化など)。本規則は、2023年10月6日に公表された規則案を大幅に変更することなく最終化している。本規則は2024年7月17日より適用される。本規則では、Notice 2014-32およびNotice 2016-73で公表された規則が修正される。Notice 2014-32は、財務省が2011年5月19日に公表したSection 367(b)に基づく最終規則(2011年最終規則)の特定の側面を利用しているとみなされる取引に対処している。Notice 2016-73は、親株式の取得に使用された財産(property)の取り扱いおよび当該親株式を受領した者への影響を修正しており、さらに本Noticeは、納税者が三角型組織再編成を行ったか否かにかかわらず、インバウンド非認識取引において認識された所得金額を修正する旨を規定している。財務省とIRSは、クロスボーダーにおける三角‘B’型組織再編成の利用に係る一定の懸念に対処するため、様々なガイダンス(規則とNotice)を公表してきた。規則案は、それ以前のNoticeに修正を加えるものである。本規則では、規則案を大幅に変更することなく最終化しており、今後の取引に与える影響は限定的な可能性がある(注)。
(注)2017年減税・雇用法(TCJA)により、米国の課税環境は大きく変化しているが、個人株主やハイブリッド配当への対応の観点などを含め、当局は、依然として、本件を重要視しているとみられる。
出典:PwC, Tax Insights
「月刊 国際税務」2024年9月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修
2024年6月28日、米国連邦最高裁判所は、2件の裁判に関する判決を公表し、連邦裁判所には、曖昧な法令について一般的に連邦政府機関の合理的な解釈を敬譲することが求められる(特に、専門性が高い場合)、としていた過去の重要判例原則を覆す判決を下した。この過去の重要判例は、行政機関と裁判所との間の解釈権限の配分において重要な役割を果たし、議会における40年にわたる立法の基準となる原則を示してきた。規則制定に携わる連邦政府機関は、法令解釈や規則の制定について、今回の最高裁判決の影響を受ける可能性があろう。本判決により、裁判所は、省庁の「許容される」解釈を敬譲することを要求されるのではなく、曖昧な法令の最善の解釈を決定しなければならなくなった。曖昧な法文に係る連邦政府機関の解釈は、これまでと同レベルの司法の敬譲を受けることはなく、法文を解釈する政府機関の規則に対する異議申し立てがより頻繁に起こる可能性がある。本判決(のうち1件)により、規則の有効性に対する争いに直面した場合、裁判所間で意見の相違が大きくなる可能性が高い(納税者にとってコンプライアンス上の課題や見直しの機会となる可能性がある)。同時に、曖昧な法令を解釈する行政機関の権限が制限されることで、政権間の規則の安定性を促す可能性もある(行政機関は合理的な解釈の範囲から選ぶのではなく、法令の「最善の」解釈を採用しなければならなくなるため)。本判決は、法令の沈黙や曖昧さを解釈する当局の行為に焦点を当てている。一方で、議会が一定の範囲内で行政機関に規則制定権限を委任できることも認めている。このような権限委譲は、内国歳入法全体を通じて一般的である。例えば、Section 954(b)(5)(Foreign base company income)では、財務長官に対し、特定の所得区分への控除の適切な配分に係る規則を発出するよう指示している。このような状況において、裁判所が今後どのような敬譲を示すことになるか注目される。さらに、Section 7805(a)(Rules and regulations)の委任の範囲についても議論の余地があろう(ここでは、財務長官に対し、「本タイトルの施行に必要なすべての規定および規則を定める」ことを求めている)(注)。
(注)2017年減税・雇用法(TCJA)の各条項(Sections 78、245A、951A、960や965)に係る係争中の案件への影響や、今後の規則制定に係る財務省やIRSの対応も注目される(行政の対応が慎重になりすぎる懸念もある)。移転価格税制(Section 482)関連では、例えば、コストシェアリング契約における株式報酬の取扱いへの影響なども考えられよう。また、米国会計基準(ASC 740)上、本判決が「新情報」に該当し、不確実な税務ポジションの判定に影響する可能性もあろう。
出典:PwC, Tax Insights
「月刊 国際税務」2024年9月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修
2024年6月25日、EUの独立研究機関EU Tax Observatoryは、フランスの経済学者がG20の議長国ブラジルからの委託を受けて執筆した報告書を公表した。この報告書は、超富裕層(UHNWI)に対して、その富(wealth)の2%に相当する協調的なミニマム課税を行うためのブループリントを提示している。同報告書は、十億万長者(ビリオネア)に課税すれば年間2500億ドル、億万長者に課税すれば年間3800億ドルの税収が見込めると試算している。最近、富裕税の是非をめぐる議論が活発化している。国連専門家委員会の富裕税および連帯税小委員会は、富裕税導入のための政策オプションに関する報告書を提出し、導入を希望する国・地域を支援するための富裕税モデル法の可能性に取り組んでいる。2024年3月の経済社会理事会(ECOSOC)の「租税問題における国際協力」に関する特別会合では、平等を促進し、持続可能な開発目標に資金を供給する上で富裕税が果たす役割に関する議論が大きく取り上げられた。また、6月初めには、国連国際租税協力枠組み条約の「ゼロ・ドラフト」(Terms of Reference:ToR)でも、この問題が優先議定書案として挙げられている(本誌2024年8月号参照)。グローバルミニマム富裕税制のテーマも引き続きOECDのアジェンダであり、最近発行された2024年2月のG20財務大臣・中央銀行総裁に対するOECD事務総長租税報告書でも、さらなる取り組みが必要な分野として認識されている。同報告書は、OECDによる先の報告書である「OECDにおける純富裕税の役割と設計」を参照しつつ、資本所得とキャピタルゲインへの効果的な課税を通じて不平等の増大に対処する必要性を繰り返し述べている。また、特にグローバル化した経済において、富裕層への課税に関わる具体的な課題を特定するため、さらなる作業が必要であるとしている。UHNWIに対するグローバルミニマム富裕税のブループリントは、ブラジルやフランスなど賛成する国もあれば、米国など一部側面に反対する国もある。実施にはグローバルでの協力と現行の税務報告基準の調整が必要となろう。各国間のコンセンサスを得て、協調的なグローバル課税に合意することは、実際的には非常に困難である。さらに、脱税に関するEU Tax Observatoryの別の報告書によれば、この提案による税収の大半は北米、欧州、東アジアからもたらされるとみられる。なお、EU Tax Observatoryのブループリントに示されているような富裕税の導入をめぐる議論には、より広範な課税ミックスに関する深く総合的な分析が必要である。検討すべき関連トピックとしては、現行の個人所得税や相続税の分配効果、富裕税がその国の税制の総合的な累進性にどのような影響を与えるか、クロスボーダーの分配効果の可能性、富裕税が企業の資金調達能力に与える影響などが考えられよう。
出典:PwC, Tax Policy Alert
「月刊 国際税務」2024年9月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修
その他、海外税務ニュースを含む当法人発行ニュースにつきましては、https://www.pwc.com/jp/ja/about-us/member/tax/tax-news.htmlをご参照ください。
本ニュースは、各国の税制改正の動向をお知らせする目的で、各国のPwCが作成する速報ニュースや各国省庁等のホームページ掲載の情報等を翻訳してお伝えしています。税制改正案の段階の情報が多いため、最終的な法制度につきましては、専門家にご確認くださるようお願いいたします。
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